日本の金融政策トップに、またもや素人が選任されたという話題。
高成長戦略の旗振り役であり日銀批判の急先鋒でもある中川秀直自民党幹事長は、何をやっているのか。口を出せばきっと批判されるのでしょうが……。内閣は人事の他に日銀支配の方法を持っていない。憲法第65条に行政権は内閣に属するとありますが、やるべきの手を抜いて後から批判をするのでは無責任です。
仕事柄、立候補制にするよりはいいのでしょうが、もうちょっとどうにかならないのかなあ。以前も書きましたが、中原伸之さんの「日銀はだれのものか」に、浜田宏一さんと岩田規久男さんが打診を蹴った話が載っています。何度読み返しても、つくづく口惜しい。個人の幸福追求はもちろん大事ですが、それにしても……。
新聞記者さんの本ということで、正直あまり期待はなかったのですが、読んでみたらけっこう面白かったです。スリーピング・ボードと呼ばれたかつての政策委員会にも気骨の士がいた、というお話。
中原以降、再び執行部主導の審議になってしまっているようで、残念。少なくとも景況判断は各審議委員とも大差ないようですし。新・日銀法施行前後に刊行された2冊の本で予想されている通りの展開に見え、何だか寂しい。寂しい、とかいうレベルの話でないような気がしますが。
現実味の無い話ながら、田中秀臣さん(上武大学助教授)が審議委員就任を打診されたら、絶対に受けてほしい。日銀批判の急先鋒であるリフレ派の諸先生方が、今度また打診を蹴ったら怒るよ。怒っていいと思うんだ、一国民として……というのが大袈裟なら、一読者として。
「日銀はだれのものか」P104-105
三月に入ってまもなく、エール大学教授の浜田宏一さんと昼食を共にしました。浜田さんは新日本奨学会の奨学生で、私は浜田さんの明晰さを高く評価していました。それまでにも審議委員になってもらえればいいのですがと暗に打診していました。しかし、結局、引き受けてもらえませんでした。この人が政策委に加わっていたら、金融政策の運営ももう少しスムーズだったかもしれません。
同 P157
また篠塚さんの後任の審議委員人事も話題になりました。森さんからは、だれかいい人がいれば推薦してほしいと言われました。週明けの五日、学習院大教授で私の勉強会のメンバーでもある岩田規久男さんと昼食を一緒にする機会があったので、彼の意向を聞いてみました。しかし、彼は否定的でした。「まだ五十八歳。七十歳まで学習院大に勤めたい」というのです。結局、篠塚さんの後任は、同じく学習院大学教授だった須田美矢子さんに決まりました。
それぞれ2000年3月、2001年2月の話。その後、とくに岩田さんは、多くの著書で厳しく日銀政策委の判断を糾弾してきました。その主張に賛同すればこそむしろ、私は腹立ちを抑えられません。
正しい経済政策によって日本は年率で名目5%(実質3%)の経済成長を実現できる、と前世紀からいっているのがリフレ派の先生方なので、名目1.3%程度の経済成長に不満顔なのは当然です。5%成長なら、もっと失業率が下がり、投資も活発になるはず。……というわけで、GDP の変化に注目すればいいと思う