Book Guide 2005-08-29

マンガ中国入門 やっかいな隣人の研究

マンガ中国入門 やっかいな隣人の研究

嫌中派のメンタリティを知りたい方にお勧め

タイトルは「中国入門」ですが、ごく狭い領域にフォーカスした内容+雑多な構成なので要注意。一般的な基礎知識を「手にとるように中国のことがわかる本」で学び、網羅的な嫌中論要点集の「いま嫌いな国中国」で全体像を掴んでから本書を手に取ることをお勧めします。

中国嫌いの日本人は、(各種調査では常に少数派ながら)昔から相当数、存在しました。本書は中国嫌いの人々の世界観を内側の視点から紹介し、「なぜ中国を嫌うのか?」という問いに答えます。たいへん主観的に書かれており、小さな事実を想像で膨らませた表現が目立ちます。中国人でも食人は非常識だ、といったことは現地へ行けばわかります。ただ、そうした反論は虚しい。嫌中派の正直な自己紹介として読むことを勧めます。

なお、本書の表現技法には多くの難点があります。例えば、著名人を実名で登場させ、当人の実際の発言と無関係な著者の主張を代弁させているのは誤解を招く危険が大きく、通常ならば反則です。長年この芸風でやってきたジョージ秋山さんだから杞憂なのかもしれませんが、本書が「入門」を謳うのは、やはり不穏です。

また、本書は1ページ平均3コマ程度で、紙面の「白さ」が目立ちます。大判で分厚くページも多いのですが、「マンガ嫌韓流」の半分強の時間で読めるでしょう。

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