アクセス向上を考える[企画篇]

本講座がとくに役立つと思われる方々

アクセス向上が難しい理由

アクセス向上法は、たしかに進化してきました。なるほどなあと思わせる解説が増えました。データも揃ってきています。であれば、みんなアクセスアップできてもよさそうなものですけれども、実際にはそうではない。それはなぜでしょうか。

アクセス向上に失敗するパターンは3種類あります。

1.人気のないサイトを手直しして人気サイトに仕立てようとする
手直し程度で人気が出るなら世話はないです。
2.成功者のやり方に素直に学ばず、随所に我流を交える
いいやり方も実行しなければ成功につながりません。
3.才能(運,経験や知識の蓄積)がなくコンテンツを用意できない
アクセス向上を云々する以前の問題。

ふつうは1,2,3の順で現実を思い知らされていくわけですが、運がよければ途中で死のロードを抜け出せるわけです。結論から申し上げるならば、ほとんどの方は本来、アクセス向上など考える必要がありません。無理に決まっているからです。現時点ではまだ、できもしないことに取り組んでいるのだから、アクセス向上が難しいのは当然です。

うわー、ひどいこといってるな、と思われますか? このたった数百字で打ちのめされてしまった方は、あまりにもナイーブというか、他人に影響されすぎというか、アクセス向上になまじっか成功してもアレな方だと思いますので、私としても、このあたりでお引き取り願いたいところです。

問題の本質は何か

初級講座に書いたアクセス向上の定石は、サイトの水準向上という観点からは決して無意味なものではないし、サイト運営上の悩みのいくつかを解決する指針ともなるものです。しかし本当にアクセス向上に役立つかといえば、大いに疑問です。

初級講座でアクセス向上に直結するのは、サイトの内容、テーマについての記述だけです。ところがその解説は、なぜほとんどの人が説明通りに成功することができないのか、という問題の本質について何も述べていません。

じつは簡単なアクセス向上

問題の本質を無視すれば、1日100アクセスのサイトを作るのは簡単です。

具体的には、こうです。まず書店に行き、似たようなハウツー本がたくさん出ているジャンルを探します。その中から適当に興味のあるテーマを選びます。そして気にいった本を数冊買ってきて、原稿用紙300枚相当の記事に再構成しましょう。これをサイトとして公開すれば、1日100アクセスは楽勝です。

これは、仕事だと思えばたいした作業ではありません。情報をつぎはぎするだけですから、1週間も費やせば十分です。学生の方なら、自分の意見を書かなくてよいレポート作成を、社会人の方なら、指示通りの会議資料作成を想像してください。

1日100アクセスのサイトを作るというのは、その程度のことです。仕事なら楽勝なんです。楽勝なのに、どうして誰も実践しないのか。それはサイトの作成は趣味だからです。仕事ではないからです。

結局、たったそれだけのことなんです。仕事ならできることが、趣味ではできない。問題の本質は、趣味に魂を売れないことにあるのです。

肝心なところで行き詰まる

まともなアクセス向上指南の記事は、みな結局は内容が大事だといっています。けれども、内容のある記事を書くのは趣味のレベルでは難しいという事実には目をつぶるのがお約束です。

ズバリ!!見てもらえるホームページの作り方は、さすがアクセス向上カテゴリ唯一のYahooクールマークサイトだけあって、サイトを作る前に自分を見つめ直せといっています。しかしWebサイト作成の目的を情報発信に限定するのは頭が固い。「駄目サイトを作ってどうするの?」などと訊ね、相手を困らせて勝ち誇るのは、いい加減やめていただきたいものです。

サイトを作ること自体に価値がある、という価値観を否定する方は成果主義に毒されているのでしょう。小石を集める子供に、それがなんの役に立つのかと詰問する母親と発想が同じです。趣味の違う方の質問なら「仰る通りの酔狂な趣味で」と申しますが、自分の趣味をくさしていい気になっている人間は馬鹿です。アクセス向上大失敗がアクセス向上に意義を見出そうと苦心しているのもお笑い種です。なぜ具体的な成果を求めるのか。……おっと、話が脱線し過ぎました。

いずれにせよ、ほとんどの方は発信する情報の内容に無頓着で、サイトの作成・運営自体を楽しみとします。ですからデザインの改善や宣伝などは楽しく取り組みますが、そんなものはどれほど頑張ってもアクセス向上につながりません。それで結局、嫌々ながら内容の充実という問題に向き合う羽目になります。……そして、行き詰まるのです。とくに書きたいことなど何もないか、あっても執筆途中で挫折してしまうからです。

成功するのはどんな人?

成功するパターンは大きく分けて3種類です。

1.趣味で作りためたコンテンツが一定の質と量に達した
Yahoo登録サイトの大半はこのケースです。王道パターン。
2.ネット特有の需要を満たすサイトとして成功軌道に乗った
更新し続けないと人気が落ちてしまうというのは大抵この手のサイト。
3.なぜか段々と人が集まってきた
管理人さんの人徳でコミュニティーが発展していくケース。

ざっと例えるなら、自費出版本を書く、ミニコミ紙を発行する、喫茶店を開く、といったところです。第2、第3のパターンについてはここまで解説していませんが、いずれにせよ趣味で仕事なみの成果を挙げた人、ある時点で才能のある(または幸運な)人が成功します。

アクセス向上に成功した方の多くが、自分は特別な人間ではないといいます。たしかに人間全体としては特別ではないかもしれません。しかしだからといって、サイト作成・運営においても凡人だったというわけではないのです。できもしないアクセス向上を、あなたにもできると言い張るアクセス向上講座は害悪です。みなさん、アクセス向上についていろいろな記事を読み、そして挑戦をくり返してこられたことだろうと思います。でも、もうはっきりいってしまってもいいんじゃないでしょうか。アクセス向上なんて無理なんだよ、と。

需要がある記事のネタなんて、じつをいえばある人にはある、ない人にはないものです。そして運良くネタがあったとしても、その情報を発信したいと考えるかどうか……。そして実際に記事を書く過程で趣味としての楽しさを感じられるかどうか……。それは神のみぞ知る、という領域でしょう。

書きたい記事を書いてアクセスを向上できるなら、とっくに成功しているはずです。そして書く気のない記事でアクセス向上を目指すなら、それは本末転倒です。私は多くのサイトにアドバイスしてきましたが、個人の趣味サイトはほとんどが自己紹介の延長上にあり、情報発信といっても私の趣味をご紹介しますというレベルでした。管理人さんのキャラクターだけが売りのサイトだから、大抵はネット上の友人知人が訪問するだけで、アクセス向上など望むべくもありません。それなのに、お客さんを増やしたいとおっしゃる方が少なくないことには驚かされます。

なぜあんなサイトが……といってもはじまらない

あの程度のサイトがすごいアクセス数を稼いでいるのだから、私のサイトも……といった考えは、捨ててください。まったく無意味です。

確実に人気を得たければ、紙媒体で流通している、みながお金を出して手に入れようとするレベルの情報を無料で放出すればよいのです。Yahoo登録サイトの多くは、この原則に乗っかっています。価値の明らかな情報には、内容に見合った人気が出ます。もし本気で人気サイトを目指すのであれば、この方向性を追うしか確かな道はありません。(しかし趣味として一定の内容をもった記事を書くことに楽しみを見出せる人はごくわずかであり、ほとんどの人は何も書きたいことがないか、あるいは書きたいことがあっても挫折するのだ、ということは既に述べました)

これに対して、Web特有の情報発信形態もあります。最新の面白ニュースへのリンクを集めたニュースサイトや、Web日記などのテキストサイトなど(主に更新し続けなければならないサイト)です。しかしこの分野は、管理人の才能が圧倒的にものをいいます。毎日の更新で閲覧者をひきつける記事を書くセンス、努力してサイトを更新し続けることに楽しさを見出す精神……。

才能頼みなのは、掲示板やチャット、あるいはランキングなどのサイトコミュニティーサイトも同様です。管理人さんのキャラクターが次第に人を集め、人の集まるところにはまた人が集まって……。頑張って形を整えたサイトが次々失敗していく様を、私は何度も見てきました。

コミュニティーサイトを中心に、まともな情報もないのにヒットするサイトがしばしばあります。しかし、それを狙って確実に成功させる方法などありません。情報のないところに人が集まるのは異常であり、成功は所詮、運(または才能)頼みです。宝くじに当たった人に対して、何であんな奴に当たるんだといっても仕方ないでしょう。意味がないでしょう。何であんなサイトが、という気持ちはグッと押さえましょう。

目標を再設定する必要性

無謀なアクセス向上を目標に掲げるのが難しいとなれば、新たに目標を再設定する必要があります。さもなくば、サイトの更新は続かないのではないでしょうか。

アクセス向上を目標とする場合どの程度の設定値が妥当か

個人サイトのアクセス数を調査している最大のデータベースがReadMe!JAPANです。テキスト系個人サイトを一日の訪問者数でランキング表示しています。IPの重複をはじくという方式なので、ほぼ正確な訪問者数の実数をカウントしたデータといえるでしょう。

[Readme!] DailyReport 11/30,2001(集計期間: 11/29 9:55:00pm〜11/30 9:55:00pm)によれば、Readme! の計測したアクセス数(以下RAと呼称)は総計105万です。この105万RAを奪いあうランキング参戦サイト数(1日1アクセス以上)は9686です。よって参戦サイトの平均は100RA/日です。

RA獲得順位とRA獲得数の関係(概算)を下表に示します。

RA獲得順位1000200030004000500060007000800090009686
RA獲得数1154728191396411

あれっ? と疑問に感じませんか。平均値が100RA/日なのに、実際にそれを達成しているのは上位10%強のサイトだけなのです。順位がまん中のサイトでは、わずか13RA/日に過ぎません。この謎を解く、驚異のデータを示します。資本主義の理論にしたがって、神の見えざる手がどのような世界を作り出すのか、とくとご覧ください。

RA獲得順位125505001000
RA獲得数13115063810133412894257115

……いかがですか。No.1のサイトが単独で13万RAを占有しています。以下、獲得RAはガタガタと落ちていき、50位のサイトでも1位のサイトの2%しか獲得できていません。これに関連して、RA獲得順位とRA占有率の関係(概算)を下表に示します。

大手サイトによるアクセス数独占の実態
RA獲得順の上位何%か0-0.5%0.5-10%10-50%50-100%
RA占有率50%30%17%3%

上位0.5%以内のサイトが全RAの50%を握っています。上位10%のサイトで全RAの80%が消え、下位50%のサイトのRAは全部かき集めても全体の3%にしかなりません。予想以上に厳しいと感じることでしょう。

テキストサイトというのは、トップが延べ1億アクセスを達成するなど、頂点が高く、裾野も広い巨大なジャンルです。翻ってサイト作成支援系サイトはといえば、NO.1の「とほほのWWW入門」さえ延べ600万アクセス強に過ぎません。しかしながら、上位サイトに圧倒的にアクセスが集中していることには何ら変わりがありません。上位0.1%のサイトに1日数千人が訪問する一方、上位10%未満となれば数十〜百人程度の訪問者しかいません。順位ではなく、割合に注目すれば、どのジャンルも状況は似通っています。

目標値の目安

さて、あなたは自サイトのアクセス数について、どのあたりを目標にしますか。

ひとつの目安ですが、もしアクセス数を目標に掲げるのであれば、上位10%……つまり1日100人程度の訪問を目指すのが妥当かと思います。コンテンツの再考次第では誰もがギリギリ到達しうるレベルではないでしょうか。もう一段下げるならば、上位30%……つまり1日30人程度の訪問を目指すとよいでしょう。1年で延べ10000アクセスあたりです。

交流を目的にしてもいいけれど

アクセス数以外の目標としては、多くの方との交流を挙げる方が多いですね。何のためのアクセスアップか、という理由付けに挙げる例もよく見ます。さらに、アクセス数を増やすよりも閲覧者と交流を深める方が、簡単でしかも価値があるというような論調が少なくないわけですけれども、交流という目標設定の仕方には注意が必要です。

当サイトには現在、1日200人程度の訪問者がいらっしゃるわけですが、一体どれほど感想やご意見などをいただくかといいますと、だいたい週に1件程度。掲示板に限定すれば、ひどいときには一ヶ月間書き込みなし、です。しかもこれは特別に悲惨な状況というわけではなく、1日200人が訪問するサイトの何割かは、このような状況にあります。私のように、掲示板に書き込みが多いとレスが面倒くさいなどとひどいことをいっている管理人ばかりではなく、書き込み大歓迎のサイトでさえ、書き込みのない場合がよくあります。その一方で、例えばLastingBlueは1日30〜40人が訪問する中堅サイトですが、多い日少ない日を平均すれば1日2〜3件の掲示板への書き込みがあります。

コミュニティーサイトは管理人さんの人柄が成功の第一要因だと書きました。交流重視でうまくいくかどうかも人格の問題が大きく、お客さんとの交流を目標にサイトを運営すると、かえって虚しい気分になる方が決して少なくないはずです。カウンターの数字だけ眺めている方が、まだしも慰めになる可能性があるということには、よくよく注意していただきたいと思います。

まとめ

  1. 仕事のつもりで取り組むなら、1日100アクセス程度のサイトを作るのは簡単です。人がほしがる情報を提供すればよいだけのことだからです。そして、人がほしがる情報は書店にいけばいくらでもみつかります。
  2. 趣味の個人サイトがアクセス向上を目指しても、ふつうはうまくいきません。肝心の人がほしがる情報の提供をおろそかにしている限り、きれいで使いやすいサイト作りに精を出したってアクセス数は向上しないのです。
  3. 趣味で提供した情報が意想外の需要を持っている場合があります。しかし人のほしがる情報を自分が持っているかどうか、その情報を提供することに趣味としての楽しさを見出せるかどうかは、才能の問題という他ありません。
  4. ときとしてろくに情報もないサイトに人気が集まる場合がありますが、宝くじに必勝法はないのと同様、そんなものを真似しようとしてもふつうは無駄です。
  5. アクセス数は特定のサイトに集中します。無謀なアクセス向上を望んでも仕方ありません。適度な目標を設定しましょう。
  6. アクセス向上に見切りをつけ、お客さんとの交流を目指すのは結構ですが、いっそう虚しい結果に終わる可能性も考慮しておきましょう。

要するに何がいいたいのか

趣味の評価に自己満足以外の基準を持ち込んでもろくなことはありません。ただサイトを作り、公開するだけで楽しい、というのでなければ、多くの場合、サイト運営なんてそんなに面白いものではないのです。情報のないサイトにお客さんはほとんどこないし、よほど好かれる人柄でもなければ細々とした交流すら満足にできないものです。毎日日記を更新して、週に1件の掲示板への書き込みに喜ぶ、それくらいの精神の持ち主でなければサイト運営なんて続きません。よくいわれる、誰もがはまるような趣味じゃあないのです。孤独で、静かな趣味なんです。

私はあえて、despair(絶望)という文書名をつけました。インターネットで世界に情報発信! とか、全国の知らない人と友達になっちゃおう! という宣伝文句から受ける印象と、この世界の実情はかけ離れています。本当は絶望してもいいのに、現実から目を背けているだけの方が多勢いらっしゃる。果たしてそれで誰が幸せになれるのでしょうか?

私はこれまで、多くの相談者に現実を直視せよと申し上げてきました。その結果、サイトを閉鎖なさった方もいらっしゃいます。けれども圧倒的多数の方は、分不相応な夢を見て、さえない現実にイライラするのをやめ、小さな幸せを大切にすることにしようという意見に(一時的/渋々にせよ)同意されました。

たしかに、私のアドバイスは大手サイトの芽を潰すかもしれません。しかしほとんどの方は、大手サイトの運営者にはなれません。逆立ちしたって無理です。私は、より確率の高いアドバイスをすることにしました。そのリスクは、これも因果と思って皆さんには諦めていただきたいと思います。個人には、いくら責任を痛感しても、責任の取りようがないことが多々あります。私にできることは、胸を突く痛みとともに生きていくことだけです。それ以上はどうしようもないのです。どうか、許してください。


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