栃木県は青少年健全育成条例に基づき、年4回、有害図書・有害興行を指定しています。また年初の審議会では、優良図書類の指定も行っています。優良図書は先に紹介したので、今日から数日は有害図書について書いていきます。
ちなみに2009年3月以前の情報はウェブ上に公開されていません。
2011年2月指定の有害図書は、下図の通り。有害興行は県内で公開された映倫R18指定の作品リストを追認しているだけみたいなので、略。
東京都の指定する有害図書と見比べると、栃木県の方が規制が厳しいことが伺えます。
栃木県の青少年健全育成条例には、東京都の条例にない包括規制があります。包括指定をしたうえで、個別にも指定する、ということではないかと思う。
第二十二条 知事は、図書類の内容の全部又は一部が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、審議会の意見を聴いて当該図書類を青少年に有害な図書類として指定することができる。ただし、緊急を要する場合で、あらかじめ、審議会の意見を聴くいとまがないときは、審議会の構成員のうち二名以上の意見を聴いて、当該図書類を青少年に有害な図書類として指定することができる。
一 著しく青少年の性的感情を刺激し、その健全な育成を阻害するおそれのあるもの
二 著しく青少年の粗暴性又は残虐性を誘発し、又は助長するおそれがあり、その健全な育成を阻害するおそれのあるもの
三 著しく青少年の犯罪又は自殺を誘発し、又は助長するおそれがあり、その健全な育成を阻害するおそれのあるもの
2 知事は、前項ただし書の規定による指定をしたときは、その旨を速やかに審議会に報告しなければならない。
3 第一項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する図書類は、青少年に有害な図書類とする。
一 書籍又は雑誌であって、全裸、半裸若しくはこれらに近い状態での卑わいな姿態又は性交若しくはこれに類する性行為(以下「卑わいな姿態等」という。)を被写体とした写真又は描写した絵で知事が規則で定めるものを掲載するぺージ(表紙を含む。以下この号において同じ。)の数の合計が、二十ページ以上又は当該書籍若しくは雑誌のぺージの総数の五分の一以上であるもの
二 録画テープ、録画盤その他これらに類するものであって、卑わいな姿態等を描写した場面で知事が規則で定めるものの時間が合わせて三分を超えるもの
三 録画テープ、録画盤その他これらに類するものであって、図書類の取扱業者の組織する団体等が青少年が閲覧し、視聴し、又は聴取することが不適当であると認めた旨の表示で、知事が審議会の意見を聴いて指定するものがなされているもの
4 図書類の取扱業者は、第一項の規定により指定された図書類及び前項に規定する青少年に有害な図書類(以下これらを「有害図書類」という。)を青少年に販売し、貸し付け、交換し、頒布し、贈与し、閲覧させ、視聴させ、又は聴取させてはならない。
5 図書類の取扱業者は、有害図書類を陳列するときは、知事が規則で定める方法により他の図書類と区分するとともに、当該有害図書類を陳列している場所の見やすい箇所に知事が規則で定めるところにより有害図書類を青少年に販売し、貸し付け、交換し、頒布し、贈与し、閲覧させ、視聴させ、又は聴取させることが禁止されている旨の掲示をしなければならない。ただし、青少年立入制限場所(風適法第二条第一項に規定する風俗営業(同項第八号の営業を除く。)、同条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業又は同条第九項に規定する店舗型電話異性紹介営業に係る営業所をいう。以下同じ。)において有害図書類を陳列する場合は、この限りでない。
6 何人も、有害図書類を青少年に販売し、貸し付け、交換し、頒布し、贈与し、閲覧させ、視聴させ、又は聴取させないように努めなければならない。
東京都の条例が改定される際には「包括規制の導入を絶対に阻止するぞ」的な議論を何度か目にしたのだけれど、果たして栃木県で、反対者がいうほど出版社が追い込まれているのかどうか。栃木が漫画文化不毛の地と化しているのかどうか。たかが区分陳列、というのが一県民の実感ではあります。
ひょっとすると、人口比の売上げをみたとき、東京より栃木の方が2割くらい低かったりするのかもしれない。もしそうなら、弱小出版社にとっては非常に厳しい話。それでも「包括規制で出版社壊滅」というストーリーにはリアリティを感じません。だって実際、包括規制の網に引っ掛かる本は、成人向け図書のコーナーに置かれているとはいえ、コンビニでふつうに売られているには違いないので。