シャマラン映画の基本構造は明快です。まず「***は存在するか?」と問いを立てる。続いて観客の想像をかきたてるエピソードを描く。そして衝撃的なまでに率直な形で回答を示すのです。
本作のテーマは、「超人ヒーローは存在するのか?」です。悲惨な列車事故をただ一人、生き残った主人公。彼の前に現れ「君こそが超人だ」と告げる虚弱体質の男。「そうかもしれない」「いや、そんなはずはない」気持ちの揺れる主人公に、超人の存在を信じたい幼い息子が銃を向けるシーンの緊迫感はたまらない。
アメコミの現実化をモチーフにした本作のもうひとつのテーマは、「対になった存在」です。強力なヒーローには、打倒すべき最悪の敵がいるはず。警察が対処できるような悪党しかいない世界では、ヒーローの存在意義が問われます。
鳥山明は「ドラゴンボール」で主人公に「強いヒーローが強い悪者を呼ぶ、だから自分が生き返らない方が世界は平和になる」と語らせました。ドラゴンボールの世界とは異なり、アメコミでは巨悪の犠牲者は甦らない。最後に正義の味方が勝てばいいのか? ラスト、主人公の悲しみに考えさせられました。
アメコミを実写化した映画に食傷気味の方に向けて書かれた脚本です。一般受けする内容ではありません。ご注意を。