趣味Web 小説 2004-09-01

Advice314 FINALFANTASY情報部

再開したアドバイスの4件目。

ご依頼人と Web サイトのご紹介

FF の攻略情報とファン同士の交流を中核に据えた、典型的な中堅サイトです。リニューアルしたばかりなので、あまりアレコレいってがっかりさせたくないのですが、大手になれない理由はよくわかりました。パッと見は悪くないのですが、根本的なサイトの構成というか、コンセプトに難があるのです。そのあたりはアドバイスの中で触れることとしまして……。

管理人の SHURA さんは1988年8月20日生まれの、って、わ、若い。高知県在住、高知商業高等学校の情報システム科1年生。好きな飲み物は氷結……あれれ、それはお酒なんじゃありませんか、お兄さん。

世界には愛が足りないと思っている SHURA さんが、今一番行きたいところは愛知県なのだとか。そっかー、高知の高校生は愛知県にあこがれているのかー。でも、トヨタ自動車は数学の苦手な社員はあんまりほしがらないと思うので、嫌いでもいいから数学は頑張ってください。最近ひそかに興味を持っているというお勉強、今すぐとはいわないけれど、眺めているだけでなくてそのうちには実践も、ね。

まあ、しばらくは弓道三昧なんでしょうね。全国制覇を目指して頑張ってください。

で、私がずっこけたのが、次の発言。

【好きなゲーム】
ゲームやんねぇ~。

そうですか、ゲームやらないんですか。FF ってゲームじゃなかったっけ? 最近の高校生は何でもアリですね。あ、そうか、悪の限りを尽くすのは中学生じゃなくて高校生だったんですね。

ご相談の内容

自分のサイトの来客数は500ぐらいですが、なかなか毎日1000ぐらいいきません。そこで自分の目で見るより他の人から見たほうがいいと思いここに書き込みました。辛口OKなのでいけないところ色々いってください。よろしくお願いします。

アドバイスいろいろ

さて、またもやアクセス向上のアドバイスがほしいというご依頼です。これまでのケースと異なり、今回はやることをきちんとやれば実現できない夢ではありません。

情報系サイトと創作系サイトの違い

「FF情報部」はその名の通り情報系サイトです。この手のサイトは、きちんと情報を出せば、その内容に応じた需要がついてきます。目標とすべき存在は書店にあります。FFCC(ファイナルファンタジークリスタルクロニクル:任天堂ゲームキューブ対応ソフトとして発売されたFFの新作)の攻略情報はファイナルファンタジー・クリスタルクロニクルワールドアルティマニアが完璧で、所詮、ネット上でボランタリーに製作されている攻略サイトは、その劣化コピーに過ぎません。

ゲーム攻略サイトの「上がり」は Yahoo 登録です。アルティマニアはベストセラーリストに名を連ねたこともあるヒット作ですから、1万冊以上売れたろうと推察します。この傑作と同等の内容を無料で公開すれば、当然、相当の人気となりますし、Yahoo にも掲載されるでしょう。FFCC クラスの人気タイトルの攻略サイトであれば、これから Yahoo に登録されても、当面は1日1000人以上の訪問客を計算できます。

FF の攻略サイトといえば、トップクラスは1日1万人以上が閲覧する頂点が高いジャンルです。それでいて、裾野はそれほど広くありません。新規参入の敷居が高いのです。SHURA さんは、苦難を乗り越え第一段階をクリアされました。しかしこの先もっと険しい道程となることを知らねばなりません。

創作系コンテンツを中心に据えたサイトがつらいのは、どうすれば確実に人気が出るのか見当がつかないことです。情報系サイトと異なり、目標というか、あるべき姿が不明瞭なのです。だから、アクセスアップの方程式が発見できません。1からわかるおもしろ日記書き方講座のような試みがなかなかうまくいかないのも当然です。

「金持ちと貧乏人はココが違う」といった本と同じで、多くの基準を満たしても金持ちになれない人が大半なのだし、逆に全ての基準を満たす金持ちもほとんどいないわけです。いわゆるテキストサイトとか小説サイトなど、創作系サイトに「こうすればうまくいく」なんて処方箋を出すのは、まず不可能です。私はたしかに力不足ですが、そうでなくたって、「もっと文章に気をつければ必ず人気は出る」などと安請合いするのはいかがなものか。プロだって、いや、むしろプロこそ、そんな保証はできないと知っているはずだからです。

私は日記サイトと小説サイトに明確なアクセス向上の方策を示すことができませんでしたが、今回はいろいろ助言できます。もちろん、楽で確実な方法は存在しません。甘いことを書くつもりはありません。ただ、何をすればいいかはハッキリしているということです。

閲覧者は何を求めているか?

需要のない Web サイトが人気を集めることはありえません。もちろん、大手サイトが何の脈絡もなしにリンクすれば、内容と無関係な一過性の人気が生じるのは事実です。しかしそれは、「需要」の決定因子が外部にも存在すると考えれば説明がつきます。

「そんなことをいったら、アクセスアップなんて簡単じゃないか」と考えるのは早合点です。内容のない Web サイトが大手サイトの管理人に「リンクしてください」と頼んだって、ふつうは無視されます。逆に内容のある Web サイトであれば、関連するジャンルの大手サイトには比較的高い確率でリンクしてもらえることでしょう(相互リンクなどの餌は必要)。外部要因による「需要」を需要の一種と認めても、内容が大事であることに変わりはありません。

さて、FF の情報として最も需要があるのは何でしょうか?

  1. 攻略情報
  2. ファン交流
  3. 二次創作

ざっといって、この3項目ということになります。このうち、圧倒的に需要が大きいのが攻略情報です。実際、FF 関連の Web サイトで圧倒的に人気があるのが攻略系のサイトです。交流中心でたくさん掲示板を集めているところもありますが、狙って成功するには厳しいですね。2ch の FF 板などを例外とすれば、頂点も低いといっていい。二次創作はもっと厳しくて、アクセス狙いで手を出すような分野ではありません。

とはいえ、大手サイトはしばしばポータル化して、何でもありの構成となります。たしかに、情報系サイトは一定のレベルに達すると更新する内容が尽きますから、動的コンテンツとしての掲示板などを欲する要素が存在します。しかし「FF情報部」は攻略情報が未完成なのに交流や二時創作まで扱ってしまっているわけで、ここはちょっと考えどころでしょう。

とにかく、大切なのは攻略情報です。Web サイトの構成は、攻略情報を中心に考えていかねばなりません。交流系のコンテンツは、攻略情報目当てに集まった人々へのサービスに過ぎない、と割り切った方が位置付けが明確になり扱いやすくなります。

現状の問題点

攻略情報を中心に現在の構成をチェックしていくと、問題点は明らかです。

  • 攻略は攻略、交流は交流という縦割の構成が非常に不便。
  • 重要度の低いコンテンツが最上位階層に並んでいる。
  • ナビゲーションが冗長で目的とするコンテンツへなかなかたどりつかない。

3項目挙げましたが、いずれも、大きな問題の1側面です。つまり、いずれかひとつの問題をきちんと解決していけば、同時に他の問題も解消されるというわけ。では、頑張っていきましょう。

ゲームタイトルを中心に再構成する

お客さんは攻略情報を求めている、と私は書きました。ここで気をつけなければいけないのは、お客さんは決して「FF の攻略情報」を探しているわけではない、ということです。交流目的のお客さんだって同じです。「FF について語りたい」人は必ずしも多くない。

「FF情報部」というサイトなのに、FF の情報は求められていない……って、それどういうこと? と混乱してしまった方、ここは重要ですから、よく考えてください。

……。

よろしいですか、お客さんが求めているのは、あくまでも「FFCC の攻略情報」なのです。「FF の攻略情報」ではない。交流目的の方だって同じですよ。「FFCC で遊んでみて、思ったこと、感じたこと」を発言したいのだし、そういった話題で交流していきたいのです。「FF情報部」の訪問客は、「FFCC は知らないけど、FF3 のラストダンジョンはものすごく長大だったよねえ」なんて旧世代の繰言には興味ないでしょう。

ですから、機能・内容でコンテンツを整理する縦割の構成ではダメなんです。ゲームタイトル毎に攻略情報と掲示板と二次創作をまとめていく横割の構成とすべきです。成功している Web サイトは、ほぼ全て横割になっています。

私なら、サイトの構成はこんな感じにします。

/            総目次
/ffcc/       FFCC 目次
/ffcc/data/  FFCC 攻略情報
/ffcc/bbs/   FFCC 交流コンテンツ
/ff12/       FF12 目次
/ff12/data/  FF12 攻略情報
/ff12/bbs/   FF12 交流コンテンツ
/etc/        その他いろいろ

そして、総目次は思い切ってシンプルにしてしまいます。

総目次改善案

逆に、サイトマップを総目次と一体化させてしまう手もあります。ゲームの攻略情報は、下手に作るとやたらと目次の階層が深くなってしまいます。並列表示するリンクの数を初心者にも見やすい数に絞ろうとした結果なのですが、成功例は多くありません。大手サイトの大半がそうしているように、1ページにたくさんのリンクを詰め込む方が支持を得やすいのです。攻略情報サイトは何度も繰り返し利用されるため、常連客に便利なように作った方がアクセス増に結びつきやすいのでしょう。

ではなぜ総目次の改善案としてシンプルなものを提案したかというと、総目次ではなく各ゲームタイトルの攻略目次をブックマークしてもらうことを想定しているからです。FFCC は GC のソフト、FF12 は PS2 のソフトですから、大半の訪問者は片方の攻略記事だけに用があるはずです。それなのに、全員に総目次をブックマークしてもらうのは非効率です。カウンターは各タイトルの攻略記事目次に設置し、総目次はタイトル選択に的を絞ろうというわけです。

まあそのあたりの選択はどちらでもよいのであって、重要なのは横割の構成を採用するということです。

現状の問題点・補遺

現状を見て回った際、気になったことがいくつかあります。あらかじめ申し上げておきますが、これらの問題点を修正してもアクセス向上は期待できません。

  • リンク切れが多すぎる(いちいち事例を挙げるのも面倒なくらいたくさんある)
  • リンクなのかそうでないのかわかりにくい箇所が多数ある
  • 目次に項目が存在しても実際には工事中でリンクされていない箇所が多数ある

よそのアクセス向上指南サイトでは、「こういった欠点のあるサイトはお客さんが減ってしまいます!!」なんていっていますけれども、それはウソです。この程度のことで怒って二度と訪問してくれなくなるような閲覧者は、もともとそのサイトに大きな価値を見出していません。だから、欠点を修正しても相変わらず常連客にはなってくれません。「けっこういいんじゃない?」と誉めはしても、それっきり再訪してくれないわけです。

アクセス向上の鉄則は、キズを修正するのではなく、圧倒的な需要を生み出すことです。需要さえあれば、相当程度までの欠点は大目に見てもらえます。「わかりやすい欠点」は、アクセス向上を妨げる要因として安易に多用されているきらいがあります。よく注意しなければなりません。

攻略情報を中心としたサイト構成へ再編成し、情報の充実に努めるならば、需要は必ず増えます。アルティマニアの半分くらいの情報を公開すれば、今からでも Yahoo に登録できるでしょう。そうなってしまえば、多少のリンク切れはアクセス数に大きな影響を及ぼしません。Yahoo サーファーはリンク切れを嫌うそうですが、しかしサーファーは、全てのページはもちろん、すべてのリンクなどチェックしたりしません。主要部分がきちんとしていればいいわけです。実際、Yahoo 登録サイトにもリンク切れはいくらでも見つかります。

それでもやはり閲覧者が不愉快になるのは事実ですから、改善を望みたいところです。ついでにもう1点。

  • 「戻る」リンクで戻りすぎてしまう

リンク切れよりは罪が軽いのですが、やはりナビゲーションの不備に類する事例といえます。「戻る」というリンクは、多くのサイトで採用されているものですから、ここで今更「戻る」否定論をぶち上げるつもりはありません。しかし、「戻る」には「戻る」なりの標準的なやり方があるのです。それはズバリ、「1階層だけ戻る」これです。FFCC の攻略情報一覧から個別の情報ページへ移動できるわけです。個別の情報ページに用意されている「戻る」リンクに期待されるのは、攻略目次へ「戻る」ことなのです。サイトの表紙へ戻ってしまってはいけません。

とはいえ、「トップへ戻る」と書かれているじゃないか、という反論はアリです。ただ、ふつうの閲覧者が、いちいち何の役に立たないサイトのトップなんかへ戻ってどうするのか、ということは考えないといけないでしょう。「トップへ戻る」リンクを用意する余裕があるなら、「攻略目次へ戻る」リンクがないのは優先順位から考えるとおかしいわけです。

Yahoo 登録のために

ゲーム情報サイトの「あがり」は Yahoo 登録なのですが、当然、頂点を巡る戦いは生易しいものではありません。

まず、FF 総合サイトとしての登録は諦めてください。先達は FF シリーズを4作以上完全攻略しています。FFCC の攻略情報しかない現状では、とてもじゃないけど FF 総合には手が出ません。次に FFCC ジャンルですが、後発サイトが登録される条件は、既登録サイトより明らかに優れた情報を有することです。現状では無理ですね。FFCC の攻略サイトとして体裁を整えても、それだけでは登録が許可されないでしょう。

全ダンジョンのマップを図解するとか、そういったわかりやすいアドバンテージを用意しないとつらいでしょう。しかし、そのために必要な手間暇は並大抵ではありません。だから Yahoo 登録サイトは少なく、栄光の頂点なのです。中にはヘンなサイトも登録されているのですが、実力がないのに登録されるのは奇跡であって、それを真似しようとしてもまず不可能です。運も実力の内と考えて、悔しい気持ちを抑えてください。

Yahoo 登録を目指して頑張っていくと、結果的に登録の成功・不成功に関わらずアクセスは伸びます。Yahoo への挑戦は無駄になりません。だから、Yahoo 対策には安心して取り組んでほしいと思います。

はい、というわけで長々と解説してきたわけですけれども、いかがだったでしょうか。今回、アドバイスのために Yahoo 登録サイトを見て回ったんですけれども、みなさん凄いですね。どこの暇人がこんなことやっているんだろう、という印象。膨大なデータをきちんと整理して公開されているんですね。本なら「これも商売ですからねぇ」と納得もできますが、趣味でそれをやってのけてしまう意欲には圧倒されました。ご依頼人の Web サイトもなかなか立派なんですね。

それから立ち読みで済ませた「アルティマニア」ですけれども、最近の攻略本ってここまでやるのか、という感じ。なんというか……昔はこういうのって、マニアしかほしがらないアイテムじゃありませんでしたっけ? 何でもかんでも書いてあって、いいんですかね、それで。

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