趣味Web 小説 2006-02-20

今頃になって……:電気用品安全法騒動

5年も前に施行された法律をいまだに知らない人がたくさんいた……という、いわば「よくある話」です。基本的には、長らく電気機器を扱っているという自覚に欠け、電気用品安全法という法律の存在さえ全く知らなかった業界の自業自得なんじゃありませんか。「古いアンプを捨てろというのは環境破壊」は頓珍漢。もともと家電は9割超がリユースではなくリサイクルのルートに乗る。「捨てる」とミスリードして環境破壊につなげるのは不適当でしょう。

小寺さんの記事によれば中古品は危険だから市場を縮小させるとか、そういう論理でこの法を動かすわけではないとのこと。なるほど「最新の建築基準をパスできない家でも中古なら売買できる」みたいな事例はありますが、何せ家ですからね。おいそれと建て替えできない。「楽器だって同じだよ」なのかもしれませんが、超高級品は個人売買の仲介業者がいれば市場は回るだろうし、一般向けの商品は、家とは比較にならない価格なんだから、どんどんリサイクルに回していいと思う。私はせいぜい1~2年の執行猶予を推します。業界が倫理的に不適当な行為を自主規制することを前提として中古市場を除外するのは行き過ぎではないか。

それにしても、なぜ今頃になって騒ぐのか。不良在庫を抱えて倒産だとかいう話があるけど、5年前から準備していれば問題なかったはず。不勉強な人間が「お前が教えてくれないのが悪い」というのは、妙な感じ。本音としてはわかるけど、胸を張っていうことなのかな。

その他、代替品のない商品が云々という話は、まあ、バランスの問題でしょうね。

楽器販売大手で中古楽器も扱う石橋楽器(東京)は経産省の「指導」に従い、中古品にPSEマークを付けて販売するため、製造事業者の申請を同省に出した。「電気主任技術者」などの国家資格を持つ社員を検査部門に充て、新たに数人の社員を研修し、資格を取らせたいという。

全く違う発想なのが、全国211店を展開するリサイクルショップ最大手の生活創庫(静岡県浜松市)。販売禁止になる商品在庫は約16億円分もある。だが、販売は禁止でもレンタルや無償譲渡は構わない。そこで4月から、製品の作動を保証する「価値残存年限」を明示して客に貸し出す。年限を過ぎたら、そのまま客に譲渡する。

客は残存年限分のレンタル料を前払いすれば、買うのと同様に製品を使える。途中の返却もでき、故障しても安心だ。堀之内九一郎社長は「中古品の需要に応え続けたい。逆風を追い風に変える」という。

「国内がだめなら、海外だ」というのは全国8カ所でリサイクル業者向けの中古品オークションを開催するリサイクルマスタージャパン(静岡県伊東市)。同社はアジアなど4カ国で海外現地法人の設立を準備中。早ければ07年から、国内のオークションで売れない商品を輸出する。

丸田信治社長は「同じことを考える業者は増えるだろう。粗悪な商品が輸出される恐れもある。国際問題にならないよう、経産省が目を光らせて欲しい」としている。

これらの記事を読むに、電気用品安全法@2chまとめが描くほど悲劇的な結果にはならないんじゃないですかね。

おまけ

経済産業省の方が個人で運営していたブログが「炎上」して閉鎖へ。

あーあ。「場」を支配する多数派のタチの悪さはいつものこと。いつもいつもいつもそうなのだけれど、ひとつの正義を確信すると、他のいろいろな倫理的・文化的なストッパーが解除されてしまう人がいかに多いか。いや、多くはないのかもしれないけれど、うるさい連中の暴れっぷりは目に余る。この手の人々に目をつけられそうなブログは、コメントとかトラックバックを受け付けない方がいいよ。聖徳太子だって同時に応対できた相手はたった8人なのに、彼らは平気で10人、20人で書き込んで「返事がない!」と怒るんだもの。困った話です。(参考:コメント機能なかりせば

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