趣味Web 小説 2008-03-02

残業させない。給料を下げる。人を増やす。

彼は残業代のチャンピオンでした。基本給与は最低レベルなのに、残業代を加えると給与全体ではトップクラス。にも関わらず結局仕事がきちんと上がらなかったので、エース級の人材が彼の尻拭いをする羽目になっていて、これでは出来る社員が二重に腐ってしまいます。

善人で仕事ができない先輩。正直引導を渡すのが最も鬱になる相手です。だからこそ、今まで辞めずにクビにならずに残っていた。だからこそけじめをつけなければならない。

以前にも書いた通り、私には、自らの望む世界を構築する力を得る気概がない。自分は既に満足できる生活基盤を手に入れたので、ぬくぬくと一人安住していこうとしている。だから、そんな私が何をいったところで無責任な、他人事風の言葉にしかならないわけだけれども……と改めて断った上で書く。

私なら、弾さんのようには、し(たく)ない。

弾さんの記事について、誰も「ひどい」といってなければ、私はきっと「ひどい」と書いたんだろうけど、はてブの反応を見ると、もやもやする。

あえていうと、そもそも弾さんに問い詰められて「辞めます」と追い込まれていくこと自体、それに同情すること自体、首切りを必然的に発生させる考え方を受け入れてしまっているが故のこと。

弾: あなたはこのプロジェクトとこのプロジェクトで納期を破っている。なぜですか。

彼: がんばったのですが....

徳保案A(可能性レベル):「納期遅れが続いていますね。今後、残業は認めません。当面、基本給を据え置きます。進捗状況を、毎日、報告してください。仕事が遅れている箇所を、必ず申告してください。定時帰社で実現できる水準まで、どんどんノルマを減らします。状況を見て、人を増やすことも検討しています」

徳保案B(非現実的):「納期遅れの理由は?」「ノルマが過大でした。今後は仕事の割り当てを減らしてください」「人手が足りない」「増やす必要があるのです」「お金が足りない」「私の残業代を全部足しても足りないなら法律の範囲内で基本給も削ってかまいません」「検討しましょう」

分相応に仕事をする、させる。それだけのことなのに。そして、みんながこのように考えたなら、日本人労働者の一人当たり給与はかなり減るだろうけれど、失業者もまた一掃されるはずなのに。どうして。

受注量を減らせず、平社員の基本給なら黒字だったのであれば、残業しない人を2人雇えばいい。

弾さんに、そういう道を選ぶ権能はなかった、あるいはリソース配分の優先順位を考えると自主退職を促すのが(弾さんにとって)ベストの選択肢だったのかもしれない。いや、辞めた人だって、給料もノルマも職場で最低クラス、という扱いを受けることこそ最大の屈辱、自主退職の方がずっとマシ、だったかもしれない。

仕方ない。私が弾さんの立場だったとして、きっと何もできなかったろう、とは思う。

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