「1)日本からの輸入を停止する。2)日本への輸出を停止する。3)日本より高値で資源を買い占める。」という内容。政府高官の発言などではなく、中国のメディアが掲載した記事だそうだ。
いずれも意図的に発動すれば、日本に限らず世界中の国に対して「中国との経済取引のリスクは従来予想されていたよりかなり高い」ことを印象付けることになり、貿易や投資の冷え込みが予想される。また単純に考えても、1)2)は中国側にとっても日本側と同等の極めて大きな打撃になる他、3)は中国が一方的に損をするので、意志の強さや覚悟を示すという以上の意味はないだろう。
自由貿易による国際分業の推進は、人々が合理的に行動する限り、平和に資するものだ。しかし、リンク先のような意見を真顔で語る人や、それを真に受ける人が多いなら、必ずしもそうはなるまい。
ただ、主要国首脳会議などのたび、反グローバリズムの抗議行動が行われていたりするが、会議はいつも貿易促進の重要性を確認している。政府が愚行に走ったとき、仮にそれが民意の反映だったとしても、大衆は無責任にも結果から政治を批判する。極めてマズイ結果をもたらす政策は、民主政治そのものがきちんと維持される限り、破滅の前に打ち切られるはずだ。民主国家の政治家は、ある程度それを見越して行動してきたし、今後もそうだろうと信じたい。
一党独裁の中国政府は、過去半世紀の歴史を振り返ってみても、あまり信頼は置けない。まあでも、レアアースの一時的な輸出停止にしても、中国政府はそれを政治的報復措置だとはいわなかった。様々な解説があったが、「世論のガス抜きのため、国民の福祉によい結果をもたらさない政策であることは承知の上で、一定の無理を通している」という意見が、個人的には納得できた。
私が不勉強なだけかもしれないけど、ワシントン・コンセンサスは自由経済と国際分業を推進するものではあるけれども、再分配を否定しているようには見えない。経済の安定化と所得再分配の重要性を付け加えるべき、という主張なら納得できるけれども、ワシントン・コンセンサスの否定が格差社会解消への道、といった(私の視界の中でよく見かける)意見には首を傾げる。