財政再建の話題。記事が増えて、時系列だとついていけないので、属人的に整理。自分用メモです。
以下は、オマケ。(注:いったん公開後、大幅に書き直しました)
bewaad氏は、どうやって円滑に無理なく国民から税を徴収し、無理なく国家財政の借金を返済するか、という、いわば徴税と財務のテクニック論の話を延々と繰り広げる。
しかし、いくら円滑に税金を徴収して国の借金を返済したところで、弾氏が問題点として掲げている「見えない社会保障」の崩れによる若者と老人の負担のバランスの悪さの解消にはつながらない。
明らかに見当外れの議論を展開している。
bewaad さんの主張の背景には「弾さんのいう問題の大半は十分な経済成長が続けば自然消滅してしまう(そもそも社会の荒廃はバブル崩壊とその後の経済運営の失敗によるものである)」という見解があるのです。たしかに当該記事の中でその議論は省略されているのですが、bewaad さんのうんざり顔が目に浮かびます。
仮に、弾氏の主張通り、相続税を増税したとしたら、本当に「消費が大幅に萎縮して景気が格段に悪化」するんでしょうか?
bewaad さんは税制論議について世代間の選択の問題ではなく、世代内の選択の問題
と説明し、弾さんの議論を枠組みから否定しています。そして真に重要なのは、負債を短期的に処理するか、長期的に処理するかであり、大増税による短期処理は景気停滞を招いて痛み大きく益少ないと主張されているわけです。
ところで現行の相続税には5000万円+1000万円×法定相続人の人数という大きな基礎控除が設定されていますが、その全廃に多くの賛同が集まることは今後10年間には絶対ありえないでしょう。基礎控除の全廃は山手線の内側から一般人を全員追い出す結果を導きますが、かつて地上げをあれほど嫌悪し土地の有効利用を拒否した日本人が、それを許すでしょうか。私の観察では、人々の伝統や地域社会への思い入れは意外と強い。
民意はそこそこ保守的なので、社会や生活の大変革をもたらさない形での増税が志向され、だからこそ消費税や所得税・法人税の増税が議論されるわけです。
もちろん本気。ただ bewaad さんは弾さんの説得はできても、貞子さんの説得はできそうにない。でも多くの国民は貞子さんに親和的でしょうね。構造改革が人気を博す一方、リフレ派の主張が浸透しない背景には、根深い文化的な問題があるのは間違いないところ。政策は単純に民意で決まらないのが救いですが。
なんというか、人が現役世代として社会にかかわるのは長くとも40年程度。より長いスパンを扱う議論は、一般人にはリアリティが感じられないのかも。国会議員が短期的な財政均衡を目指すのも、人生の短さ故だと思う。人生が150年なら、リフレ派の主張はもう少しすんなり受け止められていたのではないか。
bewaad さんの主張が「高度過ぎる」ならド素人の私が賛同できるはずがない。問題は「未来の不確実性をどう見積もるか」なども含めた、価値観・世界観の埋め難い差異です。
分割払いの例え話だけでは乗り越えられない壁が「世代をまたぐ負担」です。2~5世代にわたる長期戦略で財政を考えるリフレ派の主張は「子孫にツケを回すな」の倫理に抵触し、直感的に拒否されやすい。多くの人々は無意識に経済的利益以外の何かをもっと重視して生きており、その打破は困難では? と思うのです。