安田さんはお上の勝手で2004年の歌舞伎町一斉摘発
が行われ、違法産業のひとつが叩き潰されたのだ、という構図で問題を理解されているようですね。私は例によって「これは国民の意識の変化によるものだ。行政は世間の許す範囲で多少の裁量を持っているに過ぎない」という立場をとります。
古くは60年安保、70年安保などがありますが、本当に大多数の国民が反自民だったなら政権は倒れていた。世間の意向は、一部の突出した状況やマスコミ報道だけでは読みきれない。
私の大学時代の友人・知人に、風俗産業のユーザは一人もいませんでした。それはもちろん私自身のパーソナリティーの強い影響によります。
会社というのは様々な階層から人を集めてくるものだから、私の個性というバイアスはかなり薄まります。高卒の人も偏差値30台の大学卒の人もいて、また性格もいろいろであって、長らく私と縁遠かった種類の人がたくさんいました。同期社員20数名、男性20人余り、女性数人。その中に3人だったかな、風俗の利用体験があった人は。
その3人の中の1人は風俗体験くらいみなあるものと思い込んでいて、ニ次会で風俗行きを提案したことがありました。「いや、そういうのはちょっと……」とドン引きの仲間の様子が理解できないらしく「お前ら変」とかという。別に他人の趣味に口を出す気はないわけで、面倒くさいな、と思っていたら「みんな新入社員でお金がないから」と別の風俗経験者が助け船を出し、そのまま経験者3人で街へ。
残った側は「風俗ってわからないな」「行こうっていう感覚もわからない」と口々に言い合っていたんだけど、その空気の中で本当のことをいえない人もいたかもしれない、とは思う。
とまれ現在は合法とされている風俗産業までまとめて潰れたって「別にいいんじゃないの」という感覚の人が、若い男性の中では過半数かも、という感覚を私は持ちました。それが2002年の話。2004年の歌舞伎町浄化作戦について、周囲で話題になったことは全くなく、極めてどうでもいいニュースでした。
少し話は変わるけれども、社会人になるまでは自分の周囲でだけ需要がないのであって、世間一般では大きな需要があるに違いないと思い込んでいたものを、ついでにいくつか挙げてみたい。
まずホステスさんのいるようなお店、次にスナックやクラブの類、そしてカラオケ。私の勤務先ではこれらのいずれにも無縁の人が大半です。営業マンの大半が「接待? 今時そんなことで取引先を決めてたら公私混同で処罰ものでしょ。うちもそうなら相手もそう」という感覚で仕事してる様子。よく知りませんが。
いわれてみれば、そりゃそうだよね、と思う。あとバーとかの需要がほとんどないのは「薄給で缶ビールも買えずに発泡酒で我慢しているのに、お店になんかいくわけないでしょ」という理由みたい。私のように飲み会以外でお酒は全く飲みません、という人も多い。
そこで自民党は3年間で警察官の1万人増員というのを断行したんです。空き交番の解消というのも、警察官の増員ができなければ実施できません。3年がかりでこれを達成し、更に3年でもう1万人の増員も決定した結果、それまで悪名の高かった東京新宿の歌舞伎町、渋谷等の盛り場から、いわゆる「マジヤバイ」のが消えて、健全とまでは言えませんが「軽くヤバイ」程度に治安が向上したんです。「空き交番」の話しもあまり聞かれなくなったとは思われませんか。
やはり、国民の声で政治が動いたのだ。