どこかで紹介されたようで、久々にリファラがたくさん残っていました。いい機会なので言及してみましょうか。
MTに限らず、NucleusやiBlogといったたいていの「blogツール」は記事を単位としてサイトを作っていく構成になっており、また、その記事も基本的にはタイトルをつけ、概要を書き(私は導入部としてしか使っていませんが)、そして本文を書くというスタイルになっています。これはどちらかというと、ある程度まとまった文章を書く場合に向いているのだと思います。そのため、1行コメント的なものや単発のURLのメモとしては使いづらい面があります。
MT は入力画面もカスタマイズできますから、私はカテゴリの設定や、概要の入力、トラックバックの許可/不許可などの項目について、表示しないよう設定しています。見出しだって、つけたくなければつけなければいい。それでも問題ないわけです。だから、これはどちらかというと
云々という指摘は、外れています。1行メモに使うにも支障ありません。大勢の人がこの方のように考えるのは、デフォルト設定に引きずられているからに過ぎません。
上でも書いた通り、MTなどのツールでは「記事」が単位。たとえ日付単位でアーカイブしたとしても、それは「その日のうちに書いた記事の集合体」でしかありません。最終的なアウトプットとしてはほぼ同じだとしても、設計思想の違いはあるわけです。スタイルというのは単なる外見の問題ではなく、自分自身の「書き方」のスタイルがどうなのか?という問題もあるわけです(むしろこちらのほうが重要ではないかと)。
最終的に如何ともし難い差異は、入力フォームが記事単位か日付単位かということでしょう。多くの日記出力 CGI では、一日分の記事はひとつの入力フォームに全部書きますから。そうでない CGI もありますけれどもね。ただ、各記事にタイトルをつけなきゃいけないとか、概要を書かなきゃいけないとかいうのは、勘違いです。で、そういった解消可能な差異を全部つぶした場合に、なおも大きな違いを感じるのかどうか。
いや、そこまでカスタマイズする人はあんまりいないでしょう……という反問は、「デフォルト設定に引きずられる人々」への批判になりません。カスタマイズ後の姿がデフォルト設定だったならば、MT をはてなのように使う人も多かったのではないか、という仮説への反論になっていないのだから。ようするに、ツールの基本部分の設計思想の差異よりも、デフォルト設定がどうなっているかが重要なのではないか、と私は思う。
もちろん、MT は日付ではなく記事を重視したので、デフォルト設定が現在のようになっているわけです。そういう意味で、実際問題としてはツールとスタイルの間には強い関係がある
といってもいい。
しかし、MT ははてなやココログと比較してカスタマイズの余地が段違いに大きい。だから、それらを並列に紹介するのはおかしいと書いたんです。「はてなだから云々」「ココログだから云々」というのと、「MT だから云々」というのでは話が違う。
たしかにツールの設計思想の差異はカスタマイズですべて解消されるものではありません。MT をどうカスタマイズしても、はてなと同じにはなりません。大多数の人は、デフォルト設定に引きずられます。しかし、一つ一つの差異点について、最終的に本人の問題なのか、ツールの問題なのかという点は、確認しておく価値があります。その作業を省略して、安易に MT を「こういうものだ」と規定してしまうことは、つまらない先入観を人に与え、誤解を再生産することにつながります。私が憂慮したのは、そういうことなのです。