Afghanistan 10

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2001.03.24

名無しさん@メモいっぱい

Up to half of Afghan children suffer stunted growth: UNICEF――アフガンの子の40〜50%が栄養失調で成長障害ということをユニセフが報告しました。

Taliban agree to preserve remaining cultural relics Islamabad, March 23, IRNA -- Taliban, who destroyed almost all the Buddhist era statues of Afghanistan, have now agreed to preserve the remaining artifacts, reflecting the cultural heritage of Afghanistan. This was stated by the special emissary of UNESCO, Pierre La France on his return from Qatar, on Friday. ということです。どこまで「作戦」で、どこまで「やむにやまれぬ行動」で、どこまで「知らずに無邪気にやった」のか。

Osama to mediate between Taliban, Hekmatyar ヘズベイスラミがタリバン側と手を結ぶ……事実としたら、 おもしろいことになるかもしれません。ていうか「Bin Laden allies 'seize control' in Taleban struggle 」 「Bin Laden group gaining power (UPI)」これねーー。 頭のいいラディン氏だったら、やるかもしれないからなーーー。 1タリバン指導部に工作してまぬけなタリブたちに仏像を壊させる。2世界の非難が来てタリブたちはびっくり (ラディン氏は計算通り)。3指導力が低下したタリバン政府をラディン氏が統御する。――ということです。 ただ、これまた「ラディン氏は悪い奴」という宣伝(というか妄想?)が生む虚像の「陰謀論」かもしれません。 ANC系が出さないでAOPだけがこれをしつこく流しているところが、ひっかかる。 ラディン氏のイメージをますます「黒幕」にしたてあげて、空爆やなんかを正当化したいのか。

Ejection notices issued to Afghan refugees: 「仏像を救う」チャンス! ムタワキルの言葉を借りれば a golden opportunity to help 。ナッサルバールという名の救いの女神が破壊されそうです。パキスタンにカネを渡してやめさせてください。期限は7月末。 ていうか、パキスタンばかりに押しつけてきて20年、 アフガニスタンの人々を代理戦争のコマにした各国は、 もう少し自分のまいた種に責任を持ってほしい。目立つところでいいことをして、目立たないところで悪行三昧の国々よ。 Pak-Afghan border closed というのもまたまた問題になってます。 (この問題については、このメールを参照してください。)

Tokyo sanctions $9.1m for Afghan people: Statue destruction disturbed Japanese:Dawn は時々、不正確な報道をしますが、これは現地(パキスタン)で日本の大使が言ったということで、 結局、910万ドル? 初めは100万台という報道で、それから600万とか出てましたが、さらに増えました。 こうしてみると、いじめにあっている弱い生徒と思っていたのが、とつぜん立ち上がり握りしめたこぶしで窓ガラスを割ったのをみて、 (学級委員のアメリカさんは「あーらーらー悪いんだー国連に言ってやろう」と調子に乗っているものの) 日本としては、ちょっと感じるものがあった、というまとめになりましょうか。 窓ガラスを壊した手からも血がポタポタ垂れてるよ……。 He said the package has been announced in response to an appeal by Mr Kenzo Oshima ということで、 大島さん、最近、名前が出なかったけれど、やってくれました。 やっぱり新任早々のフレッシュな気持ちがあの現地の実情をみて、人間として黙っていられない、行動してくださったのだと思います。 大島がホンキでコミットしてることは、言葉遣いとかで当初から感じていましたが……しかし、 大島にどこまでできるのか、というのは、疑問が残ったわけです。 そして在パキスタン日本大使のほうですが、 he said as a member of the United Nations, Japan has to honour the sanctions imposed by the Security Council on Afghanistan. However, he said that Japan was not a permanent member of the Security Council and it has not imposed these sanctions. と、微妙なことを言っています。マスメディアふうには「安保理の決定を尊重するとしながらも、 ……として、安保理制裁への疑問を示唆しました」といった感じでしょうか。「示唆」してますか。 単に事実を述べただけか。「日本は国連の一員として決定に従いますが、日本は安保理の理事国ではなく、 あの制裁を課したのは日本ではありません」ということです、直訳すれば。どういうニュアンスかは不明だが、 あれは日本がやったわけではない、と、ことさらアピールしました。 あるいは、Dawn のほうで、そういうふうにとれるように編集したのか(パキスタンがアンチ安保理なのは当然)。 常任理事国5大国が勝手に決めた、日本は加わっていないし加われないのだ、ということでしょう、結局は。 アフガン制裁に限らずこのUNSCのシステムには多くの人が前々から疑問を出しているわけで。

「Referring to destruction of the Buddha statutes, he said it had disturbed Japanese people because these were common cultural heritage of the mankind. But the plight of the Afghan people has nothing to do with the destruction」 これは、まあ、いちおうそういう認識を示した、ということですが、むしろ我々としては、 Does the destruction link to your offer? というひそかな質問が内心、うかぶわけです。 パキスタン側の記者が(皮肉まじりにでも)そう尋ねてくれればおもしろいのですが。 あの破壊があって、はっとして行動したのか、破壊がなくても、ここで910万ドル出したか。 むなしい話にしたくないので、あの大仏は、結局、身を挺して苦しむ民衆を救ってくれたのだ、というふうに解釈したいです。 これはイスラム教徒だからとか仏教の救いとかそういう話でなく、 つまり、あの大仏を作った美術家たちの「純真」、宗教というより芸術家が作品にこめる「まごころ」が、どうしても無視しきれないちからとなって、 いまになった働いたのだ、と、そういうふうにイスラム教徒のかたも、 超党派的にというか透明に素朴に解釈していただきたいと思います。

2001.03.22

Japan offers $1.86 mil. for Afghanistan's refugees:これ、とりあえずメッセージ的に「成功」だったってことですか。しかし一億ドル必要なところの186万ドル。 別の情報によると690万だそうで、現在、確認中です。

Japan planning to invite Taliban leaders to Tokyo:困ってるときは助けてあげる、という友達の態度をいちおう見せたんだから、 忠告する権利もあるってか。まあ、良い話と思いましょう。アメリカ側はタリバンからの手紙を冷たくあしらった。 日本はこちらから呼びかけた。自主性があっていいじゃない?

Taliban slaughtering cows to hide embarrassment?: 「The Taliban is not just the most unpredictable regime in the world, it is also the clumsiest. The militia group has never done anything with finesse and refinement. When teenagers in Kabul tried to copy the Titanic hair style, they did not offer an alternative for their youth to follow. Instead they went around beating the teenagers and putting the barbers in jail.」なんて、 関係ない話まで出して、けちょんけちょんにけなして、これがジャーナリズムが主権国家を論じるやり方か、とかも思いつつ、 でも、善意に解釈すると、あの牛の話は「要するにタリバンたちは、根が内気で不器用で……」という、 そういう部分は確かにあるでしょう、記事の内容とは別に題名の視点は面白いです。

Kyodo news summary -6-

Famine alert raised in north-east Afghanistan

Rain sent after Buddhas smashed: Taliban:オーストラリア発。「Mullah Omar told three Pakistani Islamic scholars who visited him at his headquarters in Kandahar, in southern Afghanistan, that Allah deprived the Muslim nation of rains because of the delay the Taliban took in destroying the statues, Islamabad's Urdu-language newspaper, Ausaf, reported. 」真偽不明の風聞ですが、 ホントに雨が降ったという話がなんとも……。

Taleban ban Persian New Year:春分系の祝日でもとをただせばパールシー系だという話、 宗教的マイノリティーを否定していると言いたいのでしょうが、この事実だけで総論をぶつのは無理でしょう。 むしろヒンドゥーの像は守るというムタワキル発言の真意が非常に気になってます。

Taliban minister hurt in blast カブールでの爆破事件で、アフガン政府の教育相が負傷したとのニュース。

Railway link with Afghanistan shortly 明るいニュース。

2001.03.21

FAQ Part 2 - アフガン問題やなんかを冷静に深くまじめに考えてるかたにとっては、 以下は(内容はともかく)文章がきつすぎと思われるでしょう。ごめんなさいです。 いわゆる厨房な連中には、このくらい言わないと通じないからな。それに、すでに冷静に深く考えているかたとは、 とくに議論する必要もないでしょう(ご自分で考えを深めてゆかれるでしょう)。 ここではテレビに躍らされるばかりの「脳に電極さしたサル」にね。 ほんのちょっぴりでも「あれ・・・そういえばその点は・・・」とふと思ってほしい。

初めにひとこと: 仏像ネタは、かっこうの宣伝材料なわけ。 君は文化のことをまじめに考えて純真な気持ちで批判してるんだろう。それは正しい。 しかし、あの事件を「反タリバン宣伝を煽るのに利用して、自分たちの利権をゲットしようとする」のに使う連中は、 タリバン以上に利己的だぞ。文化遺産、純粋な深い信仰をあらわした美術品を政治の材料にするな、どっちもな。

US slams Taliban for justifying statue destruction:さて、 おもむろに大将が出てきました。世論をうまく煽ってから。うまくやったなー。今度はトマホークぶちかましても、 モニカのときより支持されるぞ(あとで冷静にかえってからは批判されるとしても、そんなのは十年以上先)。 つか、タリバン、ほんまにアホだったな、これは。仏像こわしても、なんもいいことないじゃん。 文化的に論外なのは当然として、政治的に大失策。ま、そのまた一方、 「仏像を壊すような(ごく一部の)人がいる国にはミサイルを撃ち込んでもいいのだ」と言われればすぐ「うんうん」とうなずきそうな、 先進国の電極サルどもにもあきれるが。
(^▽^ケケケ

Taleban envoy delivers letter to Bush:なんか、いたましいね。アメリカが和平、対話なんかするわけないじゃん。NYオフィス強制閉鎖されて、 それは、よく分かってるのに、まじめというか、ほかにどうしょもなくというか。

表層レベルの話はこのくらいにして、まじめな話。

Annan kept away from ‘hell-hole’ of Pakistan

South Nexus 3/20/01

ISLAMABAD, Mar 20: The United Nations Secretary General Kofi Annan, during his visit to Pakistan, was prevented from visiting Jalozai camp for Afghan refugees as the aid workers described it as a "hell-hole" of the country, media reports said here.

A daily newspaper quoting a report said, Annan was not allowed to visit the camp, as it was not an official refugee camp and because the Pakistani Government was worried that a focus on 80,000 refugees there could trigger a fresh exodus from Afghanistan.

"It (Pakistan Government) will not allow humanitarian organisations to bring tents. It will allow only water that's trucked in. It will allow only skeleton medical staff. It will allow the UN refugee agency only occasional access. It won't allow the World Programme in at all, meaning there is no dependable source of food," the report said.

The newspaper quoted the spokesman of the UN refugee agency Yusuf Hassan as describing the camp as a "hell-hole which is turing into a death camp."

The military regime of Pakistan had stopped Annan from visiting the camp near the Afghan border saying it could not guarantee his safety if he went to Jalozai camp.

According to London-based 'Guardian' newspaper UN officials suspected that the Government was afraid that the many journalists accompanying Annan would focus on its harsh treatment of refugees.

最後の観察は、基本的に当たってると思う。 パキスタンだけに押しつけて自分たちは無視しつづけてきたってのがあるから、 この記者も歯切れが悪いが。それにしてもおそるべき状況。 難民となって、ようやくJalozaiなんて名が知られているキャンプにたどりついてさえ、これ。 そこは地獄の入り口です、と。地獄の入り口にさえたどりつけない避難民も多いわけで――。

平和ぼけした日本では「アフガン難民はタリバン政府が助ければい〜じゃん」? あほか。 説明するのもうざい。ちっとは調べて自分の頭で考えな。

Area of Monday's conflict on Tajik-Afghan border searched

MOSCOW, Mar 20, 2001 (Itar-Tass via COMTEX) -- Russian border guards stationed in Tajikistan have searched the area near the Pyandzh river following a border incident on Monday involving trespassers from Afghanistan.

タジク側でも、なんか起きそう。ロシアの第二次侵攻もありえるし(第一次はソ連時代だけど)。 ロシアに叩かせておいて、アメリカはいちおう非難すると、「人道家」ぶって。 そういうシナリオも考えてるでしょうね、大将は。地下資源はあるわ、パイプラインの引きどころだわ。 この話は、タジク自身、ウズベキスタン自身にとって、地元的には迷惑も大きいが、 ロシアの補給路になればの特需も大きいでしょう。

2001.03.20

Fleeing War and Drought, Afghans Find the Door Is Closed: インターナショナル・ヘラルド・トリビューンの記事。 アフガン・ニュースで、ひさびさにみた、うつくしいことば。詩のことば。 こういうふうに引用されると、大島さんのあの名文句も引き立つけれど、 でも大島さんよ、感動的なことばを吐くだけなら、妖精現実と変わりませんぜ。 人間は、行動しなければ。がんばってください。

Taliban surprised at world reaction to demolition of Buddhas:トップページでは、すでに紹介しましたこの記者会見。 んー、西側にいて前からアフガンねたなページを作ってる自分自身、びっくりしましたからねー。 なにがって、石仏破壊じゃなく、それに対する世界の反応のほうです。 このサイトの初めのほうの記事をみると「朝日新聞にまで出てる!」って唖然としてますでしょう。 ホントに、びっくりしたもん。 人がぞくぞく飢えて死んでもひとことも言わない、アフガンニュースなんて興味ないんだろう、 と思っていた日本のメディアがねーーーー。複雑な思いでしたよ。ムタワッキルが言うまでもなく、そう思いますよ。

NATO to Send More Troops to Kosovo-Macedonia Border:トップページでも紹介中のマケドニアねた。ま、話の内容は良いとして、 ロイターさんの地の文、 「Venting frustration Sunday with the continuing guerrilla challenge to Macedonian sovereignty, Prime Minister Ljubco Georgievski told the nation the West was permitting the creation of a ``a new Taliban in Europe'' -- a reference to Afghanistan 's ultra-radical Islamic movement.」、笑うか、これは。過激(ラディカル)じゃ足りなくて、 「ウルトラ・ラディカル」にされちゃったよ。脱力。いつラディカルからウルトラ・ラディカルに出世したんだ。 石仏を壊したからか。んー。急進派とか穏健派とかいうのは、基本的に政治的(改革とか)な姿勢とかで、 「いまだに捕鯨再開を主張する極左革命主義的・自民党政府は」っていうくらい、 なんか筋違いなような。しかしまあ、イスラム教を信じる信じ方がラディカルだ、というふうに、解釈しますか。 それにしても、ラディカルなイスラム教徒だからやったこと、とばかりも言えないんですが。 それじゃ1994あたりにカブール美術館から美術品を略奪したりのムジャヒディンたちもですかね。 美術館を襲撃するとは美術品の価値を尊重してない、非文化的だ。と。ぜんぜん的はずれな議論だね。

Eleven Die in Ukraine, Russia Helicopter Crashes:目立たないニュースだが、ロシアは、その国境を越えて空爆の可能性もつねに視野に入れてるってことで。

Taliban offer peace talks: Opposition Times of India 3/18/01 KABUL: Afghanistan's ruling Taliban movement has offered to hold peace talks with its opponents, the opposition Hezb-e-Wahdat party representing the Shiite Muslim minority said Saturday. Senior Wahdat official Mohammad Muhaqeq told AFP by satellite phone the offer was conveyed recently by two Taliban emissaries.

'0.7m Afghans displaced last year' By Amir Mateen The News: Jang 3/19/01 WASHINGTON: The drought in Afghanistan may become one of the worst catastrophes to strike humanity in this century. The Washington Post has chronicled the plight of Afghan refugees with heart wrenching accounts of their misery. It says in the past year alone 700,000 Afghans have abandoned their homes. 2〜3000人が避難生活をしてるというマケドニア、これであのニュースなんだから、去年だけで70万人と、 これまでのトータルでは600万人とか(余談:これは、ユダヤ人の悲劇にも匹敵する数値でしょうけど、 ま、当時としてもユダヤ人は煙たがられていたわけで)、とにかく人類史上最大というか、 近代史上ほかにないような現象であって、もっと考えなければいけない。というのは、世界の二大だか三大だか五大だかの スーパーパワーが、結託して、このいとけない、非力な小国を、ずたぼろにしている。 これをみて、あなたがたは、なにかを感じないのか。 ドイツとユダヤ人だけでも、NATOとユーゴ人だけでも、たいへんなのに。 しまいにゃあ古代ギリシャの哲学者みたいに、真っ昼間から、ランプをもって、 この星のうえを若者たちの亡霊がさまよいますよ。 「この世に人間は、いないのか。人間は、いないのか。」

2001.03.19

[af]喪章を国旗にした国の話

「無視するな」と叫ぶことが第一義でなかったとしても、時期的にみて、国際社会から絶縁され(理不尽な安保理追加制裁をやられ、ニューヨーク・オフィスも強制閉鎖させられ)、そのいきさつをも踏まえて決断したに違いない、という点で、「なんで無視する?無視するな」という「メッセージ」も含まれてるとみるのが妥当でしょう(まぁ、ときどきある話でしょう、なんかあって自殺した生徒とかが担任の目にはごく普通だった、ただ思い返すとひとつふたつそう言えば思い当たる点があったりして、それについて担任があとから「あのときメッセージを受け止めてやれなかった」と後悔する、その意味の「メッセージ」)。

これがほんのささいな「メッセージ」なら、それは担任の先生の思い詰めすぎですよ、ということにもなるでしょう(上のパターンでは、それが多いでしょう)。が、あまりに歴然たるメッセージをきちんと受け止めてやれなかった場合は、のちの歴史家の批判にもさらされます。

たぶん、政治的かけひきじゃないでしょう。かけひきなら「壊すぞおらおら。壊してもいいのか。壊されたくなかった言うことをきけ」と脅して要求をつきつけるわけで、あんなにすぐホントに壊しちゃうのは、まあ、かけひきという意図は、むこうにはなかったわけで、あえて言えば「やぶれかぶれ」「ひらきなおり」、というより本質は「無関心」「脱力」。ここまでアフガン問題をこじらせちまった国際社会、第一次グレートゲーム以前もさることながら、ソ連の侵攻にせよアメリカのゲリラ支援にせよトマホークにせよ、アフガンの土地は泣いてますよ……。くだかれたのは、石仏じゃない。くだかれつづけ、踏みにじられつづけたのは、アフガニスタンそのもの。これでもメッセージが届かなければ、次には石が叫びだす。

あわれ仏教徒よ、わたし(仏像)がなんのためにくだかれ、なんのために血を流したか、まだ気づかないのか。

ご存知のように、従来のアフガンの国旗は緑、白、黒の三色旗。緑はイスラムの精神、白は平和へのいのり、黒は「外国の侵略を受けたかなしみ」。タリバン政権のアフガニスタン(IEA)では全面・白の旗を使うそうで、三色旗から平和の色だけ抜き出んでしょうか。タリバンだったらイスラームの緑を全面にしたかったんじゃないかとも思いますが、あいにく早いモン勝ちで全面・緑は、すでにリビアがいますんで……。白旗といえば降伏のあいず、「撃つな」というしるし。「停戦せよムジャヒディンたち、もう戦争はたくさんだ」という当時のまじめな学生運動の心意気のようでもあるし、「国旗なんて真っ白でいい」というシンプル・イズ・ビューティフルなピューリタニズムの発想のようでもあるし、あるいは、さほど深い意味もなく単に「めんどくせー」かもしれず、内戦で旗のデザインを考えてる暇もなく Now Printing ... なのかもしれない。

現実問題として、全面・白じゃ、見る人が国旗だと分かりにくいので、なんかせめてワンポイントあったほうがいいような気もする。アメリカ国旗から、ひとつ星をもらってくるってのは、どうでしょう(純真なアフガン族は、ここまで毒のあるジョークを好みませんね、たぶん。んー、ラピスラズリの深い蒼。かな、アフガンのワンポイントといえば)。でも、オリンピックとかで、全面・白のIEA旗がひるがえるさまを想像するのもおもしろい。「勝って白旗をあげる」、「勝利の白旗、高々と」。なんとなくやわらの道に通じますね……

2001.03.22 追記:「取引のためのポーズだと思ってました」「国際感覚がないのか、ともかく本当に残念」といったフィードバックがたくさん来ました。たぶん、みなさんの疑問なのだろうと思います。

国際社会における「社会性」。みんなが見ている場所では、そうそう変なことはやりにくいという見えない強制力がありますよね。しかし、周囲の人々が「これからお前のことは無視する、存在しないことにする」といって、あなたのまわりに、高い塀(へい)をぐるりと立てて、外界と遮断したとして――そのとき塀の内側で孤立したあなたは、もはや、従来の国際社会の社会性の意味を喪失してしまうでしょう。敵対や仕返しじゃなく「意味の喪失」。

実際、アフガン国内のヒンドゥー教徒やパールシーの偶像は壊さない、と言っている。国際感覚は意味がなくなっても国内の多民族社会の感覚は、いちおう残っている。「国内ヒンドゥー教徒の礼拝は、塀で囲まれてしまったアフガニスタン、その内側の世界になお含まれて、リアルに存在している」ということです。(ちなみにアフガニスタンには仏教徒は事実上ゼロ)


[af]情けは人のためならず?

「われらは……圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する……全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」 - 日本国憲法の前文より

「人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもつて行動しなければならない」 - 世界人権宣言

Afghan Clerics Decided on StatuesTALIBAN: CLERICS MADE DECISION TO RAZE STATUESOfficial Says Clerics Gave Order on Statues):まぁ、どうみても、オマル師の「冷静な」高レベル判断とは思えませんが……オマル師、相当、追いつめられてのことか、それか、この報道にあるように(アフガン情報相の話)オマル師と関係なく(ムッラ・オマルからみれば)下っ端の連中が勝手に決めたか、それか、第三の可能性は、ほかの国からの働きかけあって、ということでしょう。――ムタワキルがヒンドゥー教の偶像は守ると言ってるのも、偶像崇拝禁止はオマル師の冷徹な(統一的な)高レベルの判断じゃなかったのか?と疑問を感じる(むしろ現場的対応という感じ)。でも、仮にそうだとすると、オマル師の意思と関係ない政府決定、つまり前からうわさされてるように、タリバンが分裂してる、という話になります。だとすると、アフガンを締め付けているある人々のもくろみ通りでしょう。他方、実際には、オマル師の指導力は健在で、「オマル師とは無関係に決めた」とか言っているのは、単に国際世論の反発からオマル師を守るための口実だ、と見る人もいるでしょう(自分自身、第一感は、そういう疑いをもった)。

いずれにせよ、タリバン側としては、国際的非難が来るのは分かっていたが、ここまで大騒ぎになるとは、びっくり、というのが本音でしょう。その意味ですが、第一に、電話も電気もないアフガニスタンの「現実」では、地球の裏あたりから即日抗議が来るなんて青天の霹靂(へきれき)でしょうし、第二に、CNNなどのプロパガンダのちからを過小評価していたのでしょう(西側の視点も踏まえてアフガン問題を注視してきたわたし自身、この問題が、ここまで[日本の新聞にまで大きく出たりするほどの]騒ぎになるとは、まったく想像できなかった――で、BBCのコレスポンダントを追放するという筋違いな反応をみても、タリバン側は、かなり動転してると思われ)

Mutawakkil (From BBC)KABUL, March 18 (Kyodo) - "There was a golden opportunity to help the Afghans...when 300 Afghans died of exposure (in refugee camps)," he told a press conference. "They did not help in these instances. But when some statues of stones were destroyed, the international community made such a hue and cry, which really astonished us."(「かつて手をさしのべていただきたいことは、ございました。充分な物資のない避難キャンプにおいて、なすすべもなく、我が国民300名が飢えと極度の寒さで命を落としていったとき、国際的な緊急援助を切実に望みました」とアフガニスタンのムタワキル外相(写真=BBCより)。「世界各国は、これに対してついに何もしてくださいませんでした。もはや我が国のことなど考えていただけないのかと思いきや、いま石の像が破壊されたとなると、皆様方は唐突に大騒ぎをなさる。率直に申し上げて、唖然(あぜん)とするばかりです」)

その不条理感だろうね。いちばんは。

"Donor states had also ignored a new $76 million appeal to save millions of people in drought-hit Afghanistan from starvation." - Catherine Bertini, executive director of the U.N. World Food Program(「深刻な異常気象の影響で餓死の危険に直面している数百万人のアフガン人を助けるため、わたしたち国連世界食糧計画は、合計7600万ドルの緊急援助を呼びかけました。しかし各国政府は、この呼びかけも無視しつづけてきました」――WFP、キャサリン・ベルティニ)

実際、餓死者が続出してるのに、いまだに知らん顔でしょ。こっちの問題で、せめて口先だけでも公式に「遺憾の意を表明」した国がひとつでもありますか、パキスタンは別として。国連の大島は本気だったと思うけど、日本政府への影響力ないんですかね、あの人。

分析
1 「我が国政府は、一億ドルを費やして、あほうどもから貴重な文化遺産を守ったのです」→世界から尊敬される? 宣伝になる?
2 「我が国政府は、一億ドルを費やして、飢え死にしかけていた数百万人を助けました」→地味すぎ? いまいち宣伝にならない?

照合
仏像=目に見える、具体的で分かりやすい。子どもの命=目に見えない、抽象的で漠然として分かりにくい? →じゃあ、新聞一面に子どもの写真でも出せば? 毎晩テレビのニュースで5分間、きょうのアフガン、「また餓死者が出ました」、きょうは誰と誰が凍死したか、てのをやって「一刻も早く緊急援助を」と呼びかけつづければ? けっこう同情心が強く根は純真な日本の人々、実情をみれば、すぐに助けたくなると思うのだが……(この「肌の感覚」でしょう、最後のとりでというか出発点は。日本の人々がひとりあたり百円だすだけで、余裕で全員、助かるんだから。豊かな日本にとっては痛くもかゆくもないことでしょう。あほくさいダム工事や護岸工事より、よっぽどまともな税金の使い道でしょう……)。そしてそういう国が世界にひとつでもあったなら、だれも、「無視するな」と叫ぶために(世界の備品の)窓ガラスを割ってみせたりしないのに。で、今度は窓ガラスのことでさらに叱られてやんの。

問題点――各国政府というより、「1は名誉だが、2は、さほど宣伝にならない」と感じている一般の人々。外からみて宣伝になろうがなるまいが、我々の内面の良心に照らして実行すべきことを実行すればいいじゃない。

情けは人のため、ならず(←「情けをかけるのは相手のためというより、のちのちの自分のためになることなのだよ」ということわざ):人間的感情に訴えるなら――ここで恩を売っておいて、将来「シルクロードの旅」に行ったら日本人は永世特別優待で全員ホテル代が半額になる、と(ぉ アフガニスタンの地理の教科書に「この島は日本といって、住民は善良高潔、困っている人を決して見殺しにはしません」と書かれる。「我が国が苦境にあるとき、日本だけが隣人としてすくいの手をさしのべてくれたのです」とか。ひとり百円で、死ぬほど感謝されまっせ……ついでに、パイプラインの権益も伊藤忠がゲット!みんなで作ろうパイプライン。アフガン地元の労働者には感謝されるわ、インドのガス会社には感謝されるわ、インドのガス消費者にも感謝されるわ、そのうえカネは儲かるわ、もちろんトゥルクメニスタンとパキスタンからも感謝状、米ロを出し抜き日本がグレートゲームの最終覇者じゃ。百円やそこらの投資、すぐに回収できるって(微苦笑)

実際、米ロ中など大国では、これに似たおもわくがうごめいていて、我々の見えない裏の動きとなっているので、アフガン問題は難しい……。「微苦笑」なのは、まさにこれがアメリカの「権益保護」の論理だな、というところ。その雰囲気を感じ取ってほしい。


[mk]最近のマケドニア

偽真理教:とある新聞記事によると、「マケドニアは人口約220万の約3分の1がアルバニア系住民。ユーゴの旧政権と戦ったコソボ解放軍の流れをくむ武装勢力を支持する人も多い。」→助詞の「も」がクサい:「武装勢力を(精神的には)支持する人も多い←うむ、全面支持者も1万人くらいいるかもね。が、(現実的には)支持しない人のほうが圧倒的に多い←数十万人の穏健派」←その新聞記事に欠けている後半を頭のなかで補って読んでください(あなたのそういう想像力をやしなうために、わざと上の句だけしか書かないのでしょう、その新聞社は、きっと……)。

説明:ほとんど支持されてなかったら武装闘争なんかそもそも続けられない。闘争がこれだけ続いてれば「なんらかの意味での支持者は少なくない」ってのは自明。が、アルバニア系住民としては、コソボ独立(というよりアルバニアへの併合?)それ自体は支持しても、その手段としての過激な武装闘争は、いまいち賛成できないでしょう。んなの当たり前で、自分の町が戦場になったり、家を離れて避難したり、逆に避難民流入で混乱したりとか、それを望む人は、まずいない。だいたい第二次バルカンと世界大戦とで、土地をえものにして、国境線をでたらめに何度も引き直し、結果「故国が東西に分断されてしまった」のはアルバニア人の責任じゃないでしょう(地図)。

2001.03.19 - マケドニアねた
1 一部の急進的グループが「アルバニア人の解放、独立」とかを旗じるしにやってること、それは、必ずしもアルバニア系住民の総意じゃないということに注意(間違い→「アルバニア人は暴力的だ」←断片の情報だけでこんな断定をするのはレイシズム以前の問題:日本で一部の右翼が変な事件を起こしたとき、外から関連写真をみて「日本人はナショナリストだ」と思うようなもの)。コソボでもそうだったし、ルワンダでは暴力反対の人間の尊厳から、より痛ましい悲劇が生まれた。
2 にもかかわらず、前者を「過激な一部の連中が勝手に」とばかり見ていては、いけない。のほほんと平和な社会ならそうそう extremist なんていうのは発生しないのであって、なんらかの extreme な作用への反作用であることを見なければいけない。決して「勝手に」じゃなく、がまんにがまんを重ねて、なおたえがたい、extremely frustrating な状況への、やむにやまれぬ対応という面があるということ。
3 まぁ、それはそうと、約2000人が避難、だって。ふーん、大ニュースだね。それが何年とつづいて、しかも避難所で食糧や水が慢性的に不足して、毛布もなくて、毎朝毎朝、何人も子どもが冷たくなってたら、2000人だって大変なことでしょう。2000人だってね。そう思いませんか。

>> アフガニスタンのページに、石仏破壊なFAQを追加。


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