外務省の「外交に関する世論調査」によれば、日本では数十年来、嫌韓派が親韓派に対し優勢でした。親韓が多数派となったのはサッカー日韓W杯の開催前夜からです。最近ではマスコミが親韓優勢なので、嫌韓の中心地はウェブへ移動しています。
従来、嫌韓派には様々な主義・主張がありましたが、ウェブ上で匿名・仮名で情報発信している嫌韓派の意見は概ね本書に集約されています。「最近ネットで流行っている嫌韓について知りたい」という方々には便利な1冊です。「韓国に誇れる文化はほとんどない」と断言するなど正直な心情吐露が随所に見受けられ、嫌韓派の性格と、彼らが何に注目して韓国を嫌うのかが、よくわかる内容・構成となっています。
ただし本書は韓国入門でも日韓関係論入門でもありません。日韓の文化摩擦事案を網羅し、ウェブに集う嫌韓派の主張を整理・紹介する内容なのです。したがって韓国の地理・歴史・文化の基礎知識や、日韓関係の順調な部分は記述の外です。韓国を総合的に理解したい方は、「ハンドブック韓国入門」など網羅的な入門書を別途読まれることを勧めます。
本書には4人の有識者が寄稿されています。それぞれに興味深いのですが、とくに大月隆寛さんの「自虐と嫌韓――嫌韓厨・考」は本書の解説として秀逸。いずれにせよ、嫌韓流で盛り上がっているのは高々300万人。日本人の数%に過ぎません。韓流だって1000万人。そうしたことも頭の片隅においてご覧ください。