アクセス向上を考える[計測篇]

カウンターは、もしつけるのであれば全ページにつけるべきです。

アクセス数とは

アクセス数って、そもそも何をさしている言葉なのでしょうか。アクセス数には、じつは3つの種類があります。

ヒット数
HITとは、サーバーに対して送信要求されたファイルの数です。例えば、4つのPNGデータが貼り付けられたHTML文書が画像表示ONのユーザエージェントからアクセスされると、HITは1(HTML文書)+4(PNGデータ)=5となります。
ページビュー
PVとは送信要求されたHTML文書の数です。
訪問者数
VISITは訪問者の人数です。HITやPVと異なり、各ページのVISITの合計はふつう、サイト全体のVISITと同じではありません。同一人物が複数ページを閲覧するため重複が生じる(この重複はサイト全体のVISITを計測する際には排除される)ためです。

カウンターは何を調べているのか

カウンターは多くの場合、アクセス数を調べるために設置されています。ではここでいうアクセス数とは、何をさしているのでしょうか。

カウンターの種類

あまり知られていませんが、カウンターには主に2つの種類があり、それぞれ計測しているものの実体が異なります。

ヒット数カウンター
カウンター画像の出力がCGIと連動しており、カウンター画像のHIT数に応じた画像が出力されます。画像OFFでの閲覧には反応しません。
ページビューカウンター
HTML文書の出力がCGIと連動しており、ページビューに応じた出力がなされます。画像OFFでの閲覧にも反応します。ただし出力に画像を用いている場合、(alt属性が未指定ならば)画像OFFの閲覧者にはカウンターが見えません。

99%以上の閲覧者が画像ONで閲覧していることを考えますと、いずれのカウンターを利用しても実際にはさして違いは現れません。したがって、この先の議論では、カウンターはページビューをカウントアップするものと定義します。

高機能カウンターの奇妙な機能

カウンターは本来、単純にページビューを調べるものです。逆にいえば、カウンターのように単純なシステムでは、ページビュー以外を調べることは不可能だともいえるでしょう。ところが、世の中には奇妙な機能を持ったカウンターがあります。

これらの機能は、カウンターで訪問者数を調べようという努力の現れです。しかし不思議なのは、これらの機能を持ったカウンターが、いずれも本当の意味で訪問者数を調べる役には立たないということです。

訪問者数を本当に知りたければ、同一人物の再訪をすべて無視すべきです。今日の訪問者数、昨日の訪問者数などをそれぞれ表示する機能はあってもいいのですが、過去の全訪問者数の表示は、当然、重複を省いたものにすべきです。なのに、実際の高機能カウンターはいずれも、最終的に訪問者の重複を許しています。今日の訪問者と昨日の訪問者はかなり重複するでしょうが、単純にこれを足してしまうのです。

訪問者数の調査は難しい

同一人物の再訪をサーバー側でチェックする方法は3種類ありますが、いずれも完璧とはいいがたい状況です。

IPチェック
WWWの閲覧とは、実体としては、サーバーに自分のIPアドレスまでファイルを送信するよう要求することです。ほとんどの方はプロバイダを通してWWWを閲覧しています。プロバイダではふつう利用者それぞれには固定のIPアドレスを与えません。インターネットへ接続するたびに空いているIPアドレスを割り振るのです。つまり、IPアドレスをチェックして重複を省こうとしても、同一人物がネットに接続しなおしたら判別できませんし、逆に別人が同じIPアドレスを割り振られて訪問してきても重複訪問と判断してしまいます。
Cookie
Cookieはサーバーが閲覧者の端末(パソコン)に保存させる識別ファイルです。したがってCookieをチェックすれば、かなり正確に訪問者数を調べられるはずなのですが……正確にわかることが逆にプライバシー上の問題となり、Windows版のIE6は初期設定ではCookieを受け入れないようになっています。IE6のシェア、Cookieの制限を解除できない初心者の割合を考えると、Cookieで訪問者数を正確に調べるのは困難といえます。
パスワード
IPは接続環境、Cookieは端末をサーバーから認識する方法でしたが、パスワードは人間そのものを認識する方法です。しかし実際問題として、ID+パスワードによる閲覧制限をかけるのは困難でしょう。

他にも様々な問題があります。IPチェックは接続元しか調べられませんから、モバイルPCであちこちの無線スポットより接続されればすべて別々の接続と認識されます。Cookieは端末しか調べられませんから、複数ユーザの利用に対応していないひとつのパソコンを家族全員で使っている場合、全員が別々に接続しても重複訪問とみなされます。またCookieは削除できますから、何度もCookieを要求すれば本当は一人の訪問でも複数人物の訪問に見せかけられます。パスワードだって、秘密が守られていなければひとつのパスワードで何人もが閲覧できてしまいます。

結局、人間の行動をすべて監視するうまい方法はないので、訪問者数をちゃんと調べるのは無理なんです。

結局、何を調べているのか

結局、カウンターの数字は何を表しているのでしょうか。本来のカウンターなら答えは単純明快です。過去のページビューの合計です。では、高機能カウンターの場合は?

同一IP(またはCookie)の閲覧者の一定時間以内の再訪、サイト内移動による再訪などを除外した、過去のページビューの合計、ということになりますね。いくつかの条件でふるいにかけてはいますが、結局はページビューを調べているわけです。だったら、恣意的なフィルターなど排除して、単純なページビューを表示させた方がいいと思いませんか? 逆に本当に訪問者数が知りたいのなら、かなり数字が小さくなることを覚悟して、一切の再訪をノーカウントとするべきです。昨日の訪問者と今日の訪問者はすべて別人と考える、などというのは馬鹿げた話です。

やっかいなプライド

さて、なぜ中途半端な高機能カウンターが人気を集めるのでしょうか。

アクセス向上という観点からは、単純なページビューカウンターが一番大きな数字を表示してくれますから、多少はハッタリが効いて都合がいいように思われます。しかし訪問者の実数も知りたいという願いがあるわけです。だから中途半端なカウンターを使ってしまうわけですが、これを二兎を追って一兎も得ずといいます。

訪問者数を知りたいのであれば、アクセス解析を使う方がよほどマシでしょう。IPチェックなどの不十分性は既に解説した通りですが、いずれにせよたったひとつの数字しか吐き出さないカウンターよりはよほど多くの情報を提供してくれます。訪問者数の計測はアクセス解析に任せて、カウンターには素直にページビューを計測させるべきです。

やった、これで解決だ! そう思われるでしょうか? いえ、話はそう簡単ではないのです。

なぜ単純な解決策が使えないのか

カウンターは訪問者数を計測すべきだ、という信仰を持っている方がいます。無茶な話です。前述のとおり、カウンターはその要求に応えられません。にもかかわらず、こうした方は非常に多いのです。無視するのが困難なほど多いのです。

訪問者数の計測はアクセス解析に任せ、カウンターではページビューを計測するとしましょう。すると、件の信者たちはすぐにこういうことを言い出します。

表紙に戻っただけでカウンターが回るなんて!!! これはアクセス数の水増しだ!!!

何を怒っているのかと思いますが、冗談ではなく本気でこういう発言をするのです。毎日の訪問者数を、重複を無視して足したものがカウンターの数字だ、というあたりが信者の意見の最大公約数です。百歩譲って、それ自体は一つの考え方として認めるとしましょう。けれども、ページビューをそのまま表示するのがずるいとは、まったくおかしな話です。

つまりこういうことなんでしょう。自分は高性能カウンターを使って、ページビューを過少申告しているのに、他人がページビューをそのままカウンターに反映させるのは気に食わないのです。まったく、やっかいなものはプライドですね。

カウンターはもともとページビューを調べるものですから、ページビューを表示するのが当然です。過少申告しているのは自分の趣味であって、他人に押し付けるものではありません。ずるいというのは不勉強丸出しの的外れな発言です。もちろん通常のページビューカウンターを使っている人も不勉強ではひけを取りませんから、批難されれば「そういうものかな」と思うらしい。それで高性能カウンターを導入してしまう……いやはや困った話です。こうしてよくわからないものに人間は支配されていくのですね。

けれども、本稿の読者の皆さんには、ぜひこうした妄言に惑わされることなく、アクセス数、カウンターの正しい理解をもとに、つまらない批判を粉砕できるようになっていただきたいと願う次第です。

カウンターの有効利用

カウンターは、一体なんの役に立つのでしょうか。

どれもいまひとつという感じはしますが、総合的にみるとサイトの製作者と閲覧者の双方にとって、カウンターの数字にはついつい意識してしまう魅力があるようです。ただし、カウンターの有無、カウンターの数字が閲覧者に及ぼす影響は、それほど大したものではありません。これは例えば、自サイトのカウンターの桁をひとつ水増ししてみればわかることなのですが……。

というわけで、ここではサイトを作成する側の視点で、カウンターの有効活用について考えていきます。

お客さんは表紙を通過するとは限らない

このサイトには非常に幅広いコンテンツが用意されています。そのせいかどうかはわかりませんが、お客様は必ずしも表紙を通過していません。当サイトの人気コンテンツ、サイト批評サイトリンク集、宇治IN茶筒ともに、利用者の大半は直接ブックマークされています。そして新しいお客さんが方々のサイトや検索エンジンからの直リンクによってやってきています。じつは数ヶ月前まで、表紙へのアクセスよりも各人気コンテンツへのアクセスの方がずっと多かったのでした。

当サイトでは全ページにカウンターを設置していますが、もし表紙にしかカウンターがなかったとしたらどうでしょうか。カウンターの数字は、サイトの人気を正確に反映しているといえたでしょうか。

くり返し説明してきたように、カウンターはページビューしか計測できません。ここで問題としているのは、表紙のページビューがサイト全体の人気をどれだけ反映しているのか、ということなんです。

大抵のサイトでは、たしかに表紙を通過しないお客さんは珍しいでしょう。けれども、ちょっと人気のある情報系サイト(例えば1日200人が訪問する当サイトのような)の場合は、表紙以外のページがよそで大々的に紹介されるということがしばしばあります。面白いことに、こういうとき表紙へのアクセスはじわじわと増えるんです。だから、もし表紙だけにしかカウンターがなかったとしたら、最近段々人気が出てきたなあとしか感じないわけです。

サイトの内容が充実するにつれて、この状況はいよいよはっきりしてきます。毎日のように検索エンジンから各コンテンツへ直接お客さんがやってきます。ときには当サイトのように、特定のコンテンツが表紙の何倍もお客さんを集めたりするわけです。こうしてみると、一週間分のログさえ残さない一部のニュースサイトのように、ほとんどのお客さんが表紙を見るとわかりきっているサイトでない限りは、単純に表紙のページビューがサイト全体の人気を反映しているとはいえないわけです。

とくに注意すべきは、日記の更新がメインとなっているサイトです。表紙に最新の更新分を載せているならよいのですが、そうでない場合には日記のページに直接ブックマークされている可能性があります。

カウンターは全ページにおくべき

表紙にしかカウンターを置かないのは、カウンターで訪問者数を調べたいからでしょう。けれども、そもそもカウンターで訪問者数を調べることは不可能ですし、表紙だけにカウンターがあってもサイト全体の人気を調べることはできないわけです。とすれば、表紙だけにカウンターを置く必然性は何もありません。

サイト全体の人気を知るためには、サイト内の全ページにカウンターを置き、全ページのページビューを計測する方が合理的です。

計測値の有効活用

全ページにカウンターを置く方法として、2通りが考えられます。

  1. 各ページ別々のカウンターとする
  2. 全ページ同一のカウンターとする

それぞれによしあしがあるのですが、私は両者を採用しています。ReadMe!アイコンで各ページの毎日のページビューを調べ、カウンターでサイト全体のページビューの合計を調べています。またReadMe!では毎日のサイト全体の訪問者数も調べてくれます。ReadMe!の計測結果はログが溜まることなくどんどん流れていってしまいますが、この手の情報を溜め込むのも面倒なので、現在の方式に満足しています。

さて、サイト全体のページビューには自己満足の餌にする以上の使い途がありませんが、各ページのページビューは、今後のサイト運営を考えるヒントとなる情報です。

情報活用の実例

当サイトの活用例を示しましょう。私は毎日安定してサイトを更新し続ける、といった地道な更新が苦手な人間です。しかしお客さんは毎日いらっしゃいます。ですから、毎日更新しなくてもお客さんに喜んでもらえるような記事は何か、ということに大いに関心がありました。

そこで注目したのが、更新しなくてもアクセス数が落ちない情報と、更新すれば人気が出る情報の2種類がある、という事実でした。

アドバイスのログは、だいたい公開から数日で賞味期限が切れてしまい、その後はほとんどアクセスされません。一方、リンク集は放っておいてもどんどん人がきます。ただしこれも、月に1〜2度更新すると、高い水準を維持できることがわかってきました。これに対して、デザイン講座は更新してもしなくてもアクセス数が増減しません。面白いことに、デザイン講座はしばしば方々のサイトで紹介され、多勢のお客さんを集めます。転載記事を大幅改訂しただけの、手抜きとさえいえるデザイン講座の成功は、意外な感じがしたものです。

私はこれまでに数回、長期の更新停止をしています。単に休むのではしのびないので、アクセス動向のデータを参考に休止のたびに講座系コンテンツおよび転載記事の充実を図ってきました。個別のコンテンツではリンク集と宇治IN茶筒が稼ぎ頭という状況は微動だにしませんが、講座と転載記事の充実とともに表紙のページビューが常時100を越えるようになり、かつてのような逆転現象(表紙より個別のコンテンツの方がページビューが多い)は起きなくなりました。

デザイン講座、CSS講座、アドバイスリスト、VNIほかん庫、ルミ姉さんと一緒などは毎日10〜20ページビューをいただいております。それぞれのページビューは小さくとも、更新なしで一定のアクセス数を確保できるコンテンツをたくさん用意することで、私は安心して更新をサボれるようになりました。

まとめ

  1. アクセス数にはヒット数、ページビュー、訪問者数の3種類があります。
  2. カウンターで計測できるのはページビューだけです。高機能カウンターは怪しい技術です。
  3. カウンターの数字を多少なりとも有効活用するには全ページで計測を行うべきです。

補遺

アクセス動向の情報活用を考えなければ、全ページに同じカウンターを置くのがお勧めです。表紙にしかカウンターがないのは勿体ないのです。頑張って製作してきた全てのコンテンツのページビューの合計は、少なくとも表紙単独のページビューよりは努力の成果を体現しているはずです。それに全ページに置けば、カウンターの数字もどんどん増えて、少しはハッタリが効くような桁数になってくるかもしれませんよね。

ところで当サイトの場合ですと、全ページにカウンターを置いても、案外たいしたことはありませんでした。サイト全体のページビューは、表紙単独のページビューの約3倍、サイト全体の訪問者数の約2倍に過ぎません。つまり、1人のお客様につき、平均2ページ強しかご覧いただけていないわけです。そんなものなんでしょうか。


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