趣味Web 小説 2012-01-23

賃貸契約とガイドライン

私が前に住んでいたアパートの場合、最初に「敷金はあまり返さない」という説明があった。「**は敷金から補修する」「汚損の程度によらず**はクリーニングする。その費用は**円である」とか何とか。たとえばユニットバスのシャワーカーテンは、包装袋に入ったままの未使用に見える状態であっても、買い直すことになっていた。

「よそとはいろいろ基準が違うかもしれないが、うちはこういう方針でいくと決めているので、全て納得できた方とだけ契約したい」という話だった。実際、話を聞いて契約をせずに帰る人もいるという。「2時間以上も説明したのに帰ってしまうのでは、たいへんですね」と水を向けると、「あとでトラブルになったら丸1日つぶれますから」とのこと。それはそうだろうな、と思う。

貸す側と違って、借りる側は運さえよければ無策でもトラブルと無縁のまま長いときを過ごすことができる。それでも、契約時に1時間をケチるのは、たぶん損だ。最初に話をきちんと聞かないで、後からガイドラインを振りかざすのは「違うんじゃないか?」と私は思っている。

不動産屋で細かいことをひとつひとつ確認しながら契約手続きをしていると、近くの机で他の人がババババッと手早く契約を済ませていくのに遭遇したりする。私の見てきた限りでは、説明を面倒くさがっているのは、不動産会社ではなく客の方。「こまかいところはいいから」「いつまで続くの」「**時までに契約できる?」お客様って、ホント無茶をいうよなぁ。

前のアパートの管理会社(最終的に私が契約する相手だがアパートの持ち主であるところの大家さんではない)は、そういう契約の仕方を認めなかったわけだが、仲介の不動産屋にはいろんな客が集まっていて、眺めている分には面白かった。

追記:

ガイドラインが修正される以前は、クリーニング代や畳クロスふすま交換は入居者持ちというのが慣行でした。ただ、それは業界の慣行ということで、入居者の認識とギャップがありトラブルになることが多かったわけです。それを修正するためにガイドラインができて「原状回復基準について不明瞭な部分がある場合、これこれのように解決せよ」ということになったわけです。

逆に言えば「原状回復基準について不明瞭な部分がない場合、特約のとおりにせよ」ということでもあります。

私にはとても納得のいく説明。家賃が安いが特約が渋いアパート、家賃が高いぶん退去コストの安いアパートなど、様々なアパートがあっていいはず。特定の賃貸契約のあり方しか認めないのではサービス競争が起きなくなってしまう。ガイドラインを金科玉条のように持ち出すネットの一部の風習は、私には疑問だった。

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