趣味Web 小説 2004-09-26

スウィングガールズ

今秋公開の映画で一番の安全パイといわれているのがスウィングガールズです。私も池袋のテアトルダイヤで観ましたが、安心して皆さんにもお勧めできます。夕方開始のその日最後の上映回にギリギリで滑り込んだのですが、館内はほぼ満席。幅広い年齢層に支持されているようで、中年のお客さんがとくに目立ったかな、という印象。男女比も半々という感じだったけれど、きちんと確認したわけじゃないから、勘違いがあるかもしれません。

映画の舞台は山形、おっちょこちょいの主人公が物語を引っ張り、ビッグバンドジャズの楽しさに目覚め音楽祭でひとつの花を開かせるまでを描く作品です。監督は「ウォーターボーイズ」の矢口史靖、製作は「踊る大捜査線」以降、フジの関わる映画には全部顔を出しているんじゃないかという感じの亀山千広、主演は上野樹里です。

渋谷のシネクイントで上映されているように、本作品は単館系での公開。にもかかわらず、ネットでは既にたくさんの感想があふれています。これだけ人気あるなら、洋画系のラインでドカーンと流しても成功したんじゃないのかな。テレビドラマ「ウォーターボーイズ2」も高視聴率をとったわけだし。とにかく、真っ当な意見とか、批評かめいた発言とかは、いまさら私ごときが書いても恥ずかしいだけなので、極めてどーでもいいことをいくつか、つらつらと書き連ねていきたいと思います。

上野樹里といえば朝の連続テレビ小説「てるてる家族」で初めて知った人が多いと思いますが、私には映画「ジョゼと虎と魚たち」の印象が強いです。「ウォーターボーイズ2」のヒロインは、「てるてる家族」の主役を務めた石原さとみ。次の大河ドラマ「義経」で静御前を演じるそうで、次々といい役をもらって大女優への道を順調に歩んでいる高校生(でしたよね?)。その石原さとみは私にはなんだか幼く見えて、上野樹里と同年代というのがピンときませんでした。

私はテレビで上野樹里を見ていないんです。初めて見た「ジョゼと虎と魚たち」で上野が演じていたのが、妻夫木聡が狙うキャンパスの姫。大学内で話題の美人という設定で、まさにはまり役に見えました。妻夫木と同学年という設定に何の違和感もない。ただ、「ジョゼ虎」は主人公の性格設定の関係上、登場する女優がよく脱ぐのだけれど、上野だけは完璧にガード。他の女優が似たシーンを演じる場面とは微妙に演出が異なっていて、不統一が気になったのを覚えています。

そういうわけだから、「スウィングガールズ」のポスターを見たときには、こんなに無理しちゃっていいの? と不安になったものでした。あの大人っぽい上野樹里が、高校1年の女子高生を跳ね回るような元気なキャラ設定で演じるなんて……。しかも「ジョゼ虎」から1年近く経っているんだよ?

ところが。映画を観て、とんだ勘違いをしていたことに気付きました。上野樹里は1986年5月26日生まれ、うわ、撮影当時高校2年生じゃないか。そして矢口監督は「オーディションに来た時、光ったところを押すと曲になるピアノは弾けます、とうれしそうに話していて(笑)。そのこととか、家族のこと、今ハマっていることなど、延々と話しているんです。自分のペースを崩さず、あっけらかんと明るくしゃべれるというのをみて、友子が来たように見えたんです。本物が来たからには、逃すべきではないと思い、会った日に、彼女に決めていました」(スウィングガールズと始めるジャズ入門)と証言しており、こっちの方が素顔に近いらしい。

つまり「スウィングガールズ」のキャスティングが正統派で、「ジョゼ虎」のが冒険だった、ということ。15歳か16歳じゃ、そりゃベッドに押し倒すまでは撮れても、(最近の諸事情を鑑みると)完璧ガードは当然。そういった演出上のハンデをおしてまで誰かが起用にこだわったわけだけど、たしかに名演だったと思う。

ふと気になって「スウィングガールズ」出演者の年齢を調べてみたら、ちょっと驚いてしまった。最年長は木下美保役(トロンボーン担当)の中沢なつきで、1981年8月11日生まれ。撮影当時、22歳(教師役の白石美帆は78年生だから3歳しか違わない)。クライマックスの演奏会で、準主役のトロンボーン担当:関口香織役の本仮屋ユイカ(1987年9月8日生まれ)の2つ隣にいる茶髪のロングの女の子なんですが、本仮屋と6歳も離れているようには見えませんね。演出のマジックなのか、演技がうまいのかどうだかよくわかりませんが。

ちなみに、本仮屋ユイカと中沢なつきの間にいるトロンボーン担当:小林陽子役の辰巳奈都子がスウィングガールズ最年少で、1988年1月21日生まれ。早生まれなので本仮屋と学年は同じということになります。撮影当時高校1年生で、じつは設定と同年齢なのはこの2人の他にはバリトンサックス担当:清水弓子役の松田まどか(1987年7月16日生まれ)だけ。ウソでしょ、と思ったけれど、これが真実。びっくりしました。

主役は上野樹里、準主役は本仮屋の他にトランペット担当:斉藤良江役の貫地谷しほり(1985年12月12日生まれ)、ドラムス担当:田中直美役の豊島由佳梨(1983年5月16日生まれ)、ピアノ担当:中村拓雄役の平岡祐太(1984年9月1日生まれ)、ベース担当:山本由香役の水田芙美子(1985年7月19日生まれ)、ギター担当:渡辺弘美役の関根香菜(1985年5月3日生まれ)という顔ぶれ。撮影当時高3の85年組が大多数ですが、それでも2歳違い。うまいものだなあ、と今更ながらに感心しました。

というか、映画出演のために楽器を猛特訓して、短期間で観客を感動させるほどの演奏をやってのけてしまうのだから、役者は凄い。芸能人という呼び名に恥じない方々だと思う。

トリビアをひとつ。ドラムス担当の豊島由佳梨は幼少時から郷土芸能「知床いぶき樽」に精通し、シンガーソングライターとしても活動中で、撮影当時は音楽専門学校生。役者の経験はゼロ。にもかかわらず、スクリーンでの存在感は凄いですよね。物怖じせず、飄々としていて。で、やはりパッと見に気になるのは、その妙なおかっぱ頭の髪型。じつはあれ、かつらなんだそうです。

監督の発言を引用したスウィングガールズと始めるジャズ入門は日経エンタテインメントが編集したムック本。たぶん、増刷とかそんなにされずに売り切れてなくなってしまうタイプの本だと思うので、ぜひ今のうちにどうぞ。「スウィングガールズ」の本は何種類も発売されているのですが、個人的には「ジャズ入門」が一押しです。表紙の写真では豊島由佳梨がかつらをとった頭を見せています。あと本仮屋ユイカが眼鏡を外してます。撮影から時間が経ってからの写真なので、ふだんの様子に近い感じになったのだとか。

最後にもうひとつおまけの話。映画館を出るときに、近くの2人連れが「あれ、吹き替えだよね~」「あんなにうまいはずないもんね」なんていっていました。おいおい、お台場で生演奏イベントまでやって見せたことを知らないのかな、と思ったんだけど、やっぱりそれだけうまかったということなんでしょう。産経新聞の新盤紹介コーナで石井健記者がサントラ盤を紹介していて、じっくり聞くとそんなにうまくないんだけど、と断りつつも好意的に紹介していたのがなんだか嬉しかったり。

いつの間にか、この映画を応援していた自分に気付きました。

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