趣味Web 小説 2003-06-25

消える本、残る本 3

というか、新刊書店で本が入手可能な期間を単純に比較したら、ベストセラーほど長い期間にわたって買うことができるというのは、あまりにも当然なのではなかろうか。まあ林望先生の粗雑な言葉遣いが癇に障ったのだろう。意地悪して言葉通りに調査したという話に過ぎない。図書目録に記載されているかどうかを「本が滅びる」の基準とした時点で勝ちは明らかなのだった。

現在のベストセラー作家のうち、末永く生き残りそうなのは、例えば村上春樹と宮部みゆきだろう。高村薫も「マークスの山」「照柿」「レディ・ジョーカー」の3部作で山脈を築いたから、ことによると……。西村、内田、赤川の3巨頭は厳しいだろうと思う。13年も長者番付作家部門の首位を守った赤川はたいへんな作家だが、国語便覧に1ページを割いて掲載されたりはしないのではあるまいか。そもそも、代表作がシリーズものだというのがつらい。大沢在昌の「新宿鮫」シリーズなら第1作が十分にシリーズを代表するが、三毛猫ホームズを1冊だけ抜き出すのは……。宮部みゆきは「龍は眠る」「火車」「理由」「模倣犯」など代表作がはっきりしている。村上春樹は既に別格の地位にいる人であって、この人の著作が後世に残らないということはあるまい。

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