タイトルにご注意。本書は入門書ではなく、ある程度わかっている方向けの HTML と CSS のリファレンスです。
たしかに本書の序盤は入門的内容が延々と続くのですが、その部分の解説には嘘とごまかしがあり、多くの批判が既にあります。またエッセイ的記事が多く、入門者が今すぐ知りたいことを的確に提供する構成・内容となっていません。そして本書の大半を占めるリファレンスは ABC 順ですから、本書はそもそも中級者を対象としているものと考えるべきです。
本書の真骨頂は中盤以降の充実した HTML リファレンスです。HTML4.01 Transitional ベースのリファレンスの中で、本書はトップクラスの情報量を誇ります。多数の属性を紹介するのみならず、各要素の入れ子規則などもきちんと示しています。CSS のリファレンスは非常に簡素ですが、これも有用です。素気ないデザインの本ですが、きれいなだけで内容のない凡百のリファレンスよりは、よほど役立つでしょう。
……とはいうものの、ABC 順の中級者向け HTML リファレンスには「標準HTMLパーフェクトリファレンス」という決定版が既に存在します。3年早く出ていれば、まだしも意義のあった本なのでしょうが、いささか時期を逸したといわざるをえません。値段的にも、内容的にも「詳解 HTML&XHTML&CSS辞典」(ABC 順の配列ではないので注意)より優れたところがない本です。