趣味Web 小説 2003-10-18

仕様書を読めば HTML を理解できるのか?

追記:2005年2月、海月屋は全面改装され、真っ当なマークアップに変更されました。お疲れ様です。2003年には失礼なことを書いて申し訳ありませんでした。

仕様書の邦訳を読み、かなりまともな解説をしているサイトなのですが……なぜこんなマークアップをしているのですか? 仕様書を読んでも、わからない人にはわからないという一例。ちゃんと勉強すれば、みな正しくHTMLを使うようになるだろう、という意見は非現実的、空想的、と以前から述べてきたわけだけれども、いやはや。

こんなに立派なコンテンツを組み上げられる努力家が仕様書の邦訳を読んでも、正しくHTMLを使うことはできない。文化の障壁は、かくも高いということ。

いつも私は悲観的になるのだけれども、結局、正しいやり方は、それを求める人にしか理解できないものなのかもしれない。人は新しい概念を理解するために、過去の経験と何らかの形で結び付けようとしがちで、そうである以上、「正しくマークアップする」のはたいへん難しいといわざるをえない。

人の目は、しばしば見たいものしか見ない。ことに初めて学ぶもの、予備知識の足りないものに対しては、その傾向が強い。関連の薄い経験を無理やり引っ張り出して、強引に新しい概念と結び付けようとする。「段落の区切りは改行」という連想がある限り、p要素の解説はアタマを素通りしてbr要素だけ覚える。h1~h6要素の解説を忘れて、b要素とfont要素で整形しようと考える。正しい解説を、そのまま素直に読み、理解できるのは、一部のエリートだけだ。

たとえ世の中のすべての参考書がまともな解説をしたとしても、おかしなHTML文書はさして減るはずがない。ただ、少なくともまともなプロは、みなちゃんとしだすのではなかろうか。だから、ダメな参考書を批判するのが無駄とはいわない。しかし、ツール批判もそうだけれども、「これぞ諸悪の根源」などと考えるのは思い上がりに過ぎない。いわゆる「諸悪の根源」は、文化の問題なのだ。

だから、これは底なしの悲劇なんである。(一定以上の層を除けば根治策は皆無に等しい)

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