「混合診療は原則として認めてはならない」はわからない。原則としては認めるべきでは? 保険財政の悪化と保険導入プロセスの欠陥があって初めて混合診療禁止に歯止めとしての意味が出てくるのだから。歯止めと言っても小金持ちの命を人質にして貧乏人の命を守ろうみたいな構図だし、相手が突っ張ったら小金持ちもろとも死んでしまうわけで、かなり気持ち悪い話だ。
私はなんばさんの感覚に共感します。ただ、混合診療を怖がる感覚も理解できるような感じはします。
所詮は多数決なんだから、多数派が自動的に弱者の味方をするような制度設計をするべきだ、と。弱者救済が好きな人だって、並みの精神力では、自分だけいい生活をすることから逃れられない。
例えば、日本とアフリカの医療水準を平準化しよう、なんてことをいう人、滅多にいない。日本の医療水準を切り下げてまで、外国に支援なんかできないわけ。そんなの当たり前、かもしれないけど、日本人同士では、そういうことをやっているんですよね。身寄りのない寝たきり老人の保護とか。
なぜ日本人同士なら可能なのか。やっぱりそれは、「歴史」とか、「文化」とか、「法」とか、そういうフィクションの力なんだと思う。
日本人か否か、という区分を作ってしまうことで、「大金持ち限定のクラブを作って、外側にいる人には申し訳程度のお金しか恵んでやらない」て生活に良心の呵責を感じなくなる。人の心なんて、そんなもの。私だって、当然その枠を一歩も出ない。この駄文を書いてる機械を買うお金で、いったい何人の命を救えたか。
混合診療を解禁すると、多数派の中間層が、底辺層と分断されることになると思うんだよね。例えば、民間の保険会社が、自由診療に対応した商品を出すでしょう。小金持ちクラブの中でリスクヘッジ。自分には新しい医学的知見を利用する権利があるんだ、ニートと一緒にするなバカ、みたいな感覚が蔓延しかねない。
個人的には、現状の保険診療の範囲を縮小するわけじゃなし、(どうせ海の向こうで人がバタバタ死んでることについては「仕方ない」くらいに思ってるんでしょ? という意味で)許容範囲なんだけど、許せないと考える人がいるのはわかる。
二大政党のどちらも所得税の累進強化をいわない。法人税は下げて消費税を上げるという。そういう政党が支持を集めているわけなんで、国庫負担を増やして保険料据え置きというのもむなしい。消費税は絶対に取られちゃうから、いちばん貧乏な人が健康保険を滞納してしまう。年金未加入のように。
だったら、保険診療の範囲を拡大せず、増税も保険負担増もできる限り抑制する方がマシかも。
年金未加入でも、年金に投入されてる税金は負担し続けるわけで、貧乏だから年金未加入、なんてバカバカしい。貧乏人が金持ちに貢いでるようなもの。でも人の心は弱くて、月額1.5万円くらいを節約できない。ホントにその1.5万円がなきゃ死ぬという貧乏なら免除されるのだけれど……。