趣味Web 小説 2006-07-02

TOSS の弱さ

このサイトは面白いと思う。メルマガのバックナンバーも読める。以下は関係ない話。

なんで TOSS ってこういうことができないんだろう。またその話か、といわれそうだけど。やっぱり残念なんだよね。向山式跳び箱指導法が四半世紀かけても教師の常識にならなかったし、今後もなる気配がないのだから、現在の活動の形は当初の目標を達成できないことが明らかだと思う。

高々数万人の教師に教育技術の重要性を説くことに成功して「私たちはすごい」と士気を鼓舞している間に、100マス計算のようなくだらない指導法にしてやられたり、昔から提唱していた音読がブームになっても時流に乗れなかったり。ようするに、狭く深い洗脳は得意だけど、広く浅い洗脳が決定的に苦手。

これではいつまで経っても局地戦の専門家のまま。大局的な勝利をつかめないゲリラの強さでしかない。TOSS インターネットランドの閉鎖性、検索エンジンでの弱さは、まさに向山流運動術の限界を示すものだと思う。

野口嘉則さんは企業向け研修の企画・管理を本業とされている方。ブログで日々情報発信をする中で読者の反応が飛び抜けて高かった1本の記事を見逃さず、ここぞとばかりに圧倒的なエネルギーを集中投下してウェブでプチブームを巻き起こし、書籍版もヒットさせ、本業の成功にまで結び付けた。こういった才能というか、やり方の妙を TOSS は真似できない。

法則化(TOSS)の本が売れているといっても仲間内で一定部数を捌いている事情がある。実際、本を読んでみても TOSS の教師が TOSS を自画自賛する内容ばっかり。サラッと読むだけでも宗教めいている、といって敬遠される。学生運動の体験をベースにした向山洋一さんのやり方では、党員数と政治資金では最強だが肝心の議席数が貧弱な共産党の立ち位置しか狙えない。

「小さな成功体験」から現在のような運動の展開方法に固執する限り、展望は開けないと見る。

私は単にウェブ戦略の観点から TOSS は野口さんのやり方を真似すべきといっているわけなんだけれども……。仲間じゃない人のリンクを禁じた TOSS とは逆に、野口さんは無断リンクどころか無断転載まで容認して自らの主張の口コミ普及に努め、書籍の販売に当たっては多くの読者を巻き込んでキャンペーンをぶち、実際に Amazon で瞬間風速的に1位も獲ってみせた。

教育技術の普及で子どもたちを救うのだ! というなら、無断転載だって何だって認めればいい。みっともないことだってすればいいんだ。向山型算数をはじめとする各種指導法などを、TOSS と縁もゆかりもない人が書籍や雑誌で勝手に紹介することに目くじら立てるべきではなかった。そういう話を、私はしているのです。

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