趣味Web 小説 2006-03-10

報道と蓋然性

荒川静香さんが日の丸をまとって行ったウィニングランを NHK が生中継しなかったことが問題となった件について。

NHKには、「偏向批判」が常に存在することは承知している。NHKの現状に対しても言いたいことはヤマほどある。だが、「NHK=偏向」という金太郎飴の反応は健全とはいえない。「坊主憎けりゃ」のたぐいである。

きちんとした事実関係を踏まえ、批判すべきは批判する。そういう当たり前の議論をしたいものだ。これが責任ある自由な言論というべきだろう。

ゲーム脳と全く同じ構図。NHK の「偏向」癖を糾弾するためなら、牽強付会でも証拠不十分でも何でもかんでもやる、何から何まで悪意を持って解釈する、そういう「マスコミ批判」をやりたい人には「鏡を見よ」といいたいが、正義の確信は人を盲目にする。

たしかに花岡さんの提示した「取材の結果」に明確は証拠は無い。しかしそれをいうなら、報道なんてみんなそうだといってもいい。自分の直感を否定する言説には100%の証明を求めるくせに、自分は物事の一面を見ただけで結論を出す、まあ、私も含めてみなそんなものなのだろうが……。意見を変えろ、とはいわない。あなたが正しいかもしれない。ただ、とりあえず妥当と思われるラインを見定めることに、もう少しだけ熱意を持ってほしいとは思う。

万人の万人に対する闘争が、そんなに好きか。直感を信じて小さな可能性を言い立て、ワーワーギャーギャーやらかすのが正しいとは、私には思われない。「私はこう思う、その考えは変えないが、現状のデータから見て、より一般的な結論はこうであろう」という程度のバランス感覚。これが難しい。難しいのだけれど、やらねばならぬ(言い切ってみた)。

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