趣味Web 小説 2007-10-15

アホの子はアホの子らしく

あのね、財布をですね、ケツポケに入れると思うんですよ大抵の男は。大きめトートバッグからごそごそ取り出したり、制服(?)のまんま財布だけ手に持って社外にランチ(たっぷり夏野菜のスパゲッティ(サラダとコーヒー付))とか食いに行く男ってあんまいないと思うんですよ。そう、ケツポケ財布、それは男の象徴。

私は「大抵の」に当てはまらない。

家計簿をつけていてわかるのですが、だいたい週に2~3日しか財布を使っていない。通勤で都電を使うので、カードケースは平日ならほぼ毎日使いますが、これは胸ポケットに入れています。

財布は使用頻度が低い反面、必要なときに「家に(会社に)忘れてきた」では困る。定期券がなくても現金で払えばいいが、その現金もなければどうしようもない。メーカー勤務なので、会社では作業服に着替える。昼食は法人事業所向けのお弁当が支給される。下は履き替えてしまうので、ズボンのポケットに物を入れると、入れ替えが必要。上はワイシャツの上に作業着を着るので、胸ポケットなら、その手間がない。

財布はカバンの中。カバンには家の鍵と会社のロッカーの鍵も、紐でくっつけてある。外出するとき、カバンを忘れず、同時に財布も決して忘れないための工夫。盗難リスクを考えると危ないのだろうけれど、ロッカーの鍵がなくて会社に到着して呆然としたり、財布がなくて電車に乗れなかったり、そういうことが何度もあったので、より頻度の高いリスクへの対処を優先することにしたわけ。

人並みの注意深さがあれば、私の人生も、いろいろ違っていたかもしれない。

よく朝の天気予報で「折り畳み傘を持っていくとよいでしょう」なんてやっているけれど、「そうか、なるほど」と思いつつカバンに傘を入れ忘れてしまう。入社1年目でつくづく懲りて、以降、カバンに傘を入れっ放し。(注:学生時代は置き傘をしていた)

背伸び厳禁。アホの子はアホの子らしく、大きなカバンをいつも持ち歩くべきなんだ。

以前、社内の自販機で飲み物を買う際、席にカバンを置いて財布だけ持っていったら、見事に財布を戻し忘れた。帰宅途中で寄ったスーパーのレジで愕然。「ごめんなさい」といって商品を全部、棚に戻す。いくら痛い目にあっても、こういうポカは一向に減らない。「気をつける」じゃ対策にならないんだな。

網棚に載せた荷物、そのまま忘れることが多い。だからもう、網棚は使わない。電車の手すりに掛けた傘、乗車中に雨がやむと、これまた忘れ去る。だからもう、傘は絶対に手から離さない。

そう心に決めて、悩みは減った。でも、自分には縁のなくなった網棚や手すりを眺めていると、ワァーッと叫びたくなる。私は恵まれた人間。それはよくわかってる。なのに、こんな小さなことで、鬱々として暗いエネルギーを溜め込む。持たざる者の哀しさ、私も少しは理解しているつもり。

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