趣味Web 小説 2004-09-27

サーバの負荷と人気サイト管理者の責任

宮本さんの九十九式が移転。なんでも、忍者ツールズは転送量で引っかかってサイトを丸ごと消されてしまったそうで。

うーん、皆様の熱きご要望にお応えします、なんて調子のいいことを書いてるけど、ニュースサイトからちょっとしたリンクが発生しただけでサイト消されちゃうわけだ。確かに利用規約には日毎転送量が連日1Gbを越えるなど、無料でのサービス運営に支障が出てしまうほどの人気サイト様にはメール等でご連絡を差し上げた上、ご利用をご遠慮いただくことがあります。 ってあるんだけど、九十九式の転送量が「連日」「1Gbを越え」ていたのかは甚だ疑問だ。

要するに人気サイトになるつもりなら忍者ツールズの無料Webは使えない、って解釈でいいのかな、これな。

どうも僕はインフラを提供する側が「無料だから」「β版だから」「安価だから」と云う理由を楯にこうした行いをするのが癪に障るみたいだ。

宮本さんの受難にお見舞い申しあげます。

本題と関係ないのだけれど、これな。という文末表現がちょっと気になる、と書いてみる。

さて、私は柊さんとは逆の感想を持っていて、人気サイトが無料だったりβ版だったり安価だったりするホスティングサービスをメインで利用することに不快感を覚えます。もう古いデータではあるのだけれど、アクセス向上を考える[企画篇]に示したような数字には、ちょっと気をつけておいた方がいいと思うのです。

上位0.5%以内のサイトが全RAの50%を握っています。上位10%のサイトで全RAの80%が消え、下位50%のサイトのRAは全部かき集めても全体の3%にしかなりません。

RA というのは、単にアクセス数と読み替えていただいてかまいません。アクセス過多によるアカウント停止をやらないとすると、こういうことになってしまうのです。人気上位0.5%のサイトが消えれば、リドミのサーバの負荷は嘘みたいに軽くなるのでした。こういった数字を見ると、人気サイトが安易に安価なサービスに飛びつくのはいかがなものかと思います。

やはり、巨大なアクセスを誇る Web サイトの管理者は、相応の対価を払うことを考えるべきです。私がロリポップのような安価なサービスを使わない理由は、値段が安過ぎるからです。ひとつのサーバを大勢で共用しているから安いのであって、そういうところに1日3000~5000ページビュー(これは備忘録のページビューではないことに注意)の Web サイトが間借りするのはいかがなものかと思うわけです。

個人ユースでは最強といわれたさくらインターネットさえも、大幅に値下げした途端に最低価格帯のサービスで転送量に起因する問題が大規模に発生しました。

大体、サーバが重くなる原因は、わずかな人気サイトにあります。人気サイトを不人気にするのは、人気を維持するよりは簡単なわけで、あえて人気サイトを人気サイトのままにしておくからには、相応の負担も覚悟すべきではないでしょうか。少なくとも共用サービスにおいて自分がどんな存在なのかということは認識した方がいい。下位9割の Web サイトは1日2桁以下、下位4割では1日1桁しか訪問者がいません。同じ料金を払っているのに、ちょっとしかサーバのリソースを消費していないのに、重たいサーバに泣かされる人がいるのです。

安価なサービスには多くを期待しないのが正解だと思う。売らんかなの姿勢で美辞麗句を並べ立てる業者も悪いかもしれないけど、そこに漬け込むのが「消費者として当然だ」とはいいたくない。消費者原理主義では「規約の上限いっぱいまで使うのがお得」ですが、業者は少々の無理を押した値段設定でサービスを提供しているのだから、毎日他ユーザの平均を遥かに上回るリソースを消費されたらたまらない。

isweb のような本当に広告収入だけで経営が成り立ちそうなサービスなら、ある程度アクセスが増えても、それに比例して広告の表示も増えるからいい。けれど、忍者のような「広告は収入の柱のひとつに過ぎません」みたいなサービスを人気サイトが利用するのは、もともと危なっかしい行為でした。私は今回の出来事を受難と呼ぶ気分にはなれません。みんなの我慢を前提に成り立っていた不安定な状況が、ようやく自然な結末を迎えただけだと思う。

関連文書
  1. サーバの負荷と人気サイト管理者の責任
  2. 九十九式は「巨大なアクセスを有するサイトではない」のか?
  3. 消費者に求められるバランス感覚――買い叩くだけでなく
  4. 受益者負担の原則
  5. 突然のアカウント停止に慌てないために
  6. ない袖は振れぬ(サイトの人気とサーバの選択:補足)
  7. 閲覧者の希望と情報の公開コスト

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