中級の総合リファレンスです。ただし内容は相当に絞り込まれていますし、解説も多いとはいえません。タイトルは「極意」となっていますが、むしろ基本項目が中心です。500項目というのは多いようで少ないため、本書は網羅性の追求を放棄し、多くの人が興味を持つであろう項目を中心に扱っています。そのため、辞書的な本でありながら通読する価値があります。
タイトルに「逆引き」とあるように、本書の目次は用途・目的・結果から項目を探すよう工夫されています。しかし項目の順番は基本的に、それらの項目を実現する技術の内容に沿って決められています。そこで、ある項目について解説を読んだら、前後の項目にもチラッと目を通すようにすると、熟達が早いでしょう。
本書の解説には標準技術の観点からはまずい部分が多々あります。多少の配慮があるだけに残念ではありますが、各技術についてきちんと学びたい方には勧めません。今そこにある問題を、とりあえず解決するために活用されるとよいでしょう。といっても、プロ向きの本ではありません。ステップアップしたい素人の初級者などに勧めます。
紙面は地味ですし、紙質が厚く硬く、ブックデザインには疑問があります。幅広い技術を扱う編集方針にも賛同しかねる部分があります。けれども、面白い本です。