くだけた調子の解説が滑ることなく成功した稀有な入門書「スタンダードHTMLタグ講座 超入門編[第2版]」の続編です。本書もまた読みやすく、またわかりやすい本です。しかし、内容に信頼が置けないことにも変化ありませんから、よく注意してください。なるほど、本書の解説通りにすれば、紹介されている通りの結果が得られましょう。しかし、Web デザインはここに落とし穴があります。
簡単にいって、Webデザインには「A したいから B する」という「結果優先」方式と、「ここは C だから D しよう」という「原因優先」方式があります。Web デザインが特殊なのは、HTML と CSS という道具が「原因優先」の考え方で設計されていることです。つまり、Webデザインは「原因優先」でなければなりません。ところが、「原因優先」方式は製作者に「考えること」を要求します。そのため、入門者向け書籍のほとんどは、「結果優先」方式で教えます。「みんな A したいよね? そのやり方は B だよ」と説明します。そこには、嘘とごまかしが必ずあります。本書もそうです。
本書の方向性では、先々行き詰まります。ただ、大多数の方はそのレベルに達しません。であれば、わかりやすい解説は歓迎されましょう。私は正しい解説を志向した入門書「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を勧めますが、本書を一概にダメだというつもりはありません。