Book Guide 2004-03-22

HTML 最新版―やさしいホームページの作り方

本書は概ね信頼できる Web サイト作成の入門書です。タイトルから想像される通り、本書は解説の大半を HTML リファレンスに割いています。同著者の大著「詳細HTML基本活用事典」から入門者向けに内容を絞り、解説を見直したような本です。全体を通してひとつの Web サイトを構築するようになっており、解説に一貫性があります。FTP などの解説もあり、Web サイト作成の全体像を掴みやすいでしょう。

本書の特徴は HTML の(ほぼ)正確な解説にあります。巻末に各要素の入れ子規則についてきちんと解説されていますが、こうした情報を提供している入門書は滅多にありません。ありがちな誤解についても取り上げ、なぜそれが誤りか、ていねいに説明しています。HTML は「誤解しやすい」ところに落とし穴があるので、とくに初級者にとって、こうした記事は重要です。

本書は凡百の入門書から頭ひとつ抜け出した良書ですが、「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」が登場した現在では、少々色褪せて見えるのも事実です。本書の弱点は、スタイルシートの説明がないことに尽きます。HTML は装飾の道具ではないといいつつ、HTML でレイアウトしなければならないところに、決定的な苦しさがあります。入門書だけに、「表示結果は考えない」わけにもいかず、中途半端な感は否めません。

しかし、本書の改訂前の版が登場した1999年の時点では入門書としてトップクラスの内容を誇っていたのですし、現在でも上等の部類には違いありません。「~作成術」や「プチリファレンスHTML」などになじめない場合には、選択肢として検討する価値があります。

Information