Book Guide 2005-03-16

進歩し続けるWebデザイナーの考え方―Web designer 2.0

Web デザインのトレンドについてまとめた中級解説書。レイアウトなどのビジュアル面(=最もユーザに近い部分)や、サーバサイドの技術(=完全な黒子・裏側の部分)にはほとんど触れず、中間の領域である HTML や CSS 周辺に焦点を当てています。実務者向けの内容であり、趣味レベルで手を出す本ではないでしょう。

HTML や CSS の周辺で最近のトレンドといえば概ね話は決まっており、本書も概論部分は既存書籍と同内容です。ただし「モダンブラウザの普及」がCSSデザイン推進の理由に挙がるのは、やはり不思議です。IE6 が登場した4年前、既にIE5以降の「モダンブラウザ」が約9割のシェアを有していました。

では「なぜ今、CSSデザインなのか」といえば、Webデザイン業界の需要が一巡し、淘汰の時代に入ったからです。製作側はむしろ手間が増えるCSSデザインですが、値段の叩き合いを避け競争に勝つため、(理念はともかく現実には)サーバの負荷低減程度しか発注側に利益がないとしても、導入が必要な時期なのでしょう。

概論部分は前世紀末に刊行された先端的な書籍群と同じですが、「CMS の導入により素人の顧客がサイトを更新するが、コーディング規則を維持するにはどうしたらよいか」など実践的な各論の数々は、たしかに2005年の解説。現場の方々には興味深い一冊だと思います。

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