私がイラク戦争について意見を書かなくなってしまったのは、ようするに大量破壊兵器が見つからなかったからです。産経新聞は、「でもフセイン政権が倒れてよかったじゃないか」といいますが、私はそんな戦争なら賛成しなかった。もちろん、悪い方に転んでもフセイン政権が倒れるという次善の果実があるよね、という考えはあったけれども、それが第一義であってよいはずはない、と思っています。
仮に日本に独裁政権が誕生したとして、国民が大規模な反政府運動を全国的に、全国民的に展開もしないうちに、アメリカがやってきて政権を倒したとしましょうか。嬉しいですか、それで。嬉しい、という人はイラクにもたくさんいたけれど、みんながそうであるはずはなくて、私はそうでない方の一人だと思います。卑近な例えを持ち出すなら、愚行権というものもあるわけであって、助けも求められないうちから他人が干渉するのはいかがなものか。大量破壊兵器云々というから、みんなの不安要因だというので「やっつけろ」となるのも致し方ないと考えたのに、いつの間にか虐げられてきたイラク国民を救済したんだという話になっている。つまらないことになってしまった、と思います。
けれども、時間は巻き戻らないので、いつだって「現時点で最良の方策」を考えるしかなくて、なし崩しといわれようと何といおうと自衛隊の派遣は賛成するしかない、と私は考えます。でも、以前はあれだけいろいろ書いたことなんだけれども、今、この問題について多くを語る気力もなければ、言葉もありません。だからこうして、ありがちな意見を再生産していて(いつだってそうなのかもしれないけれど今はとくにそれを意識していて)、ただただ呆然としているといった状況。
帝京大学の高山正之教授といえば、イラン・イラク戦争をイラン側で長年現地取材した叩き上げのジャーナリストで、「異見自在」「情報鎖国」などの怪作を物した方です。土曜夕刊に連載された「異見自在」は、毎週とても楽しみにしていたものでした。現在は週刊新潮で「変見自在」を連載中。そろそろ本にならないかと思っているのですが、こういう時事ものの連載って、あんまり本にならなかったりしますよね。さて、この高山教授が、イラク戦争について興味深い意見を書いていらっしゃるので、ご紹介します。
今頃になって紹介したのは、日本財団図書館にて無料公開されていることに気づいたからです。新聞紙面で読んで衝撃を受けたのですが、WWW には公開されなかったので紹介できませんでした。日本財団はいつも地味にいいことをしますね。
ちなみに、外務省の発表しているサウジアラビア王国の基礎データでは、サウジ内政は次の通り。
- 王制の維持、イスラム法の堅持及び国内開発の推進を基本方針とする。
- 絶対王制。国王が閣僚会議を主催、重要ポストは王族が占める。他方、石油、財政、経済開発等の実務はテクノクラートが運営。
- 現ファハド政権は、基本的には伝統的なコンセンサスを重んじる慎重な政策運営。湾岸危機後、内政改革を求める国内の動きに応えて、92年3月、国家基本法、諮問評議会法及び地方制度法を制定。93年12月に評議会開設。95年8月、ファハド国王の即位以降初めての大幅な内閣改造を実施。
参考文献というか、メモをいくつか。