趣味Web 小説 2009-12-29

ネットと本と講演と 他

1.

鳩山由紀夫の政治を科学する (帰ってきたバカヤロー経済学)

この年末、今秋に政権交代を成し遂げた民主党の鳩山由紀夫政権の行方に関心を持った私は、『世論の曲解』と平行して本書『鳩山由紀夫の政治を科学する』を読みました。『世論の曲解』とは対照的に、従来型の政論副題こそ「帰ってきたバカヤロー経済学」なのですが、その『バカヤロー経済学』とは異なり、経済学的な視点は乏しいので要注意。

例によってレビューはAmazonに書いてます。ご意見いただければ幸いです。

2.

ま、本の内容はレビューを読んでもらうとして、この本、ページが多い。税込840円なのに320ページもある。小説ならふつうの値段かもしれないけれど、教養系の新書サイズの本としては珍しい値付け。対談形式で読みやすく、サクサク読めるので、読了にかかる時間は短い。ですが、「だから価格が下がる」というなら、あの作家やこの作家の本の値段だってもっと下がっていいはずですよね。

3.本題

対談本ってお互いが記憶だけを頼りに語るせいか、読みやすいかわりに内容が薄いように感じることが多い。作るのも簡単そうに思えます。しかし実際は、200ページくらいの新書を作るのに12~16時間ほど対談しなければならないらしい。本を読めば1~4時間ですから、書籍の高効率は凄まじい。

梅田望夫さんと茂木健一郎さんの対談本『フューチャリスト宣言』には、お二人の講演録も収められています。なんと60分ほど話した内容が20分もかからずに読めてしまう。恐ろしい。いいのかなあ……と、他人事ながら不安に思う。だって、本がある程度売れると、出版物の印税より講演料の方が稼ぎが多くなる人がたくさんいるっていうでしょう。

このような講演と書籍の関係は、書籍とネットの関係に似ていると思う。効率ということでは書籍が最強なのですが、価格や全体の情報量に注目すると、相似形の問題と捉えられるのではないか。

講演を聞きにいくのは、書籍を読むのと比較すれば、大変な手間でしょう。情報量も少ない。それなのに、価格が高い。ところが、それでも講演にくる人が大勢いて、印税より大きな稼ぎになってしまう。同様に、書籍を読むよりブログを読む方が安いし、単純に文字数を比較すればブログの方が総文字数は多い。それでも書籍には需要があり、ブログより大きなビジネスになる。

ボランティア活動ばかりやってる著名人がどうやって生きているのかと思ったら、じつは講演活動だったりします。でも著名人が名声を得たのは、本が売れたり、テレビの取材を受けたりしたから。最初から講演で生きようとしても難しい。本とブログにも、そんな関係があるのかもしれないな。

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