ビジネス用途のブログ活用法について国内で初めてマトモに解説した本。いわゆるブログツールは簡易 CMS に過ぎないのですが、SGML が XML に簡略化されて成功した前例もあります。本書の端々に見られる「ブログの革新性」の主張は眉唾物ながら、非常に価値の高い1冊だと思います。
技術的な(現場レベルの)作業手順などは割愛されているのでご注意ください。本書の内容は、ブログを構成する技術の基本的な概念、利用のポイント、システムを構築・運営する戦略・設計、そしてケーススタディです。WWW 公開型ブログとイントラネット向けブログに分けて解説しており、論点が明快。簡潔なのに抽象に流れておらず、読みやすいのが嬉しいところ。
概論と実例の間が抜けているのは、本書がビジネスブログの解説書だからです。システム設計・導入の「作業」は外注に任せ、戦略・運営はコンサルタントに相談しながら進めるのが常道。したがって発注者が事前に学ぶべきは下流工程ではなく、まさに本書の解説している上流工程なのです。
ところで、本書にはいくつかのビジネスブログ活用事例が紹介されています。実情を確認できるうちに確認しておくことを勧めます。等身大のブログを知っておくことは、変な勘違いを避けるためにも重要なことです。