Book Guide 2004-06-02

基本はかんたんホームページ

ホームページの解説書を謳っていますが、実際には HTML の入門書です。そして注意すべきは、著者は HTML の「基本」を誤解しています。本書において「ホームページ」とは「HTML 文書」と読み替えればよいのですが、当然、著者は「ホームページ」の存在意義、あるべき姿についても誤解しています。

HTML の本質は「多くの環境で情報を共有するための手段」です。HTML 文書はもちろん、PC 向け視覚系ブラウザでの閲覧だけを想定して作るものではありません。これが「基本」です。文書を装飾して見栄えをよくする方法の解説を「基本」とする著者は、根本的に誤っています。このため本書の解説はどんどん本道から外れていきます。それでも読者は思い通りの Web サイトが完成すれば喜びますが、私は本書を高く評価しません。

結局、アクセシビリティや SEO といった高度な課題に取り組む際には HTML をきちんと再勉強する必要が生じます。易しく正しい入門書には「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」や「できるホームページHTML入門」(超初心者向け)などがあります。本書を読み終えて満足されるなら話は別ですが、その先を考えるならば、「基本」を正しく解説している本を勧めたいところです。

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