Webサイトデザインアドバイス

Advice

徳保隆夫の発言集24

私は方々のサイト批評掲示板でいろいろ書き飛ばしています。その一部を収録。新旧いろいろ入り混じっています。場所もいろいろ。

GAME×GAME

[2002.07.02]

HTMLの記述はOK

HTMLの記述についても鑑定を、とのことですが、ビルダーを使っている限りはそれほど気になさることもないと思いますよ。狭義の文法違反は限定された範囲でしか生じませんので。

推奨環境は目立つべき?

推奨環境が背景画像と重なって読みにくいというご意見が出ていますが、私は逆に、それでいいんじゃないかと。推奨環境がどうのといわれて、じゃあこのサイトを見るために環境を変えようと思う人は少ないでしょう。とすれば、つつましく読みにくい場所に置かれているのは正しいのではないでしょうか。

ただ、「Japanese only」は「Written in Japanese」に変えておいた方がいいでしょう。そもそも文字コードがShift_JISですから、欧米の多くの環境ではサイト全体が文字化けします。Shift_JISという文字コード自体はもちろん、MSゴシックやMS明朝といった日本語文字フォントを(初期状態では)一切用意していないマシンが、向こうには少なくありません。そんなわけで、日本語で書かれていますなどという注意書きは、基本的に不要といえそうです。また、英語版を用意したとしても結局、日本語と英語でしか書かれていないといえるわけで……。(そもそも世界で最も多くの人が話す言語は中国語だそうです)

フレームによる表示領域の制御

デザインは面白く、おおむね見やすいと思います。小窓を開かなくなった結果、大きな画面ではたしかに間延びして見えますので、フレームを使うならいっそのこと、5分割したフレームを使って、画面の中央にサイズ固定の表示領域を作成してはいかがでしょうか。というわけで、サンプルを作ってみました。単純にゲーム機を形作っている表をセンタリングすれば足りることではあるのですが、小窓を使う場合と同レベルのかっちり感がほしいなら、こういう手もありますよ、という程度に考えてください。

エルシオンのページ

[2002.07.06]

考えが甘すぎます

一日50〜60ヒットではご不満ですか。サイトを拝見しましたが、私は、そのアクセス数を維持するだけで地獄の道程だと思います。簡単に申し上げますと、毎日毎日、60人を楽しませるだけの芸や情報を自分が持っているのか、ということです。

難しいと思いませんか。伸ばすことよりも、維持することにもっと恐怖心を抱いてください。

展望

激闘アブジムニックは面白いので、完結したら大手サイトの管理人さんに宣伝してみてもいいかもしれません。一過性の大量アクセスをもらえるかもしれません。けれども、その先の戦略は何もありません。間もなく、アクセス数がだんだん減っていくことに愕然とするはずです。今のうちから、対策をはじめておきましょう。

ガラス工房 Kei

URI:http://homepage3.nifty.com/glass-kei/ [2002.07.06]

趣味のeコマースをいかに成功させるか

keiさんのサイトを拝見しましたが、商売ですから戦略が必要なはずなのに、どうもそれが見当たらないことが非常に気になります。私にはよくわからないのですが、keiさんのサイトの商品は「仕入れたもの」なんでしょうか。それとも「自作」なのでしょうか。仕入れたものを売って、儲ける方法ということなら、私にはさすがに手が出ない問題です。そんないい方法を知っているのなら、私もさっさと転職します。ただし、もし商品が自作なら、私にも腹案があります。

趣味のeコマースサイトとして最も成功した例といえるのがsea-beansです。人気がありすぎて、新規注文を停止してしまっています。

このサイトの商品は、人気のある個人テキストサイト(百万ヒット以上)のファングッズ(ぬいぐるみとキーホルダー)でした。そして宣伝は当然のように、当該の個人テキストサイトで行われました。サイトの管理人が、自サイトのファングッズを作ってくれるというお話に感激して、「よかったらみなさんも買ってください」というテキストを書いてくれたわけです。値段が採算ギリギリだったこともあり、あっという間に注文〆切となりました。個人では対応できないくらいの注文が集中したわけです。

この手は使えます。ガラスの表面に、サイトのキャラクターを彫ることなどができるなら、シービーンズと全く同じ戦略で少しは儲けることができるはずです。1日数千ヒット以上の個人サイト(おそらくテキストサイトがよいと思います)に狙いを定めて、戦略を練り直されてはいかがでしょうか。

追記:

ご質問のあった「戦略」について、あらためてご説明申し上げます。私はこの道のプロではありませんが、素人の趣味程度の話なら、一定の意見を申し上げることもできると考えております。

商売をはじめるにあたって、必ず考えなければならないことは、誰に何を売るのか、そしてどう広告するか、ということです。

kei 様のサイトの場合、商品に独自性がありません。また、新しい需要を発掘するような企画もありません。したがって、ガラスを扱う一般のお店と全く同様のビジネスモデルを想定されているものと想定されます。つまり、「贈り物はガラス細工にしようと考えたお客様が、お店へ行く代わりにネットでガラス細工を売っているサイトを探し、気に入ったものを選んで購入する」というわけです。

お店で買うか、ネットで買うか、違うのはそこだけですよね。

ではそれでうまくいくだろうか。うまくいくはずがありません。もしこれでうまくいくのなら、誰だって圧倒的に初期投資が安くてすむネット販売に注力するはずです。例えばパソコンのように、性能諸元がはっきりと数字で出ているような商品でさえ、店頭販売が圧倒的です。

通販には、もとより圧倒的な不利があります。ディノスのように強力なブランド力のあるところでさえ、広告を不特定多数に向けて発信する大出費を強いられているのです。

ネット通販を趣味ではじめられる方のほとんどが見落としているのが、広告の不毛さです。ちょっと広告すれば、すぐに評判になって誰かが少しは商品を買ってくれるものと思うようです。しかし実際には全くそのようなことはありません。100件広告を出しても、クリック率がそもそも1%にもなりません。そしてさらに、サイトを訪れた方の1000人に一人しか商品を買ってくれないわけです。

結局、商品も広告力も力不足の個人が、お店で買うかネットで買うかしか違いのないビジネスモデルでネット通販をはじめようというのは、頑張るとかどうとかいった問題ではなく、最初から戦略が間違っているといわざるをえません。

個人が活路を見出すとすれば、アイデア勝負ということになります。

個人の趣味サイトには、ひとつ大きな強みがあります。勝敗ラインが非常に低い、ということです。例えばシービーンズのアイデアですが、本物のぬいぐるみメーカだったら、あのような企画は没です。だって、どうしたって、最大の売上が、たかが知れているではありませんか。人気テキストサイトの閲覧者数が10000人。1%の人がファングッズとしてぬいぐるみを買っても、たったの100個です。シービーンズは、大手3サイトにオファーをかけたので、都合300個を売る計画ですが、これは趣味のぬいぐるみ作りとしてはとんでもない個数ですけれども、企業が手を出したら全然採算が合いません。

というわけで、企業が手を出すほどには儲からないけれども、素人の趣味としては程よく儲かるビジネスモデルを、模索していける、それが素人の強みであり、唯一の狙いどころなのです。

しかし、あまり夢を見てもいけません。濡れ手で粟とは、なかなかうまくいかないものです。

シービーンズのぬいぐるみは1個3000円でした。売上は約100万円ですが、何せ手作りですからね……。主婦の趣味ならいいですが、一家を養うのは不可能です。趣味にしても半ば地獄かもしれません。よほど好きでなければ、毎日毎日同じようなぬいぐるみを作ってはいられません。

趣味で何かをやっていて、それがちょっとしたお小遣いになればいい、それくらいがちょうどいいのかな、という気がします。

戦略の話に戻しますと、シービーンズは非常にうまくやりました。ここにすべてがあるといってもよいと思います。

シービーンズは、絶対にその商品をほしがる人がいるのに、誰も作っていないものを作りました。そして、その商品をほしがる人へ、ピンポイントで広告を打ちました。これを「戦略」というのです。誰に何を売るかが明確であり、そしていかに広告するか、明解な方法論がありました。売れるに決まっているのですよ、これならば。

誰に何を売るか、そしてどう広告するか、残念ながら私には、kei様のサイトがその答えを何も用意していないように感じられました。ただ何となく、こういう商品をほしい人はいるわけだから、多分そのうちの何人かはネットで商品を探して、偶然自分のサイトへたどり着いて、偶然気に入った商品に出会って、買って行ってくれるのではないか、そんな漠然とした期待感だけがあふれているように思われたのです。

以上です。ご理解いただけましたでしょうか。[2002.07.08]

追記:

お返事が遅れまして申し訳ございません。

改めて問題点を見出すことが出来ました。

前向きな姿勢が素晴らしいですね。ただ、あまり根を詰めすぎないよう、ご注意ください。お金を稼ぐのは大変なことです。

ページ作りに関してはもっと何か訴えるものがあると良いのでしょうか? 友人に見せてもみんなネットビジネスに関しては初心者のため、「よく出来てる」という感想しかもらえなかったので。

たしかに、よくできています。ただし、プロが作ったのではない、ということだけはすぐにわかります。最近、どこの会社もWebサイトを持っていますが、その多くは社員に片手間に作らせたものですね。それでも仕事は仕事ですから、素人の趣味よりよほど立派なものを作ります。そして、ガラス工房kei 様も同レベルに見えます。

プロとアマではサイトの作り方が全然違います。MdN刊「Webデザインワークフローガイド」にはWebサイト製作の手順が初級者にもわかりやすくまとめられていますが、技術以前の部分にこそ最大の相違があることを理解されるでしょう。

技術的には、レイアウトと画像の処理がプロの真骨頂です。アマはどうしてもこの壁を越えられないことが多いものです。私もそうです。

例えば同じガラス彫刻のサイトがありますが、繁盛しているところも有ります。何が違うのでしょうか?

まず一つ押えておいていただきたいことは、繁盛するサイトはほんのわずかだということです。繁盛したサイトは特例であり、それぞれに特別な理由があります。多くの繁盛した例を集めて一般論を導いてもいいのですが、それは新聞の経済記事と同様、教養にはなるけれども実用にならない内容になるでしょう。

ヤクルト時代の野村監督の言葉に「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というものがあります。不思議と成功したサイトを見ても仕方ないといえましょう。なぜ成功したのかはっきりしているサイトしか参考にはなりません。

なお、同じレベルなら、先発が強いのがあたり前です。多少劣っていてさえ、先人は強いのです。一日の長を逆転するには、相手より明らかに優れた「売り」が必要です。

最後に。いずれにせよ、何より重要なことは「続ける」ということです。どんなに素晴らしく、早くはじめたサイトでも、続かなければどうにもしようがありません。また続けるうちに、奇縁があって急にサイトの人気が出てくるということがあります。長いスパンでお考えください。[2002.07.12]

風色ポケモンサイト

[2002.07.06]

サイトに時計は必要か

時計を必要とする人がいるから、時計を配布する素材屋さんがある、というご意見が出ていますが、そこにはひとつ大きな見落としがあります。時計を配布する素材屋は誰が利用するのかといえば、サイトを作る人です。サイトを作る人にとっては、時計は必要なのかもしれません。そういう文脈なら、私も異論はないのですが、どうやらそうではないようですね。

さとんさんやコマンドウルフさんがおっしゃっているのは、「閲覧者」には時計は不要だ、ということなんです。読みたいテキスト、見たいイラストがあるからそのサイトを訪れる人がいる、ということはありえますが、素材屋さんでない限りは、時計があるからそのサイトを訪れる人、時計があってよかったなあと感謝する人はいないということです。だから、時計は「無駄」であり、その言い方がひどいなら、せいぜい「自己満足」に過ぎないというのです。

もちろん、閲覧者のためでなく、自分がつけたいからつけているんだ、ということなら、それ以上は申しません。ただ、実際には「何となく」つけている方が多い。ですから、一度はご忠告申し上げるのです。その時計は、あなたの精神の安定をはかる以外の何にも役立っていませんよ、と。

お気に入り追加ボタンはその点、まだマシです。たしかに少しは便利ですから。

自分自身が納得いかないという状況にどう向き合うか

「回線環境がよくなって再び昔ながらのデザインが復権しつつある」というWebの近況そのままという感じのデザインですね。あいかわらずISDN以下の回線の利用者が過半数(私もそう)なのですが、重いサイトが増えすぎて、待つのにすっかり慣れてしまいました。そうした現状を踏まえれば、まあこれでもいいのかな、と。

けれどもhikaruさんご自身が納得できないというのですからね……。それではつまらないので、何か直さなきゃいけないわけですが、3つの方向性があると思います。何が改善されれば納得できるのか、ということなんですけれども。

1.デザインがどうもカッコ悪い、と思っている場合

ようするに勉強不足なのだろうと思います。単純に、カッコいいサイトを見てきた量が不足しているのかもしれませんし、こうしたいというイメージはよいのに、実現する力がないだけなのかもしれません。サイトのデザイン(設計・レイアウト)全般については、アクセスアップ講座系サイトの提供している情報が詳しいです。HTMLやCSSに関しても、よいサイトがいくつかあります。Yahooなどでディレクトリをたどってみるのもよいでしょう。

2.アクセス数に不満がある、という場合

デザインを云々するアクセスアップ講座系サイトが多いのですが、実際にはあんまり問題になりません。だって、一日100ヒットあれば多すぎるくらいでしょう。となれば、デザインはどうでもいいといってもよいのです。一日100ヒットは、内容があれば、宣伝次第で達成できる数字です。内容とはつまり、「誰かに役に立つ」「他では手に入らない(または手に入りにくい)」情報のことです。コミュニティーサイトなら、多くの閲覧者による掲示板などへの書き込みそのものが情報なのですが、まずそうした状況をどう作り出すのか、そこが難しいわけで……。コミュニティーサイトは成功が難しいので、何かよい情報を自分が持っていないかと、まず考えることでしょう。現状のhikaruさんのサイトは、これといって情報がないように見えます。

3.サイトを作っては見たけれども、方向性を見失っているという場合

飽きるまで続けて、やめたくなったらやめる、ということだと思います。ある意味、情報のないサイトだけに、自分の好き勝手でサイトをどうしてしまっても誰の(大きな)迷惑にもならないでしょう。中学校、高校ではこのところIT教育とやらでWebサイトをつくる授業があったりもするようですから、今回、とりあえず作ってみたというだけでも無駄ではないはずです。

余録:記事削除について

[2002.07.06/削除2002.08.04]

某ゲームの攻略サイト(以下、某サイト)へのアドバイス記事があったのですが、やむなく削除いたしました。サーバ業者に記事削除の申請があり、業者の判断では削除やむなしとのこと。

月額1000円の契約なので、サーバ業者の従業員の方の時給を2000円とすれば、クレームにまともに対応すればすぐに赤字になってしまいます。したがって、削除依頼の正当性をまじめに議論する余裕がないわけです。これはいたし方ないことだと思います。言論の自由を守るにも、相応の手間と金が必要です。安いレンタルサーバにサイトを置いている以上、ある程度の不自由は覚悟せざるを得ないという結論に達しました。

簡単に状況をまとめますと、「みゅうはぁと」の「サイト鑑定掲示板」に某サイトからの鑑定依頼が出されました。私はひとつのレスをつけ、後日ここに転載しました。これに対し、某サイト管理人より「批判的な文章を添えたリンクは削除してほしい」と申し入れがありましたが、私は突っぱねました。WWWの目指すあり方、そして社会の常識(それはいわゆる小学校の優等生的マナーとは大きく異なる)にあまりに無知な意見なのだから当然です。

ところが、某サイト管理人は私より一枚上手でした。自分の論理が通用する攻め方を見出したのです。あらゆるトラブルを嫌う、弱い立場のサーバ業者を動かすことにしたのです。

ことここに至り、私もついに、覚悟の程が問われることになりました。あくまでも言論の自由をうたうならば、相応の投資をして自宅サーバを立ち上げるか、せめて独自ドメインを取ってサーバ業者を容易にわからなくする必要があります。現状では、サーバ業者に泣きつかれたら私は負けなのです。これほど強烈な弱点を持ったままでよいのか。

結論は前述の通り。怠慢な私は正義よりも手間と金を惜しむ決断を下しました。慙愧に堪えません。