ざっと見た感じ、客室乗務員への風当たりが強い。個人的にはこれ、公務員叩きと同様の構図で、理解できます。
ちょっと不景気になると、公務員の倍率は100倍に達したりします。それほど魅力的な職種なら、給料は下がってもいいはず。ところが、下がらない。自然、公務員という身分は権益となり、怨嗟の対象となります。
客室乗務員も同じで、今でもおそらく、客室乗務員をやりたい人は掃いて捨てるほどいるんだろうと思う。全日空の待遇が羨ましいなら転職すればいい。年収500万円なら、日航の客室乗務員はまだまだ高倍率でしょう。年収をケチれば人材の質も落ちますが、その匙加減は客の選択と経営判断の問題。
ようするに、「そんなに文句があるなら、私にその職を明け渡してほしい」と少なからぬ人々に思われている。先輩と較べて云々、それが何だというのだろう。「まさに今、自分たちは妬まれている」という感覚がスコーンと抜けている。その無自覚が、怒りを呼ぶ。
給料は、規制がなければ、一定の離職率を実現する最低限の水準に落ち着きます。英語力の基準が厳しいので、基準未満の応募者を除くと、客室乗務員の真の倍率は低いという見方もありますが、年収500万円で怒っている人の大多数は、給料据え置きでも辞めないでしょう。とすると、むしろ今の給料でも高すぎるのかも。
ところで、給料が適正水準になったら怨嗟の声がなくなるかというと、さにあらず。公務員にせよ客室乗務員にせよ、業務に必要な能力がない者が「自分ならもっと安い給料でも働くのに」と思うから厄介。
「給料を上げてほしい」というのはいいんですけれども、「自分は給料がどこまで減ったら転職を考えるだろうか」ということも、時々考えておいた方がいいと思う。私の場合は、年収が180万円を下回ったら、転職を考えます。逆にいえば、そこまでは足元を見られても仕方ないな、と納得しています。
もう一回、就職活動をするのが、自分は途轍もなく嫌なんだなあ、とあらためて実感します。あと、転職して今より居心地のいい会社、いい人の集まってる会社に入れる自信が全くない。現状が良過ぎる、というのは、ものすごく大きいです。あぁあ、デフレ、不景気、人余り、恐怖の根源が解消されるのはいつの日か……。