HTML と CSS の中級者向けリファレンスです。豊富な情報がよく整理されたフルカラーで見やすい紙面、パラパラとページをめくるだけで目的の情報にたどりつける構成、きちんと書かれたサンプルなど、行き届いた1冊です。しかし本書の最大の特徴は、W3C 勧告の内容を正確に伝える硬派な編集・解説方針にあります。
本書が解説する範囲は HTML4.01、XHTML1.0、XHTML1.1、XHTML Basic、CSS2 で、HTML3.2 以前と CSS1 は対象外です。範囲内の全要素、属性、プロパティ、値について必須/任意選択/非推奨/仕様外を区別して紹介します。ブラウザの対応状況は WinIE4-6、MacIE4-5、NN4-6、Opera6 の8種を調査。対応ブラウザのない項目も粛々と解説されます。ブラウザの独自拡張は巻末付録で最低限の情報が紹介されています。
HTML の解説はとくに素晴らしく、バージョン毎の仕様の違いが明確に示されています。また各要素に内包可能な要素の一覧を示した「DTDでの要素の定義」は類例のない傑作で、実践において非常に役立ちますし、ABC 順の索引としても重宝します。
本書を十全に活用すれば、通常の範囲で仕様書の原文を調べる必要は消えます。膨大な情報をコンパクトにまとめ、正しい情報を実用的に整理しまとめた本書は、自信を持ってお勧めできます。ただし初級者は情報量に圧倒され戸惑うことが予想されますので、最初の辞典は同著者の「プチリファレンスHTML」が無難でしょう。
CSS2.1 の勧告が目前に控えていること、本書刊行後にブラウザシェアの変動があったことなどを踏まえ、来年あたり改訂版が刊行されることに期待しています。