趣味Web 小説 2009-12-28

菅原琢『世論の曲解』から民主党政権の行方を妄想する

1.

政治家は国民の声を知りたいと切実に願っていると思う。でも、なかなかわからない。陳情にくる人の声を聞いても、ブログ検索をしても、全くわからない。世論調査は比較的マシな情報源だけれども、結果をボンヤリ眺めるだけでは世論を曲解することに。

世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書)

世論調査と選挙結果を分析し、容易には掴めない世論の多数意見を明らかにしようとした興味深い1冊。自民党が2005年の衆院選に勝った理由、2007年の参院選および2009年の衆院選に負けた理由を追求した言説はいくつも目にしましたが、私には本書の分析が最も説得的に感じられました。

詳細なレビューはAmazonに書いてます(→レビュー『世論の曲解』科学的な政治学:世論調査をきちんと分析して「常識」を再検討する)ので、ぜひご一読いただき、ご不満な点があれば教えてください。Amazonのレビューで「参考にならなかった」票を入れる人の意見が知りたいのです。どうもこのところ「参考にならなかった」票が多くて、何がまずいのかわからず困惑しているのです。

286頁もある分厚い本ですが、図表がかなりの面積を占めており、また本文は饒舌ゆえ飛ばし読み可。読むのに時間はかかりません。

本書のような科学的な手法に基づく政治分析は、私が長年読みたいと思っていたもの。まさに待望の書なのですが、著者が様々な予断を持っていることは本文にあふれる余計な文言の数々から明らか。残念でなりません。饒舌を刈り込んで200頁程度にまとめてくれたらどんなによかったか。

2.

『世論の曲解』は世論と自民党の関係に焦点を当てており、有権者が自民党に失望した理由は明快ながら、代わりに民主党が期待された理由は、よくわからない。また、多数派世論が何を求めており、政権政党がどのような政策を推進すれば選挙に勝てそうなのかについても、クリアではない。

著者が肝心な点をぼかしているのは、断言するだけの根拠がないからなのでしょう。それを承知で踏み込むならば、2005年に自民党を大勝させた有権者は「構造改革」と「財政再建」を求めていたという分析は、民主党の勝利にも当てはまるのではないか。「えぇー?」と首を傾げる人が少なくないかもしれない。でも、

概要このようになっている世論調査と、合致しているように思えるのですよ。民主党が年金、子育て、格差などに焦点を当て、官僚イジメと財政再建が後景に引くと、支持率は低落の一途を辿りそう。現在の民主党は「小泉路線に反発する人々の支持で政権を取った」と、自民党と同様の「世論の曲解」をしていると思う。

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