趣味Web 小説 2010-08-03

『まおゆう』出版談義と『電車男』書籍版の編集思想

twitterやはてブで話題になったのは5月か……。で、これって本になるんじゃなかったの? まとめサイトを見たらあまりの長さに「こりゃ読めん」と思って、ポヤーンと待っていたんだけど。

利口な編集者が、まともな校正者とそれなりのイラストレーターをセッティングすれば、100円×13章くらいで配信できそう。

あー。桝田さんが中心になって、twitterで用語集を付けようとか何とかいろんな「アイデア」を受けて……なるほどね、それだから、2ヵ月半経っても本にならないんだ。新潮社なら、あっさりほとんどそのまま本にしてたろうと思う。で、それなりに売れたんじゃないか。

書籍版の『電車男』を見たとき私は「えっ? これでいいの?」と驚愕した。けれども、これがミリオンセラーになる。私は『電車男』の編集から「部外者にはよくわからないお約束や方言などをいちいち解説する必要はない。ネット上で生のコンテンツが大勢にヒットしたからには、枝葉の部分がよくわからなくても、根幹の魅力が損なわれることはない」という思想を感じ取った。まあ、私の妄想と思っていただいてよい。

ただ、会社で何かを提案する際、『電車男』の編集姿勢を思い出すことが時々ある。「全て」を理解してもらおうとすると、話がくどくなってしまい、結局うまくいかない。提案が却下された際、「ここを理解されなかったからだ。説明が足りなかった」と思いがちだけれども、そうではないのではないか。

twitterの議論を眺めると、『まおゆう』のファンたちが、「『まおゆう』の素晴らしさを広く一般の方々に伝えるためにはどうしたらよいか?」という問いを立てて、自分と同じような理解の水準で楽しんでもらおうと知恵を絞っているように見える。でも、本当に充実した用語集や豊富なイラストなどが必要なのだろうか。冗長だったり文章が稚拙だったりする部分を整理しなきゃならないのだろうか。

いま私は、ウェブサイトの書籍化は、「それなりのレイアウトでシンプルに印刷した紙束を製本したもの」でいいのではないかと思っている。ウェブ版を読んだ人は、しばしばそういうのを「手抜き」とかいって馬鹿にしたりする。しかし、ウェブでただで読めるものを本にして書店に並べることで「届く」人がいるのだから、それでいいじゃないか。

要約:早く出版してください。

2.

書籍化を待っている間に、いろんな感想を斜め読みするだけでお腹いっぱいになってしまった……。

Information

注意書き