Webサイトデザインアドバイス

Advice

徳保隆夫の発言集25

私は方々のサイト批評掲示板でいろいろ書き飛ばしています。その一部を収録。新旧いろいろ入り混じっています。場所もいろいろ。

smoker

[2002.07.06]

初めてのサイトは観察力を体現する

素晴らしい出来

初めて作るのでよくわからないとのことですが、初めてでもよくわかる人もいるわけです。逆に何回作っても、ちっとも分からない方もいる。どれだけ勉強してから作るのか、あるいは、作る中でどれだけ勉強するのか、ということだと思います。

いずれにせよ、まみさんは閲覧者が作者になったという流れなのでしょう……私の見たところ、初めてとは思えない素晴らしいできです。私は最近、同僚とともにIT教育と称する社内研修で自己紹介のサイトを作りましたが、同僚にはほとんどネット暦のない者が多く、常識外れのとんでもないサイトが続出しました。その点、まみさんのサイトはちゃんとサイトの形になっています。私にとってサイトとはこういうものだ、こんなサイトを作りたい、というイメージをかなり具体的に思い描くことができているように見えます。

無意識の効用

おそらく表紙をつけたのは、私のサイトには「当然」表紙をつけるものとしてイメージしていたからでしょう。実際にはそれは全然「当然」ではないのですが、とある方面ではそういうサイト構成が当たり前になっているのは事実です。いちいち表紙を通るのは面倒だ、という感覚すら麻痺しているわけです。サイトの想定する閲覧者が、表紙がないとむしろ違和感を感じるような方々ならば、表紙はもちろんあってもいいわけです。けれども、ひょっとすると、まみさんは表紙を面倒くさいと思うようなネットユーザーが世の中の大多数である、という事実を知らず、無意識に対象層を狭めていたのかもしれません。

無意識はしかし、有用なものです。何から何まで「勉強してから」しか使えないのでは困ります。「何となくこうする」必要が、どうしてもあるのです。「更新履歴」「リンクについて」が表紙にあったり、ばっちりのイメージ画像が絶妙の位置に配置されていたり、といった具合に、なぜそうしたのかと問われてもおそらく困る(あるいはその場の思いつきで説明するしかないような)いくつかの選択において、無意識は非常に役立っているはずです。

観察力を鍛えよう

初めてのサイトというのは、作者の「観察力」と性格を体現します。相当ネットをやってきた人がはじめて自分のサイトを持ったときに、「何これ」といいたくなるような常識外れをやらかすと、かなりカッコ悪いものです。その点、まみさんはちゃんとこれまでに見てきた多くのサイトを観察してこられたようですね。作られたサイトがちゃんとサイトらしい形をしています。

まず自分自身がおかしい、これは変だと感じないようにする。初めてだから、どこが悪いのかわからない、と思うのは幻想です。これだけのサイトを作ることができた方です。相当の観察眼があるものと思います。ただ、人は自分のみたいものを見るというのも、ひとつの事実です。勉強して視野を広げてみるのもよいでしょう。

視野を広げていこう

例えば、私から見ると、こんなことが気になります。

  1. TOPでサイトのイメージを赤で印象付けているのに、他のページがみんな白を印象付けている。これはどうしたことだろうか。背景画像も上だ下だと不安定でせわしない。(レイアウト)
  2. ギャラリーへ行ったらTOPに帰れなくなる。困るなあ。クリックできる目次とできない目次が同じ見た目なのはどうしてだろう。(ユーザビリティ)
  3. BBSが3つもあるけど、書き込みの様子からすると1つでいいんじゃなかろうか。(サイトの構成)
  4. 音声ブラウザに読み上げさせてみると、TOPの目次に使っている画像に代替文字がないのはじつに困る。(アクセシビリティ)

こうしてみると、まあだいたい、「現状に満足するもよし」といえる状態とはいうものの、いろいろ勉強してみるのも面白いのではないかと。私は思いつくままに問題点を指摘しましたが、各項目をお勉強できるサイトへいくと、例えばレイアウトならレイアウトだけで数十の「お約束」を学ぶことができます。それをチェックリスト式に自サイトと比較していくと、今は気付いていない多くのことが見えてきて、楽しいかもしれません。

ぼけもんのホームページ

[2002.07.07]

流れ文字の内容が意味不明というご意見に対して

想像力を働かせればたちどころにわかるわけですが……。

中体連というのは中学生の体育大会でしょう。そこで練習の成果を発揮したいといっているわけで、何の疑問もないわけです。

私は管理人の自己紹介として、これはスマートな方法だと思いました。自分は中学生で、運動、それが部活なのか学校の授業の一環なのかはわかりませんが、その練習をずっと頑張ってきた、そういう人間です、ということがすんなり理解できるわけです。どでかい字を流すというやり方はカッコワルイのですが、文章自体はよくわかると思いました。

今後の展望

今はおそらく、ホームページビルダーでいろいろ遊んでいるような状況だと思います。もうしばらく、いろいろ試して楽しんでみたらよいのではないでしょうか。今後どんなサイトを作りたいとお考えになるのかわかりませんが、文字が画面の外からビューンと飛んでくるような機能を使い倒してそういうのに飽きてきたら、勉強しなおすのにいい時期がきたと考えてよろしいのではないでしょうか。何年間も飽きずにそういうサイトを作りつづける方も市役所なんかにはよくいらっしゃるのですが、まあそれならそれで幸せなことだと思います……。(市役所の場合は市民が困りますが)

画像処理なら付属のソフトで実現できますよ

HPBにはウェブアートデザイナーという便利なソフトが付属しています。ユーザーズガイドの参照編に詳しい使い方が載っていますから、ぜひ使い方を習得なさってください。透過はもちろん、たいていの画像処理はみんなできます。非常に便利で使いやすいソフトです。

なお、HPB本体の機能を用いても透過処理が可能です。HPB6.5のユーザーズガイド参照編P61に解説があります。

いりび〜☆のほぉむぺぇじ

[2002.07.12]

荒らし対策

掲示板に特定の相手からのアクセスを拒否する機能はついていないのでしょうか? 荒らし対策はひとつしかありません。書き込みを技術的な手法で禁止することです。

荒らしの予防としては、書き込みホスト、書き込み者のIPアドレスが表示される掲示板を使うことです。私のサイトで利用している掲示板も、ふだんはホストなど表示されませんが、設定ひとつで過去に遡ってホストなどを表示できます。

なにごとも、非常事態が起きる前に対策をしておくこと、いざとなったら、最も効果的な対策を打つことです。相手をしてもしなくても暴れまわるタイプの荒らしさんがいます。消極的な方法だけでは、被害を防ぐことができません。

なお、書き込みにパスワードを要求するのもよい方法でしょう。特定のネット上の友人にしかパスワードを教えないわけです。掲示板は寂れるかもしれませんが、荒らしさんがいなくなるまでの暫定措置としてなら有効です。

高速船・アクア号

[2002.07.13]

カウンターの使い方

カウンターはどこにおいてもいいと思います。私は、全ページにカウンターを置いて、ページビューを調べています。訪問者数を知りたいならアクセス解析のほうが確実でしょうし、カウンターのように原始的なツールはあまり難しく考えない方がよいのではないでしょうか。

訪問者数の目安という意味でカウンターを置くならば、私ならば本館と別館の表紙にそれぞれカウンターをおきます。合計が知りたいのであれば、同じカウンターを両方に表示させればよいでしょう。というのは、私がお客さんなら、毎回のように表紙を通過するのは面倒くさいと考えます。そして本館と別館に直接ブックマークします。ですから、本館と別館の総合トップだけにカウンターがあるのはもったいないように思うのです。

配色の注意点

さて、リニューアルしてすっきりしたデザインになったわけですけれども、やはり色使いにやや難があるかな、と。トーンが比較的近い色をそろえているので、致命的ではないのですけれども、それでもやはりバラバラとした印象があります。

赤、青、緑とあるわけなのですが、多くの(しかも主張の強い)色に同等の面積を与えながらデザインをきれいにまとめるのは難しいものです。多くの色をつかうこと自体は問題ではなく、各色の面積に差をつけていけばたいていの問題は解決します。トーンをそろえるなど、色彩感覚は優れていらっしゃるので、あるいは色の調整を繰り返すうちに面積と関係なく問題が解決するかもしれませんが……。

初心者同盟チャット

[2002.07.13]

「初めに」は必要か

私は、「初めに」なんてものはいらないと思います。むしろそんなものがなければサイトの説明ができないということに問題があるでしょう。また、何の前提知識もなしによしなおさんのサイトへ行く人も多いとは思えません。実態としては「よしなおさんの個人サイト」という表現がぴったりの曖昧な内容のサイトであり、ここは**のサイトです、と書いても掛け声倒れのように見えます。

あえてチャットサイトをはじめる理由は?

さて、チャット系ページのことですが、既存のチャットサイトの何が不満なのでしょうか。自分と話したい、という人が集まってこない、ということでしょうか。ひとついえることは、あなた自身に関心のある人は世界中探してもほとんどいない、ということです。何かテーマを設けてサイトを構築し、そのテーマに興味のある人同士が話し合う場としてチャットを作るのであれば、理屈が通っています。しかしよしなおさんのチャットサイトの場合はどうでしょうか?

単にチャットで人と話したいのなら、すでに常時多勢が集まっている既存のチャットサイトで用が足ります。よしなおさんは、あらためてサイトの戦略を練り直された方がよいのではないでしょうか。チャットに人が集まらないのは、デザインとは全然関係ないです。人を集めるにはどうしたらよいかについての、よしなおさんの考えの甘さが正直に現れているだけに過ぎません。

よしなおさんの回答

チャットなんですが、僕はチャットがしたいわけではなくて、チャットサイトの管理、運営がしたいんです。だから、既存のチャットサイトの何が不満なのか?と聞かれたら、僕が、そのサイトの管理人じゃない事が不満ですと答えざるをえません。

成功の定石

それが何であれ、多くの場合、成功には努力が必要です。何を目指すのか、というビジョンは予め持っていてよいものですが、具体的にどうするのかということは、まず過去の成功例を探ることから始めるのが定石です。将棋、囲碁、あるいはスポーツだって、最初からいきなり新しい成功法則をポンッと生み出せるわけではありません。先人の努力の積み重ね、その結果を教訓とし、まずは基礎を固めましょう。

チャットサイトの成功パターン

チャットサイトの成功パターンは3つあります。

  1. 最初からBIGサイトとして企画され、スタートする。
  2. 他のサイトで成功した人が第2サイトとして手を出す。(あるいは人気サイト内のチャットコーナーがあまりに人気が出てきたので別サイトとして分離する)
  3. 管理人の人柄のよさが起点となり次第に人の輪が……。

今から、これといった戦略も、戦略を実行するパワーもない状態からスタートして成功するとすれば、第3のパターンしかありえません。一日数百人以下が集まるチャットサイトでは、最もよくあるパターンです。しかし最初からチャットサイトの管理、運営がしたいとよしなおさんはおっしゃる。「ふつうに考えれば無理です」というのが私の回答です。

チャットサイト成功のポイント

チャットサイト成功のポイントは、「常に人がいなければならない」ということです。したがって、まずは管理人自身がチャットに常駐する状態からスタートすることになります。この管理人さんの語りに魅力があれば自然と人が集まってきます(チャットサイトも掲示板サイトと同様、アクセス数の多くは「読者」であり、「参加者」はじつは少数派です)。そしてそのうちに集まってきた人同士だけで話が進むようになり……というのが、もっともベーシックな成功パターンです。

それがつまり成功パターンの3なのですが、それでは成功パターンの1と2はどういうものか。パターン1は、強力な宣伝力のある人がとる方法です。パターン2は、既に手元に一定のアクセス数を握っている場合の方法です。これらの方法が使える場合は、管理人が常駐せずとも圧倒的なアクセス数によって「常に人がいる」状態を実現できるというわけです。

接続環境などの問題でチャットサイトが少ないころは、1.の企画ものも結構いける場合がありました。初心者チャットとか、地域別チャットなどの大御所は少なからずそのパターンです。でも今はもう無理でしょうね。定番サイトだけでもたくさん揃ってしまっています。付け入る隙がありません。初心者チャットですよ、といって宣伝しても、わざわざ始まったばかりの零細サイトへ来てくれる人はほとんどいないでしょう。

宣伝だけではダメなんだ

0からのスタートとなる場合、宣伝とデザインでどうにかなる時代はとっくに終っています。もっと狭い領域を狙って、お客様にサイトを訪問させる「価値」を創造する必要があります。

目立った例としては、ゲームの攻略サイトがコミュニティーサイト化する、というものがあります。最初はゲームの攻略情報を求めてサイトへやってきた人が、次第にゲームの感想や好きなキャラの話題などをだらだら続けるようになり、しまいにはゲームからはなれて世間話をはじめる、(そのようにサイトの方向性を誘導していく)というわけです。

知識の力で時代を勝ち抜く

よしなおさんが苦労されているのは、「発想力が足りない」からではないようです。知識不足、あるいは勉強する(情報を自ら探す)能力の不足が問題なのではないでしょうか。

よく調べずに、なんでも自分で考えようとするのは、知識軽視の教育(とくにテレビドラマや漫画などは知識を馬鹿にする物語が多いですよね。学校でどんなに知識重視の教育をしても、それを無にするような社会教育の影響が現代は非常に強くなっています)を受けてきた世代の弱点です。しかしこれは逆にいえば、これからは知識のある人が圧倒的に有利な時代になってくることも意味します。ほとんどの人が知識を馬鹿にして、物知らずになっていくので、一部の物知りだけがうまい方法で成功していくことが可能になるわけです。

ぜひよしなおさんも、物知りになってください。そのためにはまず、勉強する力、つまり情報を収集し分析する力をつけることです。頑張ってください。