少年犯罪データベース管理人が指摘する件については、私も関心を持ち続けている。殺人の認知件数は2004年で1419件にもなる。1日平均3.9件……つまり未成年が犯人だと顔写真や名前が保護されることが議論の種となっているが、そもそも年間1000件近い殺人事件が被害者の名前さえ報道されずにいるのだ。
今朝の産経新聞朝刊をあらためて精査してみたが、新たな殺人事件はたった1件しか報じられていなかった。殺人の検挙率は9割に達しているというが、マスコミは果たしてその実態を報道の立場できちんとチェックできているのか? どうもよくわからない。
文学界ではどうだろう。東野圭吾さんの作品を読み返してみるに、マスコミがそれなりに存在感を持っている事例とそうでない事例がある様子。全く報道されない殺人事件について、ミステリー作家の見解も聞いてみたい。マスコミの存在を捨象した小説、逆に報道被害などを扱った小説、劇場型犯罪を描く小説、警察や探偵や犯人の情報交錯によって報道が規制された犯罪を取り上げた小説などはたくさん読んだが、過半の殺人が報道されない状況自体をテーマにした小説は記憶にない。
きっと、私が知らないだけなのだろうが。
飲酒運転による死亡事故はどんどん減っていて、そしてまた飲酒と無関係の死亡事故の方が圧倒的に多いのは昔から変わらない。にもかかわらず、なぜ今、飲酒運転撲滅運動なのか? その疑問はわかる。ただ、私は陰謀論には与しない。マスコミや警察にそんな力があるなら、世の中こうはなっていない。
法務省の法務総合研究所の調査結果によれば、痴漢やセクハラを含む性的暴行の被害率(最近5年間)は2.7%となっている。女性のみの調査結果なので、単純に6000万人の2.7%を求めると162万人。警視庁の資料によれば、卑猥行為検挙件数の8割弱が電車内でのもの。年間2000件強の痴漢犯罪検挙数に対して暗数は数十倍(10万件前後か?)との警視庁の予測には納得できる。
たった2千件程度の検挙件数に恐れ戦く人もいる。例え僅かでも冤罪は重大な問題だが、暗数の大きさを考えれば検挙件数は「少な過ぎる」というべきだろう。