記事をよく読むと、自前の発電機を用意して対応すると赤字になるから無理だ、といっている。データセンターはトラブル対応のサービスが重要なので、主要顧客の近くでないと営業できないから、関東地方を離れることもできないのだそうだ。
……ということならば、値上げをすべき。それ以外に合理的な解決策はない。政治の力で不合理を通せば、経済的には、社会全体としては必ず不合理の害が上回る。
ただ、そもそも論をいえば、一律25%削減などと社会主義的、計画経済的な不合理をやろうとしているところに第一の問題がある。もし可能であれば、「全体として25%削減する」ことにして、電力購入権の取引市場を作るべきだ。時間が迫っているから、公開市場を作るのは難しいかもしれないが、電力購入権を金銭で売買することだけは認めるべきだ。
電力購入権の取引ができれば、消費電力を減らしやすい企業も減らしにくい企業も(取引ができない場合と比較して)得をする。節電が生産の削減だけでなく利益にもなるとすれば、ボランティア精神に乏しい企業であっても、いっそうの節電努力をするだろう。
その結果、オイルショックのときと同様、恐慌に駆られて高値掴みしてしまう企業も出てくるだろうし、逆にやたら安く売ってしまって後悔する企業もあるだろう。でも、それでいい。相場というのは、多くの人の試行錯誤によって形成され、そうであればこそ、概ね合理的な結果が自動的に得られるわけだ。
統制経済なら、何でも政府に責任を押し付けることができる。人々は暗中模索を嫌うから、先行きが不透明になると、政府の統制を希求してしまう。しかし政府に押し付けることができるのは観念的な責任だけであって、非効率の害は必ず私たちの生活に降りかかってくるのだが。