もし政府が月収40万円の家庭だったら(id:fromdusktildawn さん)と日本(ヒノモト)さんちの家計の事情(Dan Kogai さん)を受けて書かれた記事。
以前の「リフレ政策+歳出抑制→増税回避」のシナリオ(2005-08-23)に続くもので、今回はよりいっそう厳しい条件下で試算を行い、日本の財政が国民に極端な負担・我慢を強いることなく維持可能だと示しています。
ただ、bewaad さんは「まだソフトランディングの余地は十分にある」と示したに過ぎず、財政再建に(主に経済運営などの)努力が必要なことは否定していない。「当面財政赤字が続くとしても、収入の伸び率が支出の伸び率を(一定値以上)上回れば財政は維持できる」という説明には、なるほど納得させられるけれども、その実現は簡単ではないと思う。
高齢化の進展にともなう社会保障費の増大を上回る収入増は果たして可能か。可能でしょうね。経済成長が年3~5%を維持できるなら、財政規律をきちんとし続ける限り収入増が勝つ。でも政策的に支出がグンと伸びるタイミングで都合よく収入を伸ばすのは難しく、だから年金制度の国庫負担見直しに臨んで増税論議から逃れるのは難しい。増税は経済成長の妨げになるのだけれど。
ところで、幸運が重なって景気が回復してきたといわれながら、法人税減税の観測記事が新聞に載る。景気が回復したから所得税減税を終了したところなのに、今度は法人税減税? いったい何なんだ。増税派の産経新聞が投げた牽制球なのかと思ったら、他紙でも同様の観測が。
その一方で日銀は年内利上げも辞さず、とのこと。物価の上昇と景気の過熱を予防したいとか何とか。過熱を心配するような状況なのだろうか。
経済学を少しお勉強してみて、自分の考え方はちょっとだけクリアになったけれども、世の中のことは相変わらずよくわからないなあ、と感じる。
オマケで、最近、面白いなあと思った経済論説記事をふたつ。
産経の社説は意外な感じがした。「高金利が何故いけないのか」という問いに対して、事実上「国民が怒っているから」とのスタンスなのだ。で、今回の金利制限を契機に、サラ金業界は簡素ながら従来より信頼性の高い審査システムを知恵を絞って構築し、低利で儲かる体質にステップアップするべしとの主張。
金利制限は国民のガス抜きと割り切っていればこそ、金利制限以外の法改正のポイントについて精力的に報道してきたわけか。もっとも、貸し倒れリスクの低減と簡単審査を両立せよとの提言からは、グレーゾーン金利が業界を甘やかしてきたとの認識(=銀行イジメを賞賛したのと同じ考え方)が透けて見えるが……。
bewaad さんは昨今の金利制限論議の経済学的誤りを説かれ、私も納得した。けれども妥協の末に方針の固まった自民党案も、産経の主張も、私にとっては許容範囲だ。両者とも国民の無理解とよく闘ったと思う。