趣味Web 小説 2009-10-19

memo:デフレ不況と3つの経済トピック

1.

成果主義は多くの社員の勤労意欲を減退させてしまう、という話題。リンク先記事には何ら具体的な提案がないが、それは当然だと思う。

デフレ下では、序列が下がると給料も下がってしまう。人の意欲への影響は実質賃金よりも名目賃金の方が大きいから、適度なインフレは社会の潤滑油として機能する。しかもデフレからインフレへの転換過程では、需要不足が解消されて経済成長することになるから、みんなが潤うはず。

逆にいえば、個別の企業がどう努力しても、なかなかうまくいかないだろう。企業の業績を上げて、底辺層の社員も給料がプラスになるよう頑張りましょう……なんて処方箋は、デフレ不況のもとでは「それができれば苦労しないよ」という話だ。

2.

エコノミストの見解は冷厳。商売に栄枯盛衰はつきものなんだから、敗者は他の仕事を探せ、という。そんなに簡単に仕事が見つかったら苦労しないよ……今はたしかにそうかもしれない。それでも、「だからユニクロはダメ」ではなく「だからデフレ不況を放置している日銀と政府はひどい」のだ。

衣料品の低価格化によって浮いたお金は、(デフレでなければ)他の何かの消費に回るだろう。社会全体で消費が減るわけではないから、家計の縮小にはつながらない。結果、衣料品が安い世界では、消費者は同じお金でより多くの(または質の高い)商品を得られる。よって相対価格の低下を追求するのは、よいことだ。

これは山崎さんの特異な考え方ではないので、興味のある方は他のエコノミストの回答も参照してほしい。

農業や紡績など、日本は次々と産業を乗り換えて発展してきた。国内のジーンズ業界も、一部の高級品などを除けば、もはや厳しい業種なのだろう。それは必ずしも会社の消滅を意味しない。景気さえよければ、組織の力を活かした転業には十分な可能性がある。

もっとも、転業の際にはいったん組織を縮小する必要があるかもしれない。今、それはつらい。私の勤務先でも2005~2007年にはフリーターを何人も正社員として中途採用していた。あの程度の弱々しい景気でさえ雇用環境は改善された。やはり不況を脱出することが何より大事なのだ。

3.

外国為替はこう動く

経済成長率と為替の動きには相関が見られない、という話が、きちんとデータを示して紹介されている本。えっ!? と思ったんだけど、これが現実。多くの市場参加者が経済成長を確信する国があった場合、その国への投資が増えて、通貨の価値が上がる……何となく、私はこう考えていた。でも違っていたんだな。

他にもいろいろ、まず事実を見ましょうよ、という興味深い話がたくさん。詳細は同書を読んで確認してほしい。趨勢的なインフレ率の差が長期的な為替動向を決める。当たり前の理屈だ。私はメモ的に思いついたことをあれこれ書いているけれど、素人の思いつきに、さしたる意味はないな。あらためて、そう思った。

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