Word の初級解説書です。大判ながら図解が細かく、一見、紙面はごちゃごちゃして見えます。しかし実際に読んでいけば、図解が細かいのはステップをていねいに踏んでいるからだと気づきます。レイアウトが一貫しているので、迷いなく読み進められます。値段に比して内容は豊富で、マスターすれば相当な知識量となります。
初心者・初級者向けの解説書には2つの方向性があります。基本項目に絞って解説する入門書と、マイナーな項目まで紹介する総合解説書です。本書は後者ですが、私は前者を勧めます。「ひと目でわかるMicrosoft Office Word 2003」と「これでわかるワード2003」を除く総合解説書は、いずれも基本方針に問題があるからです。
Word は全体→部分の順で作りこむ整然とした作業工程を基本としており、大量の書類作成を支援する機能が豊富に用意されています。きちんと活用すれば個人ユースでも便利なのですが、理解が浅いとトラブルの原因ともなります。ところが初級者向けの総合解説書の大半は支援機能を上級機能として解説せず、部分→全体の順で文書を作成する場当たり的な手順を示し、Tips の紹介に力を入れています。
Word を使いこなしたい方は、基本操作を学んだら、Tips はさておいて「文書作りでつまずくWordのしくみと落とし穴」などで Word の考え方をしっかり学ぶべきです。逆に文書作成の非効率を諦め、一定レベルで妥協するならば、本書は有力な選択肢のひとつとなりますが、それなら入門書の方がよいと思います。