趣味Web 小説 2004-08-28

Advice313 月の満ち欠け

再開したアドバイスの3件目。

ご依頼人と Web サイトのご紹介

天体観測……ではなくて、テイルズオブデスティニー(および同2)と鋼の錬金術師(通称ハガレン)の同人活動を公開している Web サイトです。

  • ドリーム小説って何?
  • 明澄の小説なんか読みたくない。
  • 荒らしに来ましたv
  • CP小説の意味を知らない。
  • オフラインの明澄の友人で許可をもらってない。

上記に1つでも当てはまる方は、すぐにでも、退室してください。特に、友人で許可をもらっていないのに入った方は、即絶交します。

表書きはなんだか物騒ですけれども、内容はむしろソフト路線です。ご安心ください。ただし、この道に疎い方が掲示板に作品の感想を書くことはお勧めできません。感想をいただけると嬉しいです、という言葉にはいろいろ留保がついていることをお忘れなく。

管理人の 明澄 玲璃 さん(どう読むの?)は平成2年生まれの中学3年生。早生まれなので、中2ではありません。ハガレンのカップリングならロイエド萌え(=メジャーなパターン)、好きな言葉は honest(純粋)、wing(羽根)だそうで、中学生といったら悪の限りを尽くす年頃じゃなかったっけ? とオジサンは拍子抜けしました。そういえば数年前に塾で教えていた中学生も、たいてい純朴ないい子達でした。みんなこんなに優しくて礼儀正しくて頑張り屋でいいのかなあ、と不安になったものです。

ご相談の内容

アクセス数が少なくなってきてしまい困っています。

アドバイスいろいろ

昨今の高校入試はフツーの生徒にとってはまったく大したことないのですけれども、夏休みが終われば、一応は受験モードに入るわけです。行ける所へ行ければいい、なんていって塾講師を困らせる子も、宿題はサボっても塾へ来れば一生懸命に勉強するようになるのがこの季節。ただし私がアドバイスの依頼をいただいたのは、関東の中学校が夏休みに入って間もなくのこと。夏休みに思いっきり更新するつもりだったのかもしれませんね。ごめんなさい、1ヶ月かかってしまいました(ただしアドバイスの受付は8月17日まで休止しており明澄さんの依頼はイレギュラー)。

再開1回目に、私はアクセス向上にお気楽で確実な手法は存在しないと書きました。しかし、今回のアドバイス依頼は趣が異なります。アクセス数が少なくなってきたというのです。それで困っているのだ、と。つまり、以前のアクセス数を回復できれば満足というわけですね。それならば、対処法はいくつか考えられます。

アクセス数が減る主な理由

アクセス向上に理由があるように、アクセス減少にも理由があります。趣味の個人サイトにおいて、アクセス数が次第に減っていく理由をいくつか挙げてみましょう。

  1. 管理人が飽きた
  2. 閲覧者が飽きた
  3. 人間関係の希薄化
  4. メインコンテンツの変遷
  5. 主要リンク元の心変わり

順番に説明します。

1.管理人が飽きた

単純に更新頻度が低下してアクセス数が減る、というパターンだけではありません。ペースを守っていても、管理人の飽きは文章に表れてくる場合があります。明に暗に「割とどうでもいい」という空気が出てくると、閲覧者が去っていくことがあります。逆に、管理人が飽きてきたことがよい結果につながる、というケースには滅多にお目にかかりません。管理人が飽きてきたからといって閲覧者が減るとは限らないのですが、どちらかといえば悪い方に影響するわけです。

飽きたわけではないけれど優先順位は下がった、などバリエーションはいろいろです。私がこの項を最初に持ってきたのは、まずアクセス向上について自分自身に問いかけてみてほしいからです。「本当にアクセス数を増やしたいですか?」「アクセス数が減って本当に困っていますか?」「アクセス数を回復するために、どれくらいの努力ならできますか?」etc.

もし、Web サイト運営のために現状以下のエネルギーしか注げないということであれば、「諦める」のも有力な選択肢として浮上してきます。管理人自身が飽きているのなら、アクセス数が減少して「困る」と思うのは、勘違いかもしれません。よく考えてみたら、「アクセス数なんて別にどうでもよかった」ことに気付くかもしれないのです。

2.閲覧者が飽きた

閲覧者の顔ぶれは、次第に変動していくものです。何年間もあなたの Web サイトのファンであり続けてくれる閲覧者は、ごくわずかです。ほとんどの閲覧者は、次第に飽きて去っていきます。したがって、新規閲覧者の確保が閲覧者が飽きるペースに追いつかない場合、アクセス数は減少していきます。

閲覧者が飽きる要因はたくさんあります。

  • 更新頻度が低い
  • 記事がつまらない
  • いつも似たような記事ばかり
  • 管理人がやる気をなくしている(雰囲気の問題)
  • 閲覧者が忙しくなった
  • 題材自体の人気が落ち目

中学生の Web サイトは、閲覧者も年齢の近い層であることが多く、とくに中3であれば同世代が受験シーズンに突入してアクセス数が減少するということがあります。お盆の時期には家族旅行でネット離れをするとか、部活の大会がたくさんある秋にもアクセス数が減るケースがあります。どの Web サイトの閲覧者層にも一定の偏りがあり、それぞれの事情にしたがって、様々な理由でアクセス数は増減するものです。

有名なところでは、曜日毎の増減があります。例えば週末にアクセスが増えるサイトと減るサイトがあるのですが、これは意外とジャンルとの対応関係が取れません。当サイトに限っても、かつては週末にアクセスが増える傾向が明らかだったのに、最近は平日の方が閲覧者が多かったりします。路線変更なしにこのような変化が生じるということは、つまり製作者の工夫によって閲覧傾向を制御しようとする試みの難しさを示しています。

面白い記事なんて、そうそう書こうと思って書けるようなものではありません。1からわかるおもしろ日記書き方講座について甲賀見聞録説得力ゼロ。こんなん読んでかけるようになったら苦労しない。と手厳しいのですが、私もミヤモトさんの意見に賛成します。実際、高村はなさんの文章よりルール違反満載の私の文章の方が(基本的に)読む人が多いわけです。

更新頻度は努力次第で改善できますが、記事に飽きられるペースが勝ればアクセス数は減少してしまいます。更新回数の増加はしばしば質の低下を招きますので、一概に「更新頻度だけは上げるべきだ」ともいいかねます。もちろん、たくさん書くことで文章がこなれてくることもあります。たくさん書くことが粗製濫造に直結しているわけではありません。

ただし、ひとつだけいえることがあります。デザインはあまり関係ありません。「月の満ち欠け」には、安価な液晶パネルでは薄くて読みづらい文字色が指定されている文書がたくさんあります。これを読みやすい文字色に改善しても、ふつう、アクセス数には影響しません。もちろん、素晴らしい小説を公開したって、短期的にはアクセス数に影響しないわけですが、デザインの改善は中長期的にも効果がないという点が重要です。

日記レンタルサービスのいくつかでは、人気のある日記をランキング表示しています。だいたいどれも似たり寄ったりのデザインなのに、トップクラスと底辺層とではアクセス数が 1000~10000 倍くらい違います。結局、大切なのは内容です。更新頻度だって、じつはそれほど問題じゃない。デザインよりは効く、という程度の話。そして内容の改善は非常に難しいので、飽きる閲覧者を引き止めるのは難しいということになります。

3.人間関係の希薄化

暗い話が続いたので、ちょっとだけ明るい話を。

1日数十人が訪問する程度のサイトの場合、アクセス数の減少に最も強く関係していると考えられるのが人間関係の希薄化です。明澄さんがよく遊びに行くサイトはどこでしょう? リンク先の2件でしょうか。さて、最近どうでしょう、お友達のサイトの掲示板に書き込みをしたり、感想のメールを送ったりしていますか?

人気のある Web サイトは、あちこちからリンクされています。だから新しい閲覧者がどんどんやってきます。そして、閲覧者になかなか飽きられないので、その人気を維持し続けられるわけです。逆に不人気の Web サイトは、まずリンクされません。たまにリンクされても、すぐに飽きられて実力通りの閲覧者数になってしまいます。人気サイトになれるだけの内容があっても、リンクされなければ人はやってきません。逆に、リンクされても内容がなければ人気は出ません。

……こうかんがえていくと、ちょっと疑問がわいてきます。

仮に、Web サイトを内容によってランク付けしたとしましょう。同じジャンルでより上位のサイトがあるならば、下位サイトの閲覧者は、全員、上位サイトに乗り換えてもよさそうなものです。ハガレンのドリーム小説を公開しているサイトは世の中にたくさんあるわけで、一流どころだけでも何サイトもあるわけでしょう。にもかかわらず、わざわざ明澄さんの小説を読みに来る方がいらっしゃるわけです。

他に同系統の Web サイトがあることを知らないはずがない。他にいくらでも読む価値があるサイトがあることを知りながら、やってくる閲覧者がどうして存在するのか。

人気サイトは1日に数万人が読むわけですが、庶民の Web サイトにも1日数人の閲覧者がいます。こういう方はどこからやってくるのかというと、管理人の巡回先からやってきます。検索エンジンはほとんど気にする意味がありません。不人気サイトは検索エンジンの登場順位が低く、ふつうの人はやってきません。100件以上も検索結果を見て回るような人は、どうせその1回限りしか見に来てはくれないものです。その点、巡回先からやってくる閲覧者は、そこそこの確率でブックマークに登録してくれます。

アクセス解析をすると、ブックマーク経由が1番多く、次にリンク集経由の閲覧者が多いことに気付かれるはずです。小説サイトではアンテナ経由はあまり多くないのですが、これは例外もありえます。検索エンジンはあまり大したことがないでしょう。ただし場合によってはリンク集より人数は多く出るかもしれません。小さなサイトであればあるほど、ブックマークしてくれる閲覧者が重要になります。

学校で友達が一人もいない人は、それほど多くありません。「人気」は一部の人に集中しても、みんなそれなりに、一定の人間関係を築いていくのです。庶民の Web サイトのあり方も、これに似ています。Web サイトの人気獲得合戦は、まったくの自由競争になってもいいはずです。ところが実際には、そうはなりません。勝者は1人じゃないし、敗者も全てを奪われるわけではないのです。

  • ドリーム小説のよしあしは不明確な部分が多いわけですが、HTML の解説などは、かなり明瞭にランク付けできます。4流、5流の解説サイトともなると、欠点を指摘する気にもなれないという貧弱な内容しか持っていません。それでも何故か、その記事を読んで「勉強になりました」なんていっている閲覧者がいます。5流サイトの解説が1流サイトの解説に勝る点など一つもないにもかかわらず。
  • 私のリンク先やアンテナ登録サイトには、人気サイトと不人気サイトが共存しています。私自身、不人気サイトはやっぱり不人気サイトらしい内容だと思っています。じゃあなんで、不人気サイトを閲覧するのをやめて、人気サイトを閲覧する時間を増やそうとは考えないのか。
  • お笑いには「ちょっとうるさい」人がいて、ちょっとやそっとの芸人のネタにはクスリともしないのに、友人との会話ではニコニコしているなんてことはよくあります。くだらない冗談で笑ったり。そんなので笑えるなら、芸人さんのことをもうちょっと誉めたってよさそうなものじゃないか、と思う。

WWW では、身近な人もスーパースターもみんなネット越しの関係でしかないわけで、一見、みな共通の土俵で戦っているように見えます。テレビなんかに登場する大人気のスポーツ選手とクラスで一番スポーツが得意な人気者、という対比とはワケが違うように思われます。つまり、全国レベルのスポーツ選手とクラスで一番のスポーツマンが比較対象となる環境にあるのではないか、と。

ところが、現実は異なります。何故かネットでも、価値観の物差しはひとつにならないのです。「ご近所レベルのサイト」が「全国レベルのサイト」とは別の基準で評価され、それなりに人気を集めるのです。もっと素晴らしいサイトは他にいくらでもあるのに、何故か人は、ご近所レベルのサイトにも心惹かれます。

この不思議について、簡単に説明をつけてしまうことは避けたいと思います。ただ、ひとつの要素として人間関係が効いてくるのは事実です。自分のサイトを気に入ってくれて、掲示板で誉めてくれる人のサイトは、やっぱり見に行きたくなることが多い。あるいは、自分の好きなサイトと仲のいいサイトは、自分もチェックしておきたいと思うことがあります。小さなサイトほど、こうした緩やかな人間関係が重要になってきます。

ですから、明澄さんがネットにおける人間関係を希薄化させていったとき、アクセス数が減少していくことは十分に考えられます。逆に1日30アクセス程度までは、人間関係の再構築によって見込んでいくことも可能でしょう。1日1000人がアクセスするサイトを目指すような場合には、こうしたアプローチは無意味です。しかし「月の満ち欠け」の現状を見る限りでは、「ネット友達を増やしていく」という方向性を勧めたいと思います。ネットの寂しさに潰されないためにも。

4.メインコンテンツの変遷

管理人の関心が次第に人気コンテンツからそれ以外のコンテンツへ移ってしまい、閲覧者が離れていくというケースもあります。テイルズオブデスティニーとハガレン、どっちの方が人気があるのかわかりませんが、どちらに注力するかによって人気が増減する可能性はあります。

とはいえ、どっちにしたって、その道で1流のサイトは大変な人気となっているわけです。根本的にはコンテンツの質の問題なのです。仮にテイルズが大人気でハガレンはそれに負けるのだとしても、だからテイルズに集中しよう、なんて考えるのはトップクラスの実力者だけでいいのです。1日1000アクセス程度で満足できるなら、好きな方(あるいは両方)を書けばいい、ということになります。

もっとも、自分の実力に見切りをつけ、これ以上の向上はありえないと判断した場合には、「テイルズの方が少しは人気が増すだろう」と考えることもありえます。ただし私は感心しません。

5.主要リンク元の心変わり

ブックマーク経由の閲覧者が少なく、特定少数のリンク元がアクセス数の大半をコントロールしているケースでは、リンク元の心変わりがアクセス数の激減を招きます。多くの場合、これはどうしようもないことなので諦めてください。

……と、いうわけで。

アクセス数回復に有効かもしれない手立ては、「お友達を増やそう」という1点のみ。他はまあ、こういう事情も一応は頭の片隅に入れておくといいんじゃないかな、というお話でした。

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