メールへの返信。
- 中村正三郎氏とパオロ・マッツァリーノ氏
初めまして。
中村正三郎氏とパオロ・マッツァリーノ氏の今回の件について、どのように感じていらっしゃいますか?
彼らの表現した経済学観は、確かに完全な誤りでした。批判されるべきではあったでしょう。しかし、中村氏への「ののさん」氏の批判、マッツァリーノ氏への山形浩生氏の批判、これらは極めて苛烈でした。
今後、中村氏、マッツァリーノ氏が、経済学に興味を持つことは二度とないでしょう。ましてリフレ派になることなど。
私は徳保さんを、bewaad氏に「守られた」ことで、中村氏らと同じような道を辿らずに済んだ人だと思っています。ですから、徳保さんからは今回の件がどのように見えたのか、どうすべきだったとお考えか、伺ってみたいのです。
では失礼します。
とりあえずこれまでの展開に差異が生じた最も大きな原因は、中村さんやマッツァリーノさんは自説に自信を持っていたけれど、私はそうでなかった、ということではないでしょうか。対応云々は重要でないように思います。中村さんに対する bewaad さんの対応、マッツァリーノさんに対する飯田泰之さんの対応は、相手方の知性を信頼し、落ち着いた筆致を保って書かれていたように思うからです。
日常生活の中でみながそうしている程度に、私はウェブでも根拠に乏しい断言をしているわけですが、私は根本的に素人考えをあまり信頼していない。自分が「こうすればいいのでは?」と思いついたことなんて、実際にやってみればうまくいかないものだ、という経験的な感覚がある。だから私は、先生の胸を借りる生意気な生徒のような気分で臨んでいたわけです。
私がいろいろご教示いただいたのは2005年8月のことでしたが、経済学の本などをポツポツ読み始めたのは9月に入ってからです。9月に3冊、10月に12冊、11月に27冊の経済関連書籍を読了したわけですが、うまくいってこの程度なんですね。通常なら年単位で気長に考えるべきでは?
大学受験まで、私は政経が大好きでした。大学入学後、教養科目の経済学を履修しようと思って教室まで出向いたものの、オリエンテーションがひどくつまらなく思われ、受講票を提出するのをやめて他の教室へ。最初の躓きが全てで、「いつか勉強したいが……」と思ううちに卒業してしまった。それから4年経って bewaad さんのご指導に接し、やっと勉強を始めたわけです。
高校卒業から8年目ですよ。「経済学のことをもっと知りたいなー」と、ずっと思っていてさえこうなのであって、ちょっとやそっとのことではね、火がつくわけがない。中村さんやマッツァリーノさんは私などよりよほど勉強家でいらっしゃるから、単純には比較できないけれど、それでも年単位で考えるべきです。
中村さんもマッツァリーノさんも、リフレ派になるかどうかはともかく、今後も経済ニュースを見聞きし、様々な経済問題について多少の感想を持ち続けるでしょう。無関心になって、それっきり忘れ去ることができるほど、経済は一般人の日常から隔絶されていません。ですから、経済学を学ぶきっかけはいつも目の前にあり続けるはずです。
中村氏、マッツァリーノ氏が、経済学に興味を持つことは二度とない
とは思いません。昨晩の NHK 人間ドキュメントは、次男の死をきっかけに30代後半で医師を志し、40代で医師となり、50代で僻地医療に飛び込んだ女性を紹介していました。人生は長い。何が起きるかわかりませんよ。