趣味Web 小説 2010-09-22

一人の発言を過大視しない

出社する時の地下鉄で、「子どもがうるさいので降りてくれませんか。みんなこれから働くんですよ」と親子連れに意見したOLに遭遇。泣きそうな顔で子どもを連れて降りたお母さんに勝ち誇った顔をしたOLに嫌悪感。スーツ姿でパリッと決めたキャリア志向さんなんだなぁ。

とりあえず事実だとして。話題そのものはさておいて、メタな話をする。

その場にはおそらく大勢の人がいて、一人の他は誰も何も意見を語らなかったのだろう。消極的にであれ、そういう選択をした。たった一人の発言者の言葉に、動じる必要はない。むしろ、一人の発言がみんなの意思の代表とみなされるようだと、誰もおいそれと口を開けなくなってしまう。そんな息苦しい社会は嫌だ。

実際、「うるさいな」「早く目的地に着いて降りてほしいな」と思っていた人は他にもいただろうが、だいたいの人は何ともいわなかったのであり、それが多数派の意思だ。みなが、そこをしっかり押さえておかないと、「たとえ一人でもこんな酷薄なことを公言するヤツが存在してはならない」という方向へ進んでしまい、少数派の言論の自由は強く強く抑圧されることになる。

みなが「そうだ、そうだ」とでもいうようにうなずいてみせた……というなら話は変わってくるが、考えにくいな。心の中で同意することと、賛同の意思を表明することには大きな段差がある。まあね、「黙認」というなら、OLさんの発言だって「黙認」されたわけなんだけど。

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