趣味Web 小説 2004-02-03

ソニータイマー

私は記事の強制削除を1回、アカウント自体の削除を1回経験しています。

昔、どの出版社にも原稿を突き返された作家が「言論の自由の侵害だ!」と叫んで裁判を起こした、というジョークがありましたが、言論の自由は決して「みんなが自分の希望通りの発言の場を与えられる権利」を保障しません。「何をいってもいい権利」も保障しません。

憶測で他者を中傷するような記事があって、それを削除されて怒るのは筋違いというものです。

また、仮に正当な批判であっても、運営経費を極限まで削っている激安系のレンタルサービスや無料レンタルサービスを利用しているなら、トラブルの種であるだけでも削除の対象となってもいたし方ありません。それは決して、言論の自由の侵害を意味しないことに注意すべきです。出版社に無視されたら自費出版すればいいのであって、無料・激安レンタルサービスでダメなら高級なレンタルサービスを利用するか自分でサーバを立てればよい。

正当な批判をしているのに追い出されるのは残念なことではありますが、誰も発言すること自体を禁じているわけではなく、「トラブルを嫌って協力してくれない」ということに過ぎないのです。……というのは何らかの事実に基づく批判記事の場合であって、そもそもが憶測に基づく誹謗中傷であるならば、最初からそのような発言をする権利はない、ということになります。

近藤さんがユーザーをないがしろにしているのではなくて、ユーザーがいっていいことと悪いことを取り違えているという話。何人もの人がアプリオリに「株式会社ウェディング=悪徳業者 だから、皮肉・当てこすり・悪口なんでも思った通りに書いていい」と思っていて、文章にありありとその様子が現れているわけです。キーワードの削除理由にはその件が触れられていますね。

当該キーワードは、ご本人よりキーワードの削除要請があり、また、弊社にて内容を検討した結果、キーワードを含む日記の情報表示が、ご本人のご指摘による営業妨害、ならびに名誉毀損にあたる可能性があると判断し、削除とさせて頂きました。

法的手段というのは、案外、企業にとっても軽い負担ではなく、またリスクのあるものです。企業が実際に訴えることが少ないのは、裁判に勝っても得られる利益が少ないことがひとつの理由になっています。法的手段というと、すぐに「企業優位>個人ユーザ劣位」という図式を持ち出す方がいますが、いささか身勝手な認識ではないかと考えます。

もともと、みんながふだん好き勝手に物を書けるのは、企業がいちいち訴えないという現状に依存しているのであって、これを言論の自由を考える基礎状態とするのは誤りです。本当は書いちゃいけないことがたくさんあるのだけれど、たまたま企業が黙っているので、「書いても怒られない」のだ、と考えるべき。思ったことを何でも書いていいというのはまったくの錯覚です。しかしその錯覚に気付いていない人が多いから、こんな騒ぎになる。

訴える人がいないから許されていることと、本来やっていいことをごっちゃにするべきではなくて、そのあたりの錯覚を利用して人を煽るBeyondさんはどうかと思う。

とりあえず私がいいたいのは、みんな何の覚悟もなしに「ソニータイマー」とかそういった誹謗中傷をやっているけど、それって本当はやばいことなんだということは再認識しておいたほうがいいんじゃないか、ということです。

冷静な論者が多いという印象。はてなに一部を削除されたid:kosekiさんの記事が誹謗中傷と判断されかねないポイントについても詳しく述べられています。

こちらでは名誉毀損は「公共性、公益目的、真実性」が満たされる時、問われないはずです。という言葉を引用しているのですが、問題の発端となった投稿は誰がどう読んでも憶測だけで中傷する内容だったのです。憶測が当たっているかどうかは問題ではない、ということを理解されていないのではないか。ウェディングは悪徳業者に決まっているのだから、(明確な証拠がなくたって)悪徳業者呼ばわりして何が悪い、と。そうでなければ、「真実性」というフレーズに引っかかりを感じないはずがない。

逆質問ですが、プロバイダーに責任は代行させるべきではない、ホームページやWeb日記、Weblogなどで責任ある発言をしたい人は、ホームサーバーぐらい立ててそこでやれということなのでしょうか? 極論で反撃していると思われるかも知れませんが、僕にはそういってる風にしか見えませんので、よろしくお願いします。

ishinaoさんの回答は少し腰が引けていますが、私は「そうです」と申し上げたい。極論でも何でもない。自分でサーバを用意していないのだから、結局はサーバ屋がダメといったらダメなのは当たり前です。クレーム処理は労多くして益少なし、儲けを食いつぶす元凶です。XREAは正当性の如何にかかわらず他者の不利益になる情報を提供するサイトの構築を禁じていたります。いずれにせよ、ユーザと一蓮托生で頑張ってくれるサーバ屋は自分以外にいません。

個人の誹謗中傷の苦情には簡単にスルーするくせにというのも疑問。先に述べた通り、ふつうは法的手段なんて個人であれ企業であれつまらないものであって、それを本当にやるというのは相当なことだと考えた方がよい。個人だって、本当に訴訟を起こせばスルーされないでしょう。私のサイトが記事を削除されたのも、アカウントを消されたのも個人の抗議によるものだったわけです。

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