Book Guide 2004-06-26

HTML…はじめの1冊 HTMLのすすめ―ソースを書くのが楽しくなる!

HTML の入門書です。2色刷の地味な紙面ですが、内容は良心的です。HTML は非常に誤解されやすい技術なので、多くの著者が間違いを平気で教えています。本書は初歩から HTML を解説する中で、ありがちな間違いを多く指摘し読者に注意を促します。きちんと読めば、とんだ誤解をすることなく学習を進められるでしょう。

本書の特徴は、解説編とリファレンス編がほぼ同じ分量となっていることでしょう。本の厚さといった観点からは否定論もありましょうが、使ってみれば意外に便利で、面白い構成だと思います。読んでみるとパッと見の印象よりも文字量が少なく、解説編はすいすい読めます。解説編のページ数は類書と比較して決して多くないので、最初から最後まで通読することを勧めます。

本書の欠点は、端的には解説内容の不足です。ブロックレベル要素とインライン要素の区別、要素の入れ子規則など、重要な解説がありません。サンプルをよく検討すればひどい間違いは犯さずにすみましょうが、不安は残ります。また「構造と装飾の分離」という HTML4 の大方針についても概念を示すのみで、解説と十分にリンクしていません。今後の課題、として投げ出しているのです。

本書はよい本ですが、入門者なら「できるホームページHTML入門」を、初級者なら「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を同時に検討されるとよいでしょう。

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