空の下には人がいる

空爆とは何か 米軍コソボ@記録映像

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Photos quoted from NATO - Refugee Convoy, NATO Killings

コトバで「空爆」というと、ただ透きとおったひびきかもしれないが、空の上に星があるように、空の下には人がいる

写真の説明によると、「コソボで、避難民を輸送中のトラックをF16が上空から目ざとく発見、米パイロットは空爆を続け、75名を殺害した」のだという。KLA(コソボの急進的組織(過激派))を「支援」するための行動だが、一般には「NATO不要論のなかでNATOの存在をアピールした」と解釈されている。出撃した兵士たち自身は、いやいやだったらしい。

比較的情報が出やすいユーゴですら、真相は、よく分からない。ましてやチェチェンやイラクなど、攻撃をした側自身の「公式発表」以外、ほとんど情報がない。劣化ウラン弾のことだって、たまたまばれてしまった氷山の一角なのかもしれない。

上記の攻撃の結果首がちぎれた人

Grdelica Canyon の鉄橋破壊も悪名高い。軍事的には橋の破壊が目的だったのに、わざわざ列車が橋を渡っているときに攻撃し、多数の乗客が犠牲になった。シューティングゲームでもやってるつもりなのか。

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列車が高速すぎてよけられなかったと言い張ったが記者会見で見せた説明用のビデオが、細工されていた(早回し)というオチ。

ボタンひとつでこの結果。べんりな世の中になったものだ。人間だったモノの姿が識別できるだろうか。この婦人は「狂気の無差別テロにあった」と思いながら死んでいったのかも、しれない。

セルビア人の住む郊外の町に、ある夜、NATOはミサイルを撃ち込んだ。こんな「部品」を病院に運んでも仕方ない。軍需産業をうるおすと、副産物として奇妙な肉塊が生じるものだ。スライム状にとけかけた人間そしてまた肉塊

ユーゴスラビアのコソボだけに限っても、アメリカ(NATO)のテロ活動の結果は本当にひさんで正視に耐えないが、劣化ウラン弾の影響でアメリカ兵自身も、のちに人間とは思えない形態の赤ん坊の親になる。アメリカ兵も被害者なのだ。そんな兵器を自軍の兵士に使わせる軍上層部、ひいては兵器を製造する企業に責任がある。何を思いながら息を引き取ったのか。いったい何を? 平和のための正義のタタカイ? たしかに世界平和のためなら命を捨てる人もいよう、が、ご承知のように、コソボもまたNATOの介入で、平和どころか、かえって泥沼化しただけだ。もし空爆の効果で「平和」になっていたと仮定しても、それは暴力による支配と言わざるを得ない。

何を思いながら、死んでいったのか。ただれた全身、火の苦悶のなかで。ゆえなく殺された者たちが残したのは、沈黙の叫びだけ。なんと言っているのだろうか。「復讐してほしい」と? それとも「もうひとりでもこんな目にあってほしくない」と?

「わたしは身内を殺された、犯人に厳罰を」という気持ちは、よく分かる。アメリカの政策に恨みや怒りがある人々とアメリカ(政府)のあいだのことに、無関係な人が巻き込まれたのだから。だからこそ、アメリカに恨みがある人々とアメリカ政府のあいだで、話をつけてほしい。関係ない民間人をこれ以上、巻き込まないでほしい。無惨な死がいかに多くの人のこころに深い傷を残すか。人が死ぬとは、どういうことか。いま殴られたばかりなのに、無関係なのに殴られたらどんなに腹が立つか、理解できないのだろうか‥‥。

中東の石油の確保? パイプラインの権益? 軍需産業を軸にした景気のてこ入れ? カネと呼ばれる紙切れを集めるためなら地球なんて惜しくないという大統領であることは京都議定書の件からも想像がつくけれど、できることなら、どうか先々まで考えて賢明な判断をしてほしい。戦争に負けたことのない国、空から爆弾が落ちてきた経験のない国には、難しいのかもしれないが、助言してくれる友だちくらい、いると思う――。